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HSP当事者として社会で生きていくために考えたこと

 先日とくダネでHSPが特集されていた。
 ワイドショーでもされたのか、ただいまtwitterのトレンドにも上がっている。『「繊細さん」の本』が話題になったこともあり、近年HSP(Highly Sensitive Person)というものについての認知度が向上しつつある。このnoteでも毎度タグをつけているが、私も最近HSPを知った。

 そんなHSP当事者で抑うつ状態により仕事も休職中の私が、HSPが生きていく中でぶつかる絶望感と克服への展望について(嘘)書いてみたいと思う。

HSPとはなんぞや

 出だしから申し訳ないのだが、これは他の人の記事を参照していただくか、ネットで「HSP とは」で検索していただけたらと思う。というか、そのキーワードでこの記事に辿り着いた人は大体どんなものか聞いているのではないだろうか。
 ざっくり言うと、「外部からの様々な情報(≒刺激)を敏感にキャッチしまくる人」である。 

 HSPについてはネットで調べるほか、武田友紀さんというHSP専門カウンセラーの方の著書『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』を読んで学んだ。
 今なら大体どこの本屋でも平積みされているので、興味がある方は是非読んでみてほしい。特に「もしかして私ってHSP…?」と思ってる人。

 ちなみに、HSPというのは5人に1人とか4人に1人とか言われているので、かなりの頻度で当て嵌まる。同じ星座の人よりも多いのだ。全然珍しくない。
 HSPというのは障害でもなければ、メンタル脆弱水溶性とかそういう話でもない(結果メンタルは金魚すくいのアレくらい弱くなるけれど)。脳の作用の問題である。脳の偏桃体というところが活発なのかなんやかんやで、神経物質がどっばどばし、結果神経が昂りやすいとかそういう感じのアレだそうだ。知らんけど。
 そもそも敏感だったり臆病だったりする性質は危険を察知・回避するための本能的な機能である。そこが必要以上に機能しまくっているというわけだそうだ。ということは、足が速い人とか音痴な人と同じくらいその辺に沢山いてもおかしくないわけである。

 なお、HSPも一括りにできるものではなく、HSP/HSSなど4つくらい組み合わせがあるので、気になる人は調べてみるといい。

HSPでない人は実在する

 さて、TVではHSPのチェックリストなんかも紹介されている。これを見て「おまwwこれみんな当て嵌まるやろww」と思った方、おそらくあなたはHSPの傾向が少なからずある。占いみたいなもんで、みんなそれっぽく解釈して「私もかも…?」と思っちゃうんでしょ~~~?眉唾~~?と思ったあなた、わかる。私もそう思った。

 ところが、現実はどうやらそうではないらしい。

 なんと出演者陣が「ほぼ当て嵌まらない」「チェックリスト0個」と言っていたのである。

 当て嵌まらない奴、TVの向こうにいっぱいいたわ。正直驚きすぎて信じられなかった。いやあ、ニュースのコメンテーターって図太そうだなとは思っていたけど、0個って…逆に円滑な人間関係を築くのに不便はないのだろうか。ないか。

 私はチェックリスト全問◎のエリートHSPである。ただし、性格診断はINTP型というHSPと対極にありそうな思考回路を持っているので、ステレオタイプからはやや外れているけれど(HSP気質持ちのINTPについてはまた別に書きたいと言い続けて数ヶ月経った)。

 音や光が苦手だったり、相手が忙しそうだと遠慮してしまったり、思ってもいないお世辞を言って場を取り繕ったり、映画の胸糞描写に引き摺られてしまったり、緊張しやすかったり、独りの場所(=外部からの情報が無い場所)へ逃げ帰りたくなるようなことが、全く無い人がこの世には存在するんだろうか。見栄を張って当て嵌まらないですって嘘吐いてるんじゃないだろうか。

