ピアニスト 鈴木美奈子

ミューズの神託を伝えるピアニスト/音楽の伝道師。演奏活動の他レッスン、コンクール審査、…

ピアニスト 鈴木美奈子

ミューズの神託を伝えるピアニスト/音楽の伝道師。演奏活動の他レッスン、コンクール審査、YouTube配信、各種音楽セミナー、指導者向けの講座も行っています。一昨年帰郷、宮城県川崎町在住。音楽ひろば“杜音”、音楽と暦を味わう新月のホームコンサート“Food for Joy”主宰。

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記事一覧

雑草という名の草はない

今年の杜音の庭では、誰も植えてないのに 蛇イチゴがいちめんに繁茂しています。 何か条件が揃ったのでしょう。 シロツメクサとムラサキツメクサも かつてない多さ。 かと…

心のふるさと、産土のような場に…

寂しがりやのわたしが、故郷を離れて 24年も千葉県の八千代にいられたのは 八千代のひとも、自然が豊かな環境も 大好きだったからこそ。 数年前には、ここに骨をうずめよ…

“さわり”…雑音を愛でる日本の感性

琴、篳篥や笙のような日本の伝統楽器のルーツは 中国や東南アジアだといわれています。 …が、改良されかた、用いられかたは日本独特です。 たとえば、琵琶は旋律楽器か…

没後約200年。今なお女性を泣かせる、彼…

前回のおうちコンサートで ルイジの、ある小さな作品を弾いたところ 思いがけず、複数のゲストが涙されました。 伺うと、聴いていたらふっと昔が思い出されて 胸に想いが…

ベートーヴェン式 “人生V字回復する方法”に迫る!

次回のおうちコンサート〜ルイジの伝言〜vol.3苦悩が糧に?ベートーヴェンメンタルの秘密 の告知を、InstagramとFacebookにしました。 演奏曲のメインは 当初ベートーヴェ…

仙台青葉まつりに日本人の“祈り”をみた!

人混みがあまり得意ではないので このところすっかり都会から足が遠のいているのですが どうしても伺いたい個展があったので 青葉まつりの行われている市内に出かけました…

美しき日本の“志”

「教科書の単語の大半を墨で塗り潰させられましてね。今まで学んできたことはいったい何だったのか、と」 以前、当時90歳の生徒さんがしてくださった 終戦直後のお話しが…

ベートーヴェンのささやき 〜ダイナミクスを“原典版”に添って解釈したコンサートを終えて〜

レッスン中、生徒さんに弾いてみせたときに 自分でも意外なほど、明確なメッセージのこもった いい演奏になることがあります。 きっと、楽器を教えている多くの先生方が …

音大では学べないベートーヴェンの真実、語ります

ゴールデンウィークが終わって 川崎町はしっとりと雨の朝を迎えています。 自家製の蛇イチゴのチンキが効いたらしく 先日虫に刺されたあとは 少しずつ腫れがおさまってき…

“揺らぎ”に憩うわたしたち

たとえばバラのような花が主役の西洋風の庭よりも 万葉集に登場する草花が折々楽しめるような庭に憧れます。 杜のなかにいるような自然な風情を楽しみたくて 杜音にはフェ…

究極のコミュ力とは

庭にでると小さなカエルや赤ちゃんトカゲとよく遭遇します。 郵便受けになかに、今年もアシナガバチの巣を発見🐝   杜音は、みんなの場所です♫ でも、困っちゃうほど…

わらべうたという日本の文化遺産

「世界中で日本ほど、子供が親切に取り扱われ 子供のために深い注意が払われる国はない」 「日本人の子供ほど,行儀がよくて親切な子供はいない。また、日本人の母親ほど…

すぐれた作品とは?の明解なこたえ

早朝、窓をあけると、そとは   かすみか雲か ほのぼのと… と、口ずさみそうになるような深い霞に包まれ 幻想的な佇まいでした。 毎日、同じところを同じ場所から眺め…

ベートーヴェンから届いた驚きのリクエスト

長い歴史の中で、いろんな文化を混ぜこぜに取り入れ 感性や文化を育ててきたわたしたちは 自国の音楽だけでなく、ロック、ジャズ、ポップス… いろんな音楽の愉しさを知っ…

オノマトペの国

花散りてげっくり長くなる日かな 艸山(くさやま)のくりくり晴れし春の山   小林一茶 日が“げっくり”長くなる、とか 山が“くりくり”晴れる、とはどういう感じかを…

おのがじし で生きる

.   水芭蕉の花が におっている   夢みてにおっている 水のほとり 、、と、2番の歌詩にはありますが『(夏の思い出』) はたして水芭蕉ってどんな香りなのでしょう…

