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ずらして、ひねって、妄想するDESIGN #9 「ビジネス3」(事業システム編1)

 新たなアイデアを生み出すための「ずらして、ひねって、妄想する」事例を紹介します。

 今回、紹介します事例は、杉浦康平氏の時間地図のような「面白い地図」を生み出したアイデアに基づく事業化を想定した事例となります。

【事業システムの概要】

 前回に引き続き、杉浦康平氏の時間地図に基づき、「ずらして、ひねって、妄想する」ことより導出した「仮想旅行ができる地図1」を、事業化した場合の事例について紹介します。

 今回は、事業システムの一つとして、ユーザーによる「仮想旅行ができる地図1」の利用時の位置情報などを、新たな旅行企画に活用するため、JTB(旅行代理店)との協業を想定した事例を紹介します。

 次回は、もう一つの事業システムとして、「仮想旅行ができる地図1」をよりリアルな旅行体験にするため、Uber Eats(デリバリー事業者)との協業を想定した場合の事例(「仮想旅行ができる地図2」)を紹介します。

【「仮想旅行ができる地図1」の機能】

「仮想旅行ができる地図1」(※1)

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※1 Google Earthを活用することによって、上空を浮遊している感覚で、自由自在に旅行先の映像を楽しむことができる地図。(画像はイメージであり、コントローラーはスマートフォンの画面上に表示)

 「仮想旅行ができる地図1」は、Google Earthの APIをベースにスマートフォンのアプリケーションを開発します。

 スマートフォンのアプリの基本機能としては、自由に移動ができるよう操作性を高める上で、コントローラーを付けます。

 また、地図の目的である今どこにいるかを把握できるようにする上で、現在地を表示することとし、最終的に目的地に行くことができるようにする上で、目的地を表示します。

 スマートフォンのアプリの付加機能としては、「仮想旅行ができる地図1」上において、地域の特産品の販売店があれば、特産品の簡易な説明を表示すると共に特産品の販売サイトへの遷移できるようにします。

 「仮想旅行ができる地図1」上において、美術館などの観光施設があれば、観光施設の簡易な説明を表示すると共に美術館などの観光施設のサイトに移動できるようにします。

 また、スマートフォンのアプリのユーザーの利用履歴に基づきパーソナライズされたおすすめコースを紹介します。そして、実際の旅行では行こうと思わないものの、仮想旅行であれば行ってもよいというような、ユーザーにとっておすすめではないコースを紹介します。

 スマートフォンのアプリの周辺機能としては、「仮想旅行ができる地図1」を利用した映像やコメント、また、実際に旅行をした際の映像やコメントをコミュニティサイトで表示できるようにします。また、ユーザー自身のSNSにも、仮想旅行体験をした映像や実際に旅行をした際の映像やコメントを自動的にシェアできるようにします。

【「仮想旅行ができる地図1」の事業システム】

 「仮想旅行ができる地図1」の事業システムとして、「仮想旅行ができる地図1」を利用するユーザーの移動情報や属性情報などを収集し、それらの情報を解析することにより、ユーザーが実際に旅行をしたいと思う新たな観光スポットを発見することができます。

 また、ユーザーに対して課金はせず、フリーで利用できるようにすることにより、ユーザーの移動情報を大量に収集することによって、確度の高いユーザーのニーズに基づくパーソナライズした旅行を企画することができます。

 そして、より多くのユーザーを獲得する上で、「仮想旅行ができる地図1」との親和性が高いJTB(旅行代理店)のWebサイトに、「仮想旅行ができる地図1」のアプリを表示する(埋め込む)など、グロースハックすることによって、ユーザー数を増加させることができます。

 これらの事業システムにより、JTB(旅行代理店)においては、「仮想旅行ができる地図1」を活用することによって、ユーザーが実際に旅行をしたいと思った場所はもちろん、実際に旅行をしたいと思わなかった場所も発見することができることにあわせ、ビッグデータ化した情報に基づくパーソナライズされた実際の旅行企画を提案することができます。

 また、仕事が忙しいため、コロナ禍のため、病気やケガのためなど、様々な事情により旅行をすることができない人が、「仮想旅行ができる地図1」を利用し、旅行のニーズが喚起されることによって、旅行をすることができる状況になった場合、実際の旅行へ誘導することができます。

 そして、「仮想旅行ができる地図1」を利用したユーザーが、コミュニティサイトに「仮想旅行ができる地図1」を利用した際の映像やコメント、また、実際に旅行をした際の映像やコメントを表示することにあわせ、それらの映像やコメントをSNSへ自動的にシェアすることにより、旅行に関心がなかった友達を新たなターゲットとすることができます。

 このように、JTB(旅行代理店)は、「仮想旅行ができる地図1」を活用することによって、ユーザーの行動データに基づく付加価値のある旅行企画に関するコンサルティングを強化することができるのではないかと考えます。

 次回は、もう一つの事業システムである「仮想旅行ができる地図1」をよりリアルな旅行体験にするため、Uber Eats(デリバリー事業者)との協業を想定した場合の事例(「仮想旅行ができる地図2」)を紹介します。

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