 嘘、吐いてないらしいのだ。
 斯く云う私の恋人も、HSPとは無縁だと言う。メンタルはちょっとしゅんとしやすいけれど、他人なんて糞喰らえで全然気にしない。傍若無人なのではなく、そもそも「気付かない」のである。

 「気付かない」

 大前提が違うわけだ。

HSPの人と非HSPの人が相互理解のために忘れてはならないこと

 この、「大前提が違う」というのが肝である。ここを忘れてしまうと何も上手くいかず、人間関係で悲しい思いをし続ける羽目になる(覚えておいても悲しいことは避けられないけどね…)。

 先に挙げた『繊細さんの本』で以下の記述がある。私がこの本の中で一番大事だと思った箇所だ。

実は、繊細さんにとって最大の罠は「相手の”わからない”という感覚が、わからない」ことなのです。
繊細さんと非・繊細さんの感覚の違いは、繊細さんの想像をはるかに超えています。
繊細さんはとりわけ感じる力が強いため、「相手も自分と同じように感じているはず」と思って非・繊細さんに接すると、思わぬすれ違いが生じ、誰も悪くないのに傷ついてしまうことがあるのです。

 HSPである人も、HSPではない人も、他人が自分と同じように感じている(情報を取得している)と思い込んではいけないのである。

 方向音痴に例えると身近でしっくりくるかもしれない。
 方向音痴の人はなんで道がわかるのか全然わからないし、方向音痴でない人はなんでこんなところで迷うのか全然わからない。これはもう皆生まれつきの性質だと思って割り切れているのではないか?
 「この人は方向音痴だからな~w」で済まされるように、いつか「この人はHSPだからな~w」で済まされる日もくるのだろうか。

 HSPを長所に活かす

 前述のとおり私はエリートHSPだが、HSPで良かったこともないわけではない。私は「繊細さん」という表現も何となくデリケートさを強調しすぎているようであまり腑に落ちていない。HSPをプラスに捉えるイメージとしては、「無意識に収集する情報量が多い人」がしっくりくると思っている。長いけど。

 私が近しい人に最も言われる長所が2つある。

・人のことをよく見ている
・言ってほしい言葉で励ましてくれる

 前者は誰かを褒める時にも、悪口で盛り上がる時(笑)にも使える。人間関係で相談された時などに「あの人は~~~なタイプだから~~~するといいよ」と言ったアドバイスができたりする。これを極めれば、人事なんかに使えるのだろうか。知らんけど。
 後者はもうそのまんまだ。ありきたりな言葉による慰めや励ましではなく、その人が今一番モヤモヤっとしているところを見抜き、必要な言葉を掛けてあげられるらしい(らしい)。本当ならばこんなに嬉しいことはないよね。

 「痒い所に手が届く」
 これは友人から言われた言葉だ。HSPでないと気付けない情報は少なくなく、それとなくそこを対処してあげると、あなたにしかできない役目を見つけることができるようになるのかもしれない。
 これは人間関係に限らない。仕事はもちろん、自然観察やペットとの接し方、芸術鑑賞などなんにでも言えることだ。残念ながらHSPは治療できる類のものではないので、使えるものは何でも武器として使っていくしかない。

とは言え、HSPだと社会生活に不利が多いのも事実

 ていうかもはや不利しかない(※愚痴)。

 HSPの多くはストレス耐性が無い。正確には耐性が無いのではなく、非HSPの人より多くのストレスを受けているだけである。あいつと私が同じく水溶性だったとして、あっちは霧吹きでなんとなく湿らされているだけなのに、私の方は滝が降ってきているということはよくある。ていうか空気中の水分を常時全て吸収している。除湿器である。

 そんなわけで、私のように呆気無く抑うつ状態に陥ったり、心身の調子を崩して日常生活に支障を来すことも多いのである。

 5人に1人と言うのが厄介だ。地味に多い。
 職場のメンタル相談員に「HSPらしくて」と話をしたことがある。「ああ、HSPねw」と鼻で笑われた。鼻で笑われた?!おそらくだが、相談員のもとに来る人間は大体みんなHSPを自称するのだろう。またこいつもかと思われても無理はない。特別なことではないのだから。
 しかし、特別困っているのもまた事実なのだとわかってほしい。

