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しゃもじの代わりにカメラ片手に突撃!隣の晩ご飯、じゃなくってお庭を拝見!!

第2回 エネルギーあふれるMさんの庭へ

言語療法クリニックを経営する女性、Mさんに招かれてお家にお邪魔したのは7月中旬のこと。ドイツの古都、ハイデルベルク近郊の、大きなガラス窓から日差しがいっぱい差し込む家でもてなしを受けました。

ジギタリスがお出迎え

60代半ばのMさんがこの家を購入したのは1年ほど前のこと。借りていたハイデルベルク市内のアパートを引き払って自分の城を手に入れました。

家具やインテリアは彼女のセンスとこだわりが隅々にまで発揮されていてどの部屋も素敵です。自分の家もこうだったらと憧れつつも考えてしまうのはガラスを磨いたりこの綺麗さを維持するのは大変だろうな、なんてこと。ついそういう発想になるから私はいまだ自分の城を築けないのです。

さて家に続いてお庭を拝見させてもらいました。

仲良くひなたぼっこ

彼女の家の周りには植物がいっぱい。室内から一歩出て食卓が置かれた広いテラスの上にも鉢が置かれています。日向の一角にはエキベリアとオキザリス、アガパントス(?)の3鉢。屋根からはディプラデニアがはみ出したハンギングバスケットがぶら下がっていて、ここはタイかフィリピンかしらん、なんて気分になったりも。


ザルとよびたくなるハンギングバスケット


そしてアジアンフィーリングはお庭にも続いてます。日当たりのあまりよくない一角にはシダなどが生えたコーナーがあって真ん中で瞑想しているのはブッダ様。

Mさんはヨガをやったり、料理もインドのアーユルヴェーダに関心があるようなのでアジアンテイストはその影響でしょう。(そういえば家の前にも別のブッダ様が座っておられましたね)

瞑想するブッダ様

ブッダ様の反対側に歩いていくと、家に寄り添うように南向きの小さな一角に紫色のクレマチスと9本のトマトの苗が見えました。花より団子派としては、咲き誇るクレマチスはどうでもいい。緑色のトマトに突進です。Mさんは食べきれないのは丸ごと冷凍庫に放り込んでおいて、つい最近昨年の収穫を食べきったところ、とのこと。


花より団子

おしゃれな家も羨ましいけどトマトがすぐそこで自給自足できるなんてもっと羨ましい。ベランダ族の私はひたすらいいな、 いいなを繰り返すしかありません。


キッチンガーデンです

お次にむかったのは隣の家の庭との境にある大きなリンゴの木の下。そこからなだらかなスロープのようになっていて花壇のような畑のような混然とした一角があります。デルフィニウムやカレンデュラといった花が咲く横にはセージといったハーブ、そしてラズベリーなどが混ざりながら育っています。

彼女曰くここはキッチンガーデンなのだそうな。朝食のトマトサラダにもここから摘んだルリジザ、ナスタチウムが入っていました。 

プチトマトにバジルやナスタチウムたち 

一見バラバラにも見えるけどMさんの庭の植物はどれもがスクスクと育っているのが最大の特徴。日頃から丹精されている様子がよく分かります。お手入れの極意を尋ねると「植物の様子を見ながらある場所で元気がなさそうだったらさっさと別の場所に植え替えかえたり、置き換えたりしてるの」とのこと。 

目立たない家の脇に植えられた植物たちさえも生き生きとしているのも、店先で枯れかけていたのを救ったという観葉植物たちが家の中で息を吹き返しているのもきっと彼女の植物の顔色を見極める力のおかげに違いありません。そしてなにより植物たちは彼女からエネルギーをたっぷり分けてもらっているんじゃないかなあ。と推察するのは仕事に趣味にと彼女のエネルギッシュな活動ぶりを聞いたからです。

そして良きパートナーを求めて積極的に活動しているということも。

日本だったら60代といえばもうそんな恋愛なんて、と世間様から思われることでしょう。ドイツだってやっぱり難しい、けどMさんはそんな世間はどうでも良くって自分の人生を思うままに気持ちよく生きていこうとしているような気がするのです。

植物だってそんな人に世話されたら感化されたりするのではないかしら。

そんな彼女とおしゃべりをしている時、私が11月から職業学校に通って国家資格取得を目指すということを話しました。「年齢が年齢なんで年の若い人に混じって頑張れるかも、それが将来の役に立つかも分からないんですけどねえ」という言葉を添えたのは、年甲斐もなく無茶なことする人だなと思われて、適当にいなされるだろうなと思ったから。

すると彼女からは「もう産まない年齢だからいいのよ。雇う側にとっては意欲のある人はありがたいし、年なんて関係ないわよ」とバッサリ。若い女性への差別ともとられかねないストレートな言葉を投げるMさんの勇気にちょっとビビりました。 

でも考えてみればここは女性が仕事をしながら出産、育児をする権利と環境が整っているというドイツです。当のMさんだって、娘さんと小さなお孫さんを持つおばあちゃんという立場だったりするのです。

結婚、出産が当たり前という前提の中で、ただ出産によって社員が抜けた穴を埋めるのが大変なのはドイツでも同じ。小さな会社であればなおのことで、発言は経営者としての顔を持ち、人材難に悩むMさんの本音でもあるのでしょう。

そして何よりもこれはもう若くない私に対する、職業人としての先輩からのエール。年齢を言い訳にしてあきらめてる場合じゃない!という勇気と愛に満ちた、アンパンマンからのアンパンチのような応援なのだと感じました。

あの訪問から4ヶ月が経ちました。
私の集中力と記憶力の衰えは著しくって若い人たちにどれだけついていけるやらと不安でいっぱいです。でもそんなときは背中をバシッと叩いてくれたようなMさんの言葉と心地よく咲く夏の庭を思い出し、私も目指す山の頂上に辿り着いてやろうと決意を新たにするのです。


来年夏のゴールに向かって、私の勉学シーズンはいよいよ11月7日からスタートです。


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