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ショートショート

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#短編小説

ショートショート(話40目)転職エージェント黒八木

喫茶店の窓からは桜の花が見えた。 季節は4月だった。 春は出会いと別れの季節というが、真…

ショートショート(39話目)父との会話

『……む。...…さむ。...……おさむ』 誰かに呼ばれる声がして目を覚ました。 隣には父がい…

ショートショート(38話目)0→1 

宇宙には無数の星が存在している。 その数は地球上の砂粒すべての数とほぼ同じと言われている…

ショートショート(37話目)裏山の宝 

納屋を掃除していると、1枚の古い紙切れが出てきた。 その紙切れは、どうやらここから3kmほど…

ショートショート(36話目) 死神先生 

どれどれ。 今回のターゲットは…。 私は死神カルテに目を通した。 名前:蓮野沙也加(はすの…

ショートショート(2話目)夏祭りの日しか開かない喫茶店

夏祭りが終わり、わたしは自宅へと歩いて帰っていた。 夜の9時とはいえ、まだまだ暑さは厳し…

ショートショート(27話目)スプリンター

『走る』というのは実に単純な作業だ。 速く走る際に意識すべきことは、まず身体と地面とを垂直に保つこと。 前傾姿勢になると背筋に力が入らないし、のけ反ってしまうと前に進む推進力が弱くなる。 また、体育の授業で「腕を振れ」というアドバイスをする教師は多いが、あれは間違いだ。正確には「適切なタイミングで腕を引け」というアドバイスが正しい。走りながら腕をひけば、身体が前に進む推進力で腕は元のポジションに戻る。左足が地面から離れた瞬間に左腕を引く。右足、右腕も同様だ。そうすることで

ショートショート(26話目)あの日の自分

そろそろ彼がくる時間だ。 11月の銀座にビル風が吹いた。 冬を感じさせる冷たい風だった。 …

ショートショート(11話目)シェアリング彼氏

「映画でもいこっか」 翔琉(かける)はアイスコーヒーを飲みながらそう言った。 日曜日、い…

ショートショート(10話目)ショートショート作家の苦悩

アイデアが出てこない。 ショートショート作家の蛍(ほたる)は行き詰っていた。 4年前、蛍…

ショートショート(8話目)必要ないけど欲しいんだ。

世の中には必要ないけど欲しいものがある。 例えば、最高時速300キロのスポーツカー。 日本…

ショートショート(7話目)時の商人

もう若くない。 50歳になった栄治(えいじ)は、そんなことを思いながら高架下(こうかした)の屋…

ショートショート(6話目)タイムマシンなんてないさ

僕にそっくりな男は言った。 「僕は3年後の未来からきた君だ」 それから男は、1年後に東京で…

ショートショート(5話目)わたしとつきあう時の3つのルール

真っ赤なポルシェは首都高速を走る。 運転席にいるのは達也。 達也は将来を嘱望(しょくぼう)されているプロ野球選手だ。 達也とは飲み会で出会った。 モデルをしていた私は知り合いから誘われて、その日飲みにいった。 野球に興味がない私でも、達也のことは知っていた。 5年前の夏、達也は甲子園のスターだった。 ドラフト1位でジャイアンツに入団した達也は1年目から最多勝のタイトルを獲得した。 いまの達也の年収は3億円。 私の未来の旦那様になる予定だ。 私は達也と付き合