雑草という名の草はない

雑草という名の草はない

今年の杜音の庭では、誰も植えてないのに
蛇イチゴがいちめんに繁茂しています。
何か条件が揃ったのでしょう。

シロツメクサとムラサキツメクサも
かつてない多さ。
かと思うと、昨年あんなに茂っていたカモミールは
ひとつもありません。

  気候も土の状態も、毎年変化しているのですね。

その環境に馴染む、馴染まないがあるのは
人間だけでなく、草花も同じ。

のびのび、どんどん増えるものもあれば
なか

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心のふるさと、産土のような場に…

心のふるさと、産土のような場に…

寂しがりやのわたしが、故郷を離れて
24年も千葉県の八千代にいられたのは
八千代のひとも、自然が豊かな環境も
大好きだったからこそ。

数年前には、ここに骨をうずめよう、と決心して
完全防音のピアノレッスン室を大胆に解体。

廊下も玄関も、部屋もつぶして再度完全防音工事を施し
作ったatelier anima(アトリエ・アニマ)と名付けたサロンで
毎月のホームコンサートなどの活動を行いはじめた矢先

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“さわり”…雑音を愛でる日本の感性

“さわり”…雑音を愛でる日本の感性

琴、篳篥や笙のような日本の伝統楽器のルーツは
中国や東南アジアだといわれています。

…が、改良されかた、用いられかたは日本独特です。

たとえば、琵琶は旋律楽器かとおもいきや
雅楽では、旋律を奏でるのではなく
和音や単音でリズムを明確にする役割を担います。

また、能や狂言などで使われる能管は
笛の内側の吹き口の近くに
「のど」という小さな竹の管がはめこまれ
あえてオクターブがズレるよう設計され

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没後約200年。今なお女性を泣かせる、彼…

没後約200年。今なお女性を泣かせる、彼…

前回のおうちコンサートで
ルイジの、ある小さな作品を弾いたところ
思いがけず、複数のゲストが涙されました。

伺うと、聴いていたらふっと昔が思い出されて
胸に想いがこみあげてきた…とのことでした。

他界して200年近くにもなるというのに
今なお女性を泣かせてしまうなんて
ほんとうにルイジは罪な男です(笑)

なぜ彼の音楽は、時空をこえて
そんなにも強烈な存在感を放ち続けているのか。。

…次回の

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ベートーヴェン式 “人生V字回復する方法”に迫る!

ベートーヴェン式 “人生V字回復する方法”に迫る!

次回のおうちコンサート〜ルイジの伝言〜vol.3苦悩が糧に?ベートーヴェンメンタルの秘密
の告知を、InstagramとFacebookにしました。

演奏曲のメインは
当初ベートーヴェンの“不滅の恋人”とされていた
ジュリエッタに捧げられた
かの有名なピアノソナタ『月光』です。

書き終えてまもなく、彼女との恋も終わり
同時に難聴がひどくなってきたルイジはついに
ハイリゲンシュタットで遺書をした

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仙台青葉まつりに日本人の“祈り”をみた!

仙台青葉まつりに日本人の“祈り”をみた!

人混みがあまり得意ではないので
このところすっかり都会から足が遠のいているのですが

どうしても伺いたい個展があったので
青葉まつりの行われている市内に出かけました。

刺し子作家の谷本孝子先生の素晴らしい作品を拝見して
ぜいたくなひと時をゆるりと堪能させていただいたあと

久しぶりにアーケードを歩いて、定禅寺通りへ。

観てるかた、行列に参加するかた、雀踊りの皆さん、
街中はひと、ひと、ひと…で

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美しき日本の“志”

美しき日本の“志”

「教科書の単語の大半を墨で塗り潰させられましてね。今まで学んできたことはいったい何だったのか、と」

以前、当時90歳の生徒さんがしてくださった
終戦直後のお話しが忘れられません。

例えば“志”という字は“夢”にとって代わりました。

「“志”は自分だけというより『周り』のための決意。
“夢”は聞こえは良いけど、『自分』のものですよね」

大学でのご専門は英文学でいらしたのですが、
小学校で日本

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ベートーヴェンのささやき 〜ダイナミクスを“原典版”に添って解釈したコンサートを終えて〜

