内定駅発快速急行地獄行き

この時期、就活生は大詰めを迎えているだろう。
大体の会社は10月に内定式を終えるため、それまでが一旦のタイムリミットとも言える。

かくいう私も就活生のこの時期は求人票と睨めっこしながら会社を探していた。学校のOBや教員から会社の選び方や気をつけた方が良いこと、先人の知恵を必死にかき集めてもいた。

だが、どうも内定がもらえない。4月から始めた就活は気づけば8月になっていた。

「この会社に入って何がしたいですか」「入社して10年後どうなっていたいですか」その質問に答えられず、後日突きつけられるのは応援メッセージの書かれた不採用通知だ。将来の展望がなければ働いていけない世の中らしい。

気づけば友人はどんどん内定が出ており、その度に作り笑顔で内定おめでとうとLINEを返していた。

どこでも良い、過労死しなければ良い、どこか良い会社はないだろうか。就活が長期戦になればなるほど会社に求める条件が低くなってくる。いつの間にか戦っている相手は他人への見栄になっている。

この精神に真っ黒な企業はするりと手を伸ばしてくる。そして、差し出された地獄への片道切符は、当の本人には虹色の内定切符に見えているから恐ろしい。

今になってわかるが、当時は急いでいて就活のゴールを内定と誤って認識していた。本当のゴールは辞めたいと思うことがない会社に入ることだ。しかし、現役の就活生にそこまで考えられる視野はほとんどない。

Twitterの社会人を見ていればわかると思うが、働くことはこれほど望んだ割にはそう良いものでもない。ストロングゼロで麻痺させながら働いている人もいるほどだ。

だから、どうか今の就活生は急がないで欲しい。最短でステップを踏むことが必ずしも良い人生じゃない。本当にゆっくりで良い、なるべく後悔しないように決めてほしい。ゆっくり過ぎても問題ないくらい人生の道のりはまだまだ長い。

私は今夏、激務により休職している。もし過去の自分にアドバイスできたなら伝えてあげたい。
肩を張らず、気楽に、そして6割の力で良いからと。
私のように快速急行地獄行きに乗らないために。


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