 HSPは気質であって治療はできない。けれども、責任をもって社会での役割を果たすためには、「ぴえぇHSPだもん><」と甘えることは許されないのが現実である。つらい。本当に無理。
 対処療法として安定剤を飲みながら、自分に降り掛かる過剰なストレスを騙し騙しやっていくしかない。「みんなそうやって頑張ってるんだから」?うるさい、ばーか!でも、そうしなれけば許されないのが現実世界だ。

 ではどうするか?

 答えは「逃げる」しかない。

HSPであることを生活の基準にする

 何度でも言うが、気質なので治療できない。誤魔化すか、諦めてHSPであることを自分の生活の基準にしてしまうかの2択だ。

『西の魔女が死んだ』だったか、そういう名前の小説に「シロクマが北極でしか生きられないからと言って誰がシロクマを責めますか」だかそういう台詞が出てきたと聞いた(未読ですすみません)。

 名言だ。まさにこれぞ本質。
 人間だって、生きられないところで生きる必要はない。

 方向音痴なのにタクシー運転手になる必要はないし、大きな音が苦手ならパチンコ屋のバイトはやめておけばいい。船酔いするのに船で働かなくちゃいけない道理はないのだ。

 もしあなたが今の学校、職場でつらさを感じていたり、無理が祟って病気になってしまったならば、おそらくそこはあなたが「生きられる」場所ではなかったのだ。潔くそう思ってしまってもいいと思う。

 同じHSPと言っても人によって「まぢムリ。。」な箇所は異なるし、興味のあることも異なるだろうから、これがおすすめ!!!!!!!!という職業はないけれど、少なくとも無理なところで働き続ける必要はないのだ。
 むしろ、無理なところは続かない。私たちは誰でも自分の得意だけでなく不得意を理解して、やっていける場所を探し続けるしかないのだ。

 とは言え、もちろん逃げられない場合もあるだろう。私も現職は本当に向いてないと気付いてしまったが、色んな事情で辞めたくない。職場で重い責任を負っている人、様々なしがらみから逃れられない人、色々いるだろう。

 または、どんなに向いてないとわかっても、やりたいという願望があるなら続ければいい。向いてないからと言って辞めちまえ!!という権利はない――否、あなたにはやりたいことを続ける権利がある。他人に迷惑を掛けず、また自分を壊さない範囲で頑張ってほしい。

 こういう逃れられない人たちは、やはり「自分を騙し騙しやっていく」しかない。世知辛いけれど、今のところ諦めや割り切るしかないのだという。

さいごに:HSPの人が非HSPの人たちの中で頑張っていくコツ(※自流)

 結局この記事は何を言いたいのかよくわからなくなってしまった。
 仕方がないので、HSPの私が現在最も有効だと感じている社会でやっていくためのコツをご紹介して終わろうと思う。あくまで自己流であって、これを実行したことで生じる如何なる事態にも責任は負えない。

 ちょっと過激だが、「全員殺す」というつもりで生きていくのがおすすめだ。
 HSPだと色んなことが気になって、しかも遠慮して自分だけ割を食うことが多い。そんなときこそ、殺意で以って自分を奮い立たせてほしい。もちろん、あくまで心の中での殺意であって、これを他人に対して口にしたり何か行動に移すのはいけないことだ。そこははき違えてはいけない。

 殺意に抵抗があれば「うるせえばーか!」とかでもいい。なんだったら「ククク…私が異世界から転生してきた魔王だと知っての所業か?愚かな人類め…」とかでもいい。自分を強気に奮い立たせてくれるものならなんでもいいのだ。

 しょうもない自己暗示だが、これも「自分を騙し騙しやっていく」ための一つのワザとして検討してみてほしい。

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