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パリの高級メゾンがこぞってオーダー!バルボステの食べられるアート

今、パリの高級メゾンの間で注目を集めている、日仏女性二人組のイベントフード・クリエーション・スタジオ「バルボステ(Balbosté)」。先日、和樂webで公開された「梅酢や味噌で日本の味を広める!パリの高級メゾンも注目、日仏女性2人組ユニット、『バルボステ』」という記事のこぼれ話です。

2人組とは、シャーロット・シットボンさん(Charlotte Sitbon)と金子さやかさん。企業がイベントでクライアントに軽食を提供する際、ケータリングで賄われることが多いのですが、それをアートに昇華させたのが、バルボルステ。ここでは、和樂の記事では触れなかった、バルボステの仕事のあり方について、ご紹介します。バルボステのクライアントはシャネル、エルメス、ラ・メールをはじめとしたパリの高級メゾン。そんな審美眼を持ったブランドたちを魅了するクリエーションをご覧ください!

バルボステの仕事は、クライアントとの細かなやり取りから始まります。ブランドが持つ世界観や、新製品で訴えたいメッセージ、キーワードなどを丁寧に聞き取り、それを理解した上で、何度も料理の試作を重ねていきます。
ここでは3つのクライアントを取り上げて、クライアント側のこだわりのイメージと、そこから導き出されたフードの関係性を、それぞれ解き明かしたいと思います。

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バルボステ初めてのビッグクライアントはシャネル! ヴァンドーム広場の旗艦店でのイベントフード

彼女たちがバルボステを立ち上げてから、最初のビッククライアントとのお仕事は、2019年2月、シャネルのジュエリーコレクションの発表会でした。パリの中心地ヴェンドーム広場の旗艦店で行われた、2夜に渡るカクテルパーティーをオーガナイズしたのです。下の写真が、クライアントと共有したイメージです。

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まず、バルボステではメニューに刺繍を施し、カクテルと美しいアミューズブーシュ(一口大のおつまみ)によって、ココ・シャネルの歴史を語る工夫をしました。そのためにシャネルのアイコンであるカメリアの花やコメット(彗星)、ライオン、ココクラッシュ(キルティングモチーフをジュエリーコレクション)などを形にし、ゆかりの地であるヴェニス、ドーヴィル、ビアリッツの空気感もアイデアに加えました。

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黒い木炭のビスケットにザアタルという中東のハーブと、柚子を混ぜ込んだアボガドクリームで、宇宙を表わしています。ダイヤの原石にみえるものは、和菓子の琥珀糖で、バニラ、ルイボス、ラム、カルダモンと、大人な味。カラフルなコメットおにぎりは、冬野菜とクリームチーズに、香ばしくグリルした胡桃入り。そして、ココクラッシュの生春巻きは、赤い豆腐、バジル、タヒチのクリームと、エキゾチックな味わい。Eau de Coco(ココの水)と名付けられたアルコールフリーのカクテルは、シャネルの代表作、la petite robe noire(小さな黒いドレス)からインスピレーションを得ました。ココナツウォーターベースに、地中海のラベンダー、ホワイトバルサミコ、ジンジャー、バラ水、黒ラディッシュ、黒い塩で、ココ・シャネルのミニマルな優美さと溌剌とした活動ぶりを表現。

ストリート系ブランド、ミラ・ミカティのロンドンのHappy Houseお披露目会

2つめのクライアントはミラ・ミカティ(Mira Mikati)。ロンドンのストリート系ファッションで、とてもカラフルな色使いが特徴的です。パリでのカクテルパーティーにはじまり、その後、ロンドンのチェルシー地区にオープンした、Happy Houseという新店舗お披露目会のフードと、お土産もクリエーション。

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クライアントがコラボしたのは、萌え文化を現代美術に押し上げた日本人アーティストMR.。イメージは、まさにレインボー!レインボー!レインボー! この世界観をフードに落とし込むと…

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ただ単純に虹色にするのではなく、バルボステは細かな手仕事で、よりミラ・ミカティの魅力を引き出しました。KAWAIIピクセルアートが施されたフォーチュンクッキーとレインボーカラーのお餅は、当日来ることができなかった世界中の招待客の元へと旅立ちました。ちなみに虹色のお餅は、白餡にマスカルポーネと赤い木の実を組み合わせているそう。

海をテーマにしたラ・メール初のイベントフード

3つ目のクライアントとして、ここでご紹介するラ・メールは、海の恵みを利用したスキンケア化粧品のブランドです。ブランド創設は70年近いのですが、今まで一切イベントを行ってきませんでした。2019年5月、初めてのイベントを行い、ケータリングの依頼先にバルボステを選びました。サントノーレ通りにあるラ・メールの店舗を使った2日間のカクテルパーティに350人が招待されました。

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上の写真のように、海底に沈み込んだような静かな世界。このイメージをもとに、バルボステは9つのフードを提供しました。

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海の水の青が重なる透明感、砂浜に落ちている異国から流れ着いた小枝、人魚のうろこ、海岸に転がる小石、水面の泡…。海の底に潜って空をながめたような、静かで幻想的な世界が広がります。海藻、味噌、黒ごまという日本の食材から、ピスタチオ、アーモンド、ジャスミン、ハイビスカス、ベルガモットと、フランスのものまで、日仏融合させています。

どれも起点となったイメージ写真と、そこから導き出されたフードの雰囲気が一致しています。文字だけでは想像がつかない新しい味の組み合わせで、ぜひ食べてみたい!と思わずにはいられません。和樂の記事には、ここから更に広がっていったバルボステの新しい活動について書いています。コロナ禍でのロックダウンにも負けずに、創意工夫溢れる新しいビジネスを展開しています。日本からのリモートでのお仕事依頼も受付けています。サイトとインスタグラムでは、今までの美しい活動をみることができ、眺めているだけでも楽しいのでぜひ!

店舗名: Balbosté
住所: 26 Rue de l'Échiquier, 75010 Paris
営業時間:変則的なため要確認
公式webサイト:https://www.balboste.com
インスタグラム:https://www.instagram.com/balboste_paris

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