ベートーヴェンのささやき 〜ダイナミクスを“原典版”に添って解釈したコンサートを終えて〜

レッスン中、生徒さんに弾いてみせたときに
自分でも意外なほど、明確なメッセージのこもった
いい演奏になることがあります。

きっと、楽器を教えている多くの先生方が
経験していることだと思います。

それは、自分の演奏から何かしらのヒントや
灯台の光のようなものを
どうか少しでも受け取ってほしい…という
心からの思いからもたらされるもので

上手に弾こう、などという雑念が入りこむ余地がなく
ある意味

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音大では学べないベートーヴェンの真実、語ります

音大では学べないベートーヴェンの真実、語ります

ゴールデンウィークが終わって
川崎町はしっとりと雨の朝を迎えています。

自家製の蛇イチゴのチンキが効いたらしく
先日虫に刺されたあとは
少しずつ腫れがおさまってきました😌

野草や薬草の効力は侮れない!
薬草茶についても、じっくり学んでみたくなりました。

  、それはそうと、、

ヒヨドリがやってきてブルーベリーの花をつんつん…
たくさんの花を下に落としてしまいました⤵︎

実がなってから食

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“揺らぎ”に憩うわたしたち

“揺らぎ”に憩うわたしたち

たとえばバラのような花が主役の西洋風の庭よりも
万葉集に登場する草花が折々楽しめるような庭に憧れます。

杜のなかにいるような自然な風情を楽しみたくて
杜音にはフェンスも生垣も、プランターもありません。

植えたわけでもないのに
鳥の落とし物から生えてきた?と思しき草花もあれば
いなくなったと思ったら、違う場所から出てくる花も…🥷

   予測できなくて、おもしろいです😊

ちいさな黄色いウマ

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究極のコミュ力とは

究極のコミュ力とは

庭にでると小さなカエルや赤ちゃんトカゲとよく遭遇します。
郵便受けになかに、今年もアシナガバチの巣を発見🐝

  杜音は、みんなの場所です♫

でも、困っちゃうほど繁殖力が旺盛なのが、野草たち。

ムラサキサギゴケ、ヒメウマノアシガタ、ノヂシャ、アメリカフウロ…

どれも、小さい花を咲かせていてかわいくて
抜いたり刈ったりするのが憚られるのです。
(面倒だというのもあるが)

ときおり心を鬼にし

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わらべうたという日本の文化遺産

わらべうたという日本の文化遺産

「世界中で日本ほど、子供が親切に取り扱われ
子供のために深い注意が払われる国はない」

「日本人の子供ほど,行儀がよくて親切な子供はいない。また、日本人の母親ほど、辛抱強く、愛情に富み、子供につくす母親はいない」

「日本ほど子どもの喜ぶ物を売るおもちゃ屋や縁日の多い国はない」

江戸時代末期から明治維新後に日本にやってきた欧米人は
口々にこんな感想を書き残しています。

そんなわたしたちのご先祖

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すぐれた作品とは?の明解なこたえ

すぐれた作品とは?の明解なこたえ

早朝、窓をあけると、そとは

  かすみか雲か ほのぼのと…

と、口ずさみそうになるような深い霞に包まれ
幻想的な佇まいでした。

毎日、同じところを同じ場所から眺めても
景色も、空気のにおいや温度・湿度も異なります。

自然の神がかった美を体験する幸せを、感じます。
同時に、畏敬の念も。

  🕊️ 🕊️ 🕊️

先日、生徒さんのレッスンで解釈についてお伝えする際

“すぐれた作品とは、

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ベートーヴェンから届いた驚きのリクエスト

ベートーヴェンから届いた驚きのリクエスト

長い歴史の中で、いろんな文化を混ぜこぜに取り入れ
感性や文化を育ててきたわたしたちは

自国の音楽だけでなく、ロック、ジャズ、ポップス…
いろんな音楽の愉しさを知っています。

クラシックにももっと親しみを抱いていただけるよう
30年以上前からトークコンサートを行ってきましたが
何か他に良い方法はないか…と、考えていたある晩、

またも夢にルイジ(ベートーヴェン)が出てきて
こんなことをいわれまし

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オノマトペの国

オノマトペの国

花散りてげっくり長くなる日かな
艸山(くさやま)のくりくり晴れし春の山   小林一茶

日が“げっくり”長くなる、とか
山が“くりくり”晴れる、とはどういう感じかを

はっきりとは説明できなくても
“なんとなく”そのニュアンスがわかるのが
オノマトペの楽しいところです。

以前から一茶はオノマトペの天才、と思っていましたが

  おんひらおんひら蝶も金毘羅参り哉

という句を知って、彼はオノマトペ

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おのがじし で生きる

おのがじし で生きる

.
  水芭蕉の花が におっている
  夢みてにおっている 水のほとり

、、と、2番の歌詩にはありますが『(夏の思い出』)
はたして水芭蕉ってどんな香りなのでしょう?

「悪臭だ(←それは外来種らしい)」「無臭だ」など
諸説あってずっと気になっていたので
久しぶりに大好きなひみつの?場所を訪れました。

そこでは、花嫁さんの綿帽子のようなミルク色の苞が
ある場所はぽつりぼつりと、ある場所にはグル

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