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気が付けばボトルが空に。

 ビェックション!

 深夜に特大のくしゃみで目が覚めた。

 ぼんやりした頭ですぐに思ったのは寒い…という事だった。

 どうやら寝巻のスエットとTシャツを脱いでおりパンツ一丁でしかも掛布団をはねのけて眠っていたらしい。

 ええっ、何でこんな事にと一瞬宇宙人の犯行かとも思ったがよくよく考えてみれば昨夜の晩御飯の時にお酒を飲みすぎたことが原因じゃないかという事に考えが及んだ。

 普段は適量で満足するのでそんなに乱れることはないのだが年に何度か調子に乗りすぎてターボがかかることがある。

 昨日がまさにその日だったらしく飲み始めからお酒がやけに美味しくてしかもつまみが潤沢だったこともまずかった。

 だんだん調子に乗ってきてズルズルと飲み続けてしまった。

 途中から記憶が曖昧でいつ飲み終えたのか覚えていない。

 それでも本能からか布団は自分で敷いたらしく歯も磨いた形跡があった。

 パンツ一丁で目覚めた時にはガタガタ震えながら、ああやってしまったと自己嫌悪に陥ってしまった。
 
 寒さで目覚めてから慌てて服を着て再び布団に潜ったのだが歯の根が合わずカチカチと鳴らしながら朝を迎えた。

 それから今はもうお昼過ぎだが、まだ全身が暖まっていないのかブルッと震えてしまう。
 
 うーん、やっちまったなと思いながらお酒での失敗を振り返ってみた。
 
 思えば若い頃からたまに調子に乗ることがあった。

 よく覚えているのは成人して間もない頃に友達の家で酒盛りをした時の事である。

 その日私は梅酒を飲んでいた。

 最初のうちは水割りだったのだがだんだん酔ってくると作るのが面倒になってロックで飲むようになった。

 梅酒というモノは口当たりはいいがアルコール度数は割と高い。

 一人でカパカパと飲んでしまいお酒で記憶を飛ばした。

 気が付くとトイレでうずくまっており非常に気分が悪かった。

 一歩でも動くともどしてしまいそうになるために友人宅のトイレを終日占拠して大変嫌がられた。

 人生で初めて経験した二日酔いだったがあれは今思い返してみても苦しかった。 

 友人も私を飲み会に呼ぶのに懲りたらしく貴重な合コンなどにも誘ってもらえずほぞをかむ思いだった。

 ああ、これが身から出た錆と言うのだなとしみじみと痛感したものである。

 それ以降も新入社員歓迎会や忘年会、新年会と社会人になってからのお酒での失敗は枚挙にいとまが無く恥の多い人生である。

 最近はもう中年だし、流行病のせいもあり外飲みをしなくなったので失敗はなかったのに昨日はやらかしてしまった。

 酒は飲んでも飲まれるなと言うのは金言である。

 さて、いったいなぜ昨夜は記憶を飛ばすまで痛飲したのか晩御飯の献立を振り返ってみたい。

 昨日の晩御飯はスーパーで値引きシールが貼られていたポテトサラダと焼き鳥を用意した。

 それから乾き物でピスタチオを買った。

 後は鮮魚コーナーで地物のアサリがあったので思わずかごに入れた。

 帰宅してから早速料理に取り掛かった。

 つまみは豊作なのでアサリでメインの一品を作ることにした。

 アサリの砂抜きは五十度のお湯につけて、よくこすり洗いをして汚れを落としたら二十分放置。

 熱い熱いとヒートショックを受けたアサリが思わず口を開くことを利用したこの方法は改めて画期的だなと思う。

 砂抜きをしている間に他の具材を用意する。

 キャベツをざく切りにして玉ねぎを細切りにする。

 フライパンに油とニンニクを入れて香りが出るまで熱する。
 
 そうしたらそこにアサリと野菜を加えて軽く炒める。

 野菜に油が馴染んだら水を加える。
 
 沸騰するまでの間に別の鍋でスパゲティを茹でていく。

 アサリの口が開いてきたら味つけ。

 コンソメと塩、醤油を入れて隠し味に麺つゆを少々。

 そのまましばらく煮込む。

 その間にスパゲティを茹で上げる。

 後はアサリのソースに絡めたらアサリと春野菜のスープスパゲティの完成である。
 
 さぁ出来た出来たと居間にご飯を運んでいただきます。
 
 昨日のお酒はハイボール。

 薄めに作ってクピッと飲むと香ばしいウイスキーの風味と強めの炭酸の刺激が心地いい。

 うんうん、いいねと思いながらまずは焼き鳥を齧る。

 最近のお惣菜はなかなか侮れない味である。

 焼き鳥は昔から好物なのでパクパクと食べてしまった。

 その時点で二杯目のハイボールを飲んでいる。

 それからポテトサラダを堪能して冷めないうちにメインのスパゲティに手を付ける。

 アサリを殻から外しながらスパゲティと一緒に食べると濃い旨味があふれてたまらない。

 新鮮な魚介類はやっぱりいいなと思いながらツルツルと麺をすすった。

 キャベツと玉ねぎも地味ながら野菜本来の甘みが出ておりスープに溶け込んでいてかなりのテクニシャンぶりを感じた。

 この時点で三杯目のハイボールが空いている。

 ゆるゆると食べてスパゲティを完食したがまだもう少し飲みたいなと思ったのでピスタチオをアテに飲み続けた。

 そこらあたりから炭酸でお腹が膨れないためにウイスキー濃いめのハイボールを作り始めた記憶がある。

 思えばそこが運命の分岐点だったようだ。

 そこからの顛末は冒頭に書いたとおりだがせっかくの日曜日を体調不良で過ごすのは何とも空しいものである。

 うん、決めたアタイ今日はお酒飲まない!

 私にとっては一大決心なんですよ。

 お酒との付き合いは計画的に。

 

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