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小学4年生から国語力を身につけるテキストの活用法


かなり間が空いてしまいましたが、久しぶりにnoteを再開したいと思います。
今回から数回に分けて、学年別の勉強方法と僕なりのテキストの活用術についてまとめていこうと思います。
というわけでまずは4年生から。

4年生の国語って何をしたらいいの?

僕が4年生を担当する場合、「国語を学ぶ上での基本姿勢の確立」を通年目標として、特に前期の授業では、具体的な解法や演習以上ではなく、学び方の面に焦点をあてて、徹底的に基本姿勢を身に着けてもらいます。
「国語を学ぶ上での基本姿勢の確立」と書きましたが、具体的には次の3点です。

①知らない語句と出会ったときに辞書を引く習慣
②授業で扱った文章を音読する習慣
③漢字テストで合格できる水準で勉強する習慣

僕たちの仕事は、いい授業をしたり効果的なノウハウを紹介したりして終わりではなく、あくまで「成績を引き上げる」ことが求められておりますので、①~③の習慣を身につけさせるために課題や授業を設計し、とにかく泥臭く、時間をかけて週間化まで持っていきます。

辞書を引く習慣


たとえば、①に関しては授業に辞書を持ってきてもらい、知らない語句はその場で調べてもらいます。
また、課題の中にその日に扱う教材の中で、意味を知っておいた方がいい言葉を6つ選び(一日一問取り組むという意図で6問にしています)、その語句の意味を辞書で引き、例文を作って来るというものを設けています。
半年もすると、辞書を用意することと、すぐに調べることが習慣になります。
(僕が所属する教室のひとつでは、自習室の席と同数の辞書を置いてもらっています。)

音読の習慣

②の音読習慣は授業内の音読、家庭課題、保護者の方の協力という3方面からのアプローチをかけています。
まず、授業内で扱う文章に関しては一行ごとに交代で音読をしてもらいます(もちろん吃音などの不安がないクラスの場合)。
その際、音読でつまずいたところは全て記録し、間違え方をa付属語でのつまずき、b漢字でのつまずき、c文節に関するつまずきの3パターンに分けて分析し、各生徒さんの読解特性を把握していきます。
家庭での音読に関しては習慣の学習スケジュール表の中にチェック項目があり、保護者の方に聞いてもらい、チェックをしてもらうという仕組みをとっています。
保護者の方の前で行ってもらっているのには子供たちが適当に課題を終わらせないためというのと同時に、子供たちの現状とこれからの変化を感じてほしいという思いがあるからです。
国語はどうしても他の科目と比べて結果が出るまでに時間がかかる上に、成長が見えづらく、不安を覚える方が少なくありません。
そこで、少しでも成長を実感してもらいたいと思い、親子での音読練習を採用しています。
もちろんただ音読を聞いてもらうだけでは保護者の方の負担にしかならないので、僕が授業の中で気づいた音読の特性やコミュニケーションのとり方、具体的な音読の精度目標などを定期的に共有して、音読の効果を高めるということもしています。

漢字練習の習慣

もちろん一週間あたりの覚える量にもよりますが、③に関しては、特に4年生の場合ではいきなり「絶対に合格」というのは難しいと思っています。
とにかくやらせて、徹底的に追いかけてというやり方をすれば漢字テストの合格「は」できるでしょう。
しかし、初期の時点でそれをやってしまうと、a他の宿題がいいかげんになる、b他の科目の学習時間を奪う、そして何よりc4年生時点で勉強が嫌いになるという恐れがあります。
むちゃな押し付けは早晩無理がくるでしょう。
そういった理由から、表では合格を目標にしつつも、裏では保護者の方と早ければ春期講習~夏期講習前くらいの長期スパンで合格が当然になる勉強の習慣作りを提案するというのが僕のやりかたです。

長期的に学習姿勢を改善するのに必要なものは何をさしおいてもデータです。
こうしたやり方を実践するため、僕は課題の出し方を工夫しています。
僕は宿題の冊子の中に、日付の書かれた漢字の練習シートを入れて、「いつ」「どれくらいの分量」を行ったのかが分かるようにしています。(生徒全員分データにしている推移を分析しています)
これにより、物量なのか、バランスなのか、それとも他に課題があるのかということを分析します。
また、どれくらい練習すれば合格できるのか?が分からない生徒さんに練習量と結果に反映されるパフォーマンスを自覚してもらうために、小テストと称した簡易版のテストを宿題の中に複数枚入れることもあります。
こうしたものを用いて、生徒さん、保護者さん、僕の三人四脚で徐々に漢字の点数を上げられることを目標にしています。
ちなみに僕はこのやり方をするので、毎年授業開始時点では得点が10%くらいという子もザラです(もしそういうお子さんをお持ちの方がいても安心してください!笑)
そういう子でも、ゆっくり向き合っていると、このくらいの時期にはそこそこの得点を安定して取れるようになってきます。
実際、今年の生徒さんもここのところ全員7割は得点できるようになってきています。(合格点は基本8割、学習の質を上げる段階に入った生徒さんに関しては個別に合格点を設定)

