ごちそうとおかしな晩御飯。

 今日はどこにも行かずに家でまったりと過ごした。

 昼下がりにやや遅めの昼食を食べてから一大決心をして芋ジャージに着替えて庭の草取りに精を出した。

 風が冷たくて挫けそうになったが放置しておくと荒れ放題になってしまうのでイヤホンで今年の流行歌を聞きながら黙々と作業をした。

 二時間くらいかけて大体のめどが立ったのでビニール袋に落ち葉と抜いた草を詰め込むと全部で六袋になった。

 可燃ごみの回収日が月曜日と木曜日なので明日の朝に捨てに行くとちょうどいい。

 一仕事終えて冷えた体を温めるためにコーヒーを淹れて飲んだ。

 お茶請けはお徳用のチョコレート菓子。

 語呂合わせで受験シーズンになるとありがたがられる商品だが、これが手にする度にサイズダウンしている気がする。

 自分の記憶にある全盛期のサイズに比べたら三分の二くらいには小さくなっていると思う。
 
 原材料の高騰や輸送費の影響など色々な原因はあるだろうが手軽に食べられるお菓子の食べ応えが減るのは正直寂しいものがある。

 駄菓子の王者のあの棒状のスナック菓子も十円から値上げしたが、これは今までが安すぎたので納得は出来る。

 それにしても駄菓子屋に並ぶ商品に端数が出るのは何とも世知辛いと思う。

 お店の方も一円や五円を準備しなければならないので手間は増えるはずである。

 私が子どもの頃の駄菓子は大抵が十円単位で、たまに五円の飴やチョコレートがあった。

 五十円もあればその日の気分はウハウハのお大尽だった。

 もちろん商品の吟味は真剣にしたものだ。

 平成よりも前の田舎町には駄菓子屋は町内ごとにあり選択肢が多くて良かった。

 今では一軒も残っていないのが寂しい限りである。

 最近はスーパーでもある程度の駄菓子は買えるがあんこ玉やくじ飴のような十円で楽しめるささやかな博打は出来ない。

 あれはあれでようし、当ててやろうと息巻いたものである。

 そんなことを懐かしみながら夕飯の買い物に出かけた。

 今日の晩御飯は豪勢にすき焼きである。

 先日実家に行ったときに良かったら持っていきなさいと立派なすき焼き用のお肉をもらったので冷凍庫から取り出して解凍しておいた。 
 
 後は野菜だが白菜とネギと人参、春菊と買いそろえた。

 豆腐と糸こんにゃくも忘れずにかごに入れた。

 後はお酒とつまみになるような駄菓子をいくつか。

 セルフレジはそれなりに混んでいたが気長に待って清算して帰宅した。

 家に帰ってから肌寒かったのでまずはお風呂に入ることにした。

 浴槽にお湯をためている間に買い物を冷蔵庫に入れて居間のこたつの電源をつけておいた。

 そのうちにお風呂が沸いたので湯船につかるとクハァと息が漏れた。

 じっくり温まって体もきれいにしてお風呂掃除をして上がった。

 ホカホカと体が温まっているうちに素早く晩御飯の支度をする。

 まずは割り下づくり、醤油とみりんと砂糖少々と水を熱して温める。

 そこにお酒を加えてアルコールを飛ばしたら割り下の出来上がり。

 その間に野菜を各々切り分けてザクを作る。

 ザクとはすき焼きにおける野菜の事ででザクザク切るからザクというそうだ。

 お肉はちょうどいい塩梅に解凍できているのでこれで支度は完了。

 我が家愛用の小さなホットプレートを居間に運んですき焼きの材料を用意する。

 つまみはもちろん駄菓子で決まり。

 ではではとビールのプルタブをペプシッと開けたらグラスにトゥクントゥクンと注いで一息でクイーッと飲み干す。

 キュハーッ美味いと声が漏れる。

 冷蔵庫でキンキンに冷えたビールはいつ飲んでも最高である。

 根っからのビール党なのでこの口開けの一杯がたまらない。

 つまみはサラミを小さくしたようなカルパス。

 やや硬めの表面を齧るとジュワッと脂が染み出てくる。

 駄菓子によくある濃いめの味付けがつまみにちょうどいい。

 無心で皮を剥きながらモシャモシャ食べる。

 お次も駄菓子の定番、さん太郎シリーズからかば焼きと焼き肉をチョイスした。

 プレスした薄い魚肉に味付けをした一品だがこれもお酒に合う。

 ここで日本酒にお酒をチェンジ。

 すき焼きを作りながら駄菓子をつまんで日本酒をツピリと飲むとこれがまたたまらない。

 普段の我が家のすき焼きは肉に直接砂糖と醤油をドバドバかけて作る西日本風なのだが今日は何となく割り下を使う東日本方式を試してみた。

 割り下を沸かしてそこに肉を並べて野菜を敷き詰めていく。

 クツクツと煮込んでお肉に火が通ったら食べていく。

 取り皿に卵を溶いてそこに肉をくぐらせる。

 それをハクリと口に含むと柔らかいお肉と卵のバランスがちょうどいい。

 割り下もしつこくなくてあっさりと食べることが出来る。

 これはこれで美味いものだなぁと思いつつ日本酒をキュッ。

 お酒をお代わりしつつ煮えた野菜も頂く。

 お腹が八分目になるくらいまで食べて締めにうどんを入れて食べたらお腹いっぱいで動けなくなってしまった。

 膨れたお腹をさすりながらゴロンと横になってこたつの温もりに包まれるのは冬のシアワセの一種だなぁと感じた。

 駄菓子とすき焼きというアンバランスな夕餉だったが存分に楽しむことが出来た。

 本日もごちそうさまでした。

 さぁて明日は何を食べようかな。

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