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面接は落ちるためにある

「慎重に選考いたしました結果、残念ながらご期待に添えない結果となりました。この度は、多数の企業の中から弊社にご応募頂きましたことを深くお礼申し上げますとともに、貴殿の今後のご活躍をお祈り申し上げます。」

決まりきった定型文を受信し、僕はまた肩を落とした。

結構いい会社だと思ったのだが...

「落ちたー」「祈られたー」とTwitterに書き込み
好反応だったはずの面接官とのやり取りを思い出し、
何がいけなかったんだろうと頭を抱える。

ふと前を見ると不思議な電話ボックスがある。

これはもしかして...
ドラえもんの秘密道具、「もしもボックス」では?

冗談半分と憂さ晴らし半分で
僕は受話器を取り叫んだ。

「もしも受けた面接が全部受かったら!!!」

次の日、僕はまた別の会社の面接を受けに都内へ向かった。
なんか今日の面接官、感じ悪いなあ...
ちゃんと僕の話聞いてるんだろうか?
他の学生も、どこかで聞いたような当たり障りのないことばかり話す。
なんか、同期になっても仲良くなれそうな感じがしない。

次の会社は、逆質問で話を聞いていると、どうも僕のやりたい仕事とは少し違うらしい。
でも、有名な大手企業だし、そこに目を瞑れば特に問題はなさそうだ。

それからも毎日色々な会社の面接を受け続けたが、
何かどこの会社も良さそうな気がしてくる。
でも気のせいかもしれない。

数日後、
メールボックスを見て僕は驚愕した。
受けた面接、全て通過しているではないか。
まさか、いつかのもしもボックスの効果か?

しばらくして僕は、再び肩を落とした。

わからない。

どの会社が自分に合っているのか、全く分からない。
面接官が感じ悪く他の学生と合わなさそうなあの会社は辞退してしまおうか。
でも面接官以外の社員はいい人かもしれないし、一緒に受けた人達は全滅するかもしれない。
だからとりあえず保留にしておこう。

その後も僕は選考を受け続けた。
選考には全て残り、最終面接にまず5社進めた。

どうしよう...
ますますわからなくなっていく。

結局例の会社も次の選考からは特に気になることもなく進んだため、
とりあえず最終面接も受けに行くことにした。

やりたい事とは違う大手企業も、ネームバリューはあるので、
とりあえず最終面接も受けに行くことにした。

まだ選考が一次面接や二次面接の会社も全て通っている。
そこまで関心はないけど妥協で受けた会社も全て通っている。
ブッキングで興味があったが選考が初期だった会社を辞退した。
でもいつ魔法が解けるかも分からないし、最終面接を優先するしかない。
面接がぎっしり過ぎて交通費もヤバい。

もしもボックスの魔法がずっと続くなら、超難関企業も受けてみようか。
もし華の総合商社と自分のやりたいことをできる会社両方内定出たら
どちらに行けばいいだろうか。

そもそも、僕はどの会社に行けばやりたい仕事ができるのか。
面接官は本当に僕が入社後活躍できると思っているのだろうか。
面接官は真剣に僕のことを見極めているのだろうか。
そもそもこんなに会社を受けて、僕は会社のことを見極められているのだろうか。

わからない。

こんな呪い、解けてしまえばいいのに...

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今のフィクションを読んでお分かり頂けただろうか。
面接はある種のスクリーミングなのである。

目の前の学生のやりたいことと自社の仕事はマッチしているか
目の前の学生を自社で生かすことができるか
目の前の学生と自社の価値観はマッチしているか

面接官は判断し、合わないと判断した場合は
たとえ優秀ないい子でもお断りをするのだ。
逆にここを見誤るとミスマッチが起こり早期離職に繋がったりする。

だから面接に落ちることは悪いことではない。
あなたがその会社に入るに至らない低レベルの人間だというわけではない。

勿論面接で話す内容が芳しくなかったり、
上手く伝えることができずに落ちているのであれば、
それはあなたに原因がある。
僕も実際にこの状況でかなり苦しんだ。

だがこれも伝え方や自己理解の問題なので、
あなたに価値がないわけではない。

僕達は今までの受験のように就活を捉えがちだが、
それは大きな間違いだ。

入社しても自分が幸せになれない会社に
不必要に時間と交通費を割く必要はない。

実際の僕は本当に数々の企業に落とされたが、
結果的には価値観の合う会社にたどり着くことができた。

とはいえいざ複数社から祈られ続ければ落ち込むし自信も失くす。

だからその時はこの記事を思い出してほしい。

面接は落ちるためにある

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