鳴き声は70デシベル。
ボチボチ近所の田植えが終わって夜になるとカエルの合唱がけたたましい。
ほんの数年前までは自宅の周りはほとんど田んぼだった。
その頃はカエルの声が相当うるさくてかなり気になっていた。
それがあれよあれよと田んぼが埋め立てられて住宅やアパートがボンボンと建った。
田んぼは家の周りに残っているほんの数か所になってしまった。
それでも今の時期になるとそれなりにゲコゲコという音が賑やかだ。
どこかのニュースで読んだのだが、カエルの鳴き声がうるさいので田んぼに毒薬を撒くぞという強迫があったらしい。
もともとの田んぼの持ち主からしてみれば青天の霹靂であり何でそんな事を言うのかと嘆きたくなるだろう。
私の実家は森と田んぼに囲まれた集落でトトロに出てくるカンタが住んでいる村をイメージすると近いものがある。
田植えが終わってからすぐに始まるカエルの大合唱は当たり前の音として特に何とも思っていなかった。
それがうるさいから田んぼの主が何とかしろと言うのは世知辛いなと思う。
そもそも後から引っ越してきた自分たちの方が環境に合わせるべきでそうしないのはエゴである。
ちなみにカエルが夜に鳴くのは求愛行動である。
鳴くのはオスだけで鳴きっぷりのいいカエルに惚れたメスと交尾をするそうだ。
一組のカップルが睦事にふけていると他のカエルたちも一斉に営みを行うらしく騒音が一瞬にして静寂に包まれるのはどうもそういった訳らしい。
そうか、そういった事情があったのかとオトナの事実を知った時には感動すらした。
やみくもにうるさいと文句を言っている人はこの事実を知っているのだろうか。
ちなみに今朝私が起きたのは四時前でカエルは大声で鳴いていた。
それが一時間もするとパッタリと止んで静寂が訪れた。
明るくなってきて何時までも鳴いていると鳥の餌になったり人間につかまったりするので警戒して田んぼに潜むのだろう。
いやぁカエルって賢い生き物だなぁと感心する。
そんな事を考えながら昨日の晩御飯を振り返ってみる。
ここ数日胃の調子があまり良くないので消化のよさそうなご飯にした。
グルメマンガを読んでいると正しいおかゆの作り方が載っていたので早速試してみる。
お米を半合よく洗って浸水させる。
二十分後に鍋にお米と水を600ml注いで火にかける。
煮立ってきたら米粒が引っ付かないように底からぐるりと一回だけ混ぜる。
どうしても何度も混ぜたくなるがそこはぐっと我慢。
火加減を弱火にしてフタを少しずらして四十分くらい炊く。
その間に副菜を作る。
塩昆布があったので細かく刻んでねぎと合わせて昆布ねぎを作る。
ニンジンを細切りにする。
軽く塩を振ってしんなりさせる。
フライパンにツナ缶を油ごとあけて軽く熱を通す。
そこにニンジンを加えてしんなりするまで炒める。
味付けは醤油と塩と日本酒と砂糖。
仕上げに溶き卵を回しかけて半熟で仕上げたらにんじんシリシリの出来上がり。
後は梅干を種を取って叩いておく。
これでおかゆの準備は完了。
妻用にボリュームのあるおかずが欲しかったので冷凍庫にあった手羽先を解凍する。
温めたトースターにアルミホイルを敷いてそこに強めに塩コショウをした手羽先を並べて十分焼いていく。
こんがりと焼けたらいったん取り出して醤油、日本酒、摺り下ろしたにんにくを全体に塗って三分ほどトースターで焼いたら完成。
おかゆの様子を見てふんわりとしてお米の芯が無くなっていたらこれも出来上がり。
早速妻を呼んでご飯にする。
昨日はあまり飲む気にならなかったので休肝日。
お酒の代わりに温かいお茶を飲む。
いただきますをしてお粥をよそう。
味付けはしていないので軽く塩をしてフウフウとすする。
アツアツでお米の甘さが十分に出ており胸の奥がじんわりとする。
生米から炊くお粥はやっぱり美味しいなと思いつつ薬味の昆布ねぎを乗せて食べるとこれがまたしみじみと良いお味である。
サラサラと一膳食べて物足りなかったのでお代わり。
合い間に手羽先のにんにく醤油焼きをかじる。
香ばしいにんにくの香りと焦がした醤油の甘辛い味がナイスタッグである。
一本食べたら十分満足したので残りは妻に献上。
にんじんシリシリをおかずにお粥を食べたら胃が落ち着いたのでご馳走様。
お酒の無い晩御飯はあっという間に終わる。
おれ、体調が戻ったらお酒を浴びるほど飲むんだ。
というあまりよろしくないフラグを立てつつ床に就いた。
外では俺が一番イケてるぜぇと歌うオスガエルの美声が響き渡っていた。
何となく一番モテルのはもみあげが長くてドーナツ好きなあの人に似ているのかなぁと思った。
ラブミーテンダー♪
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