というのが僕の授業の設計です。
こうしたことをしながら、7月終了時点で学ぶための習慣がつけばいいなあというくらい。
4年生時点からいきなり詰め込みをして、毎回確実に模試で既習範囲で高得点を取るというのももちろんありだと思うのですが、僕はそれができない生徒さん、またはそういう学習に疑問を抱く保護者の方もいると思い、また、国語という科目の性質上長期的な視点で動きやすいということもあり、基礎力底上げ担当という意識でこういう授業を行っています。

テキストの活用法

さて、以上が僕の小学4年生の授業の基本コンセプトなのですが、これに加えて授業ではテキストの使用価値が最大になるように補助教材を作成したり宿題の出し方を工夫したりしています。
おそらくどうやって勉強していいのか悩むのが国語という科目だと思います。
そこで、ここからは僕の授業の設計に触れつつ、4年生のテキストの活用法を考えていこうと思います。

ひとつの題材を徹底的に読みこなすという勉強

4年生の指導をするときの僕の教材利用に関する基本方針は「少ない教材を味わい尽くす」です。
僕が主任を務める塾では4年生の授業は50分×2コマであるため、中々何問も扱うことができません。(知識分野の解説に加えて先述の通り、学び方の指導や前回の復習等もかなりいれるため)
雑に何問も解かせて、それっぽい解法を言って終わりでは国語は絶対に伸びません。
そこで僕は割り切って授業(というか宿題も含め1週間)で扱う文章は一問だけとしています。


その代わり授業や復習、追加教材を通してあらゆる角度から何回もその文章に触れ、理解を深めるというスタイルです。(一応授業中の音読、演習、解説、そして家庭学習の音読、語句調べ、追加の一問一答、そして次週の授業での復習でひとつの文章を最低7回読み込むように設計しています)

テキストを有効活用するための課題設定

こうした一問を深く読み解くために、僕は以下のような追加教材を宿題に取り入れています。

①音読達成シート
②語句調べ
③本文把握一問一答

①は前の節で書いたように、家庭での音読の習慣化を促す目的のシートです。
意図と使い方は前述したとおりなので割愛します。
②の語句調べは「辞書を引く習慣」のところで紹介したものなのですが、辞書引き以外にも意図があるので、そちらを少し紹介させてください。
例文作りを通して辞書引きお習慣化、語彙力強化を狙っているのに加えて、例文作成には次のような意図があります。
例文を作ってもらうことで、その言葉の意図の正確な理解につながるのに加えて、例文の添削を通して生徒さんとコミュニケーションが取れるのと同時に、「お母さんごはん」のように目的語や主語が抜けた文を修正する。
これが4年生時点でできていると、5年生、6年生と学年があがったときの記述に対するアプローチの数が増えます。

③の本文把握一問一答とは、僕はその文章を問題にするなら聞くであろう“全ての部分”を問いにした一問一答です。
全て記述で答えてもらう形式としていて、出てきた順なので難易度もさまざま。
出題され得る全ての箇所を問題として触れ、記述形式で答えておけば、一定の本文理解はできるであろうという思想のもと作ったこちらの宿題。
次週の授業の冒頭で簡単な説明をすることと、添削をあわせて、内容理解を深めます。

以上が僕の授業の組み立てです。
週に一問というのはかなり不安に思われるかもしれませんが、毎年(特に後半からは)きちんと結果にあらわれますし、なにより次学年になったときに成長曲線がかなり大きいという声を多くいただきます。
一問を深く読み込む。
そのために僕が行うのは上記の通りです。
もし、保護者の皆様の考え方にあっていて、かつ可能性を感じてくださった方がおりましたら、ぜひ取り入れて見てください。
特に、国語に苦手意識のある子には効果的かと思います。
(反対にすでに読めるけれど間に合わないという子に関しては別のアプローチがあるのですが、それはまた今度)

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