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シーナ町のしいなさん

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短編連作小説です。 西武池袋線椎名町に住みはじめたしいなさんの日常を縦糸に、過去の思い出を横糸につむがれる物語。
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シーナ町のしいなさん① おとうふのはな

シーナ町のしいなさん① おとうふのはな

 ある日、上司がいったのだ。すんごい、軽い感じで。
「東京に転勤しない?」
 言い方が、昔観た再放送の昭和のドラマのナンパシーンに、似ていた。「ちょっとそこで、お茶しない?」みたいな。
 その日はとっても寒い日で、上司の背後にある大きな窓から見える景色は、一面が雪で白かった。反して、この会社に入ってから二回しか会ったことのない、東京本社常勤のその上司は、普通に日本で暮らしていたらありえないくらい、

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