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映画「ドラえもん」を語り倒す 第1回:のび太の大魔境

先にお伝えしますが、自分は「ドラえもん」信者です。ドラえもんと共に生き、ドラえもんに大切なことをすべて教えてもらいました。結婚式では従姉に頼み込んで「少年期」をバイオリンで弾き語ってもらいました。そんなわけで、まともに「ドラえもん」を語りつくすと確実に卒論レベルの字数になってしまい取っ散らかりまくるので、一旦脳死で「大長編を一つ一つ語っていく」ということにしました。ということで第1回は、そんな大長編の中で1,2を争うほど大好きな「のび太の大魔境」です。近年リメイクもされていますが、一旦ここではオリジナルの方(1982年公開版)にて。ちなみに「ドラえもん」シリーズのnoteでは申し訳ないのですが、ネタバレ全開で行きます。

【魅力その① - 冒険の舞台のワクワク】

「藤子・F・不二雄が生きていたころの大長編には駄作はない」と考えている自分ですが、その中でも特に「未知への冒険」に主眼が置かれた作品が「大魔境」「魔界大冒険」「海底鬼岩城」と考えています。この3作品は各々、・ジャングル、・魔界、・深海 を舞台とし、特に冒険パートに尺が長く割かれています。特にこの「大魔境」は素晴らしく、そもそもの入りからして、

・アマゾンの奥地に衛星写真にどうしても雲で隠れて見えない場所「ヘビー・スモーカーズ・フォレスト」が存在し、そこには謎の巨大石像があった。のび太一行は、拾った犬・ペコと共にアマゾンの未開のジャングルを歩き、「ヘビー・スモーカーズ・フォレスト」へと向かうのであった。

という、もう何この少年のわくわく心100%な展開。「ヘビー・スモーカーズ・フォレスト」ってなんだよ実在すんのかよ、と調べたのは自分一人ではないはず。ちなみに作中では出木杉少年がその存在を教えてくれます。どんな小学生だ。

【魅力その② -ジャングルでの3レベルに分かれた危険区域のワクワク】

実際にジャングル行ってからの冒険がこれまたすさまじく面白い。ジャイアンのこじらせ(失礼)によってドラえもんの秘密道具のうち武器となりそうなものはすべて置いていかれ、それがさらに危機感を強めています。(他にもわらわら案だろとか突っ込んではいけない)特に、ボートで川下りしているときに無数のワニに囲まれてどこでもドアが食い千切られるシーンは下手なホラー映画を超える恐怖。ジャングルの怖さ・底知れなさが前半から炸裂しまくります。

そして極めつけは、目的地に行くまでの3レベルに分かれた危険区域の説明の魅力。翻訳こんにゃくを食べた原住民によると、目的地にたどり着くためには3つの命が必要との事。

・ライオンが無数にいるサバンナ。7の7の7倍ライオンいる。ここで一つ命を落とす。

・その先にあるは死霊の谷。死霊の光、死霊の声。谷は深く登れない下れない。また一つ命を落とす。

・そして最後に待つは霧によって永遠に閉ざされた死者の国。入れば二度と生きて戻れない。三つ目の命落とす。

プレゼン上手か。と突っ込みたくなる素敵すぎる説明。上記、まったくもって記憶だけで書いたのですが多分大体合ってる。7の7の7倍とか、そんな表現ありかよ。死霊の谷とかもーめちゃくちゃにワクワクしました。ここから先にどんな冒険が待ち受けているのか?最高ですね。

【魅力その③ -感動的すぎる友情と「だからみんなで」】

さっき「こじらせ」と言ってしまいましたが、この作品のジャイアンは全長編作品のジャイアンの中で最も魅力的です(もう一個問答無用に格好いい「ドラビアンナイト」ってのがありますが)。てか完全に主人公です。ずっとずっと、自分のせいで仲間を危険にさらしたという責任にさいなまれていたジャイアン。そんなジャイアンがクライマックスで自分の命をなげうち、責任を取ろうとします。しかしのび太一行がそのジャイアンを見捨てるはずがない。

「だからみんなで」をバックに、「きっと みんなの力を合わせたら きっとぼくはいくじなしじゃない きっとみんなと強くなれるよ」と歌い上げるBGMの中、燃え盛る炎をバックに、ジャイアンの元に一人また一人と集っていく様は涙なしには見られません。「これから何があっても、ぼくたちはずっと一緒だよ」と語りかけ、固く握手するジャイアンとのび太一行。永遠に語り継がれるべき、ドラえもん屈指の名シークエンスです。

【魅力その④ -格好良すぎるヴィランズの兵器&特撮バトル】

この作品のすごいところは、上記の通り冒険・人間ドラマが高次元なのに更にラストバトルまで格好いいところ。ヴィランズの持つ兵器の名前が「火を吐く車」「空飛ぶ船」。ドラえもん一流の絶妙なネーミングセンスに、バイキングの船か何かをモチーフにしたのか?という見た目で格好いいのですが、それに対してドラえもん一行は奇策で対抗、珍しく真向対決を繰り広げます。アベンジャーズか!といったような真向対決で、その前の↑のシーンで一度絶望的な戦力差を見せつけられてからなので、普通に燃える。お前らこんなんで核を操る人間世界を支配しようとしてたのかとか突っ込んではいけない。

というようなアベンジャーズ・バトルなのですが、なんとそれでも次第に劣勢を強いられます。初期ドラえもんの長編は本当にヴィランズが強い。というところをまさかの巨大石像が動き出すという特撮展開で逆転。空飛ぶ船をボッコボコにするところ、火を吐く車を次々に踏みつけるところ。ゴジラか。ドラ長編では様々なバトルが今まで行われてきましたが、度々巨大ロボが登場するんですよね。ぱっと思いつくだけでも鉄人兵団、銀河超特急、あとはロボじゃないですが宇宙小戦争。やっぱ巨大化バトルってのは少年ロマンなんでしょうか。にしても序盤のワニから逃げまどってた頃から比べるとえらい規模の違いだ。


「のび太の大魔境」は本当に魅力がたくさん詰まっています。序盤はジャングルでのワクワク動物交流会、中盤はライオン、死霊の谷との死闘、そして終盤は↑のアベンジャーズ・バトル~特撮バトル。そしてそこに少年たちの勇気と友情が作用しており、飽きさせません。親になった立場からすると、分かりやすい冒険ものなので最も息子に受けが良かった作品の一つでもありますね。あとは「夢幻三剣士」「鉄人兵団」がやっぱよかったです。夏休みですし、確かアマプラでも見れるはずなので、一度観直してみる or 観てみるのもいかがでしょうか。

次回は「鉄人兵団」か「海底鬼岩城」あたりを書こうかと思います。

#マンガ感想文 #ドラえもん #藤子・F・不二雄 #マンガ #レビュー


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