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仕事、複業、生業

最近、複業について考えることが多くなった。整理してみようと思う。

仕事=軸

自分はコピーライターをしている。大学3年生のときに大阪で”コピーライター養成講座”なるものを受け、その流れで小さい事務所でバイトをさせてもらい、上京して社会人になり中くらいの制作会社で働き、その後また小さい会社に移り、くじけたり持ち直したりしながら、コピーライターを続けて15年近く経った。経験を積むにつれディレクターなんて身分不相応な肩書もついてやらなきゃいけないことも増えたが、自分ではただのコピーライターだと思っている。

この仕事が、今の自分の”軸”。最初はシャーペンの芯のようにか細かったものを、何度か折れそうになりながらも、なんとか”軸”と呼べる太さに育てることができた(と信じたい)。そしてその軸で、自立してなんとかやっている。いや、フリーではなく会社に所属しながらやっているので、他の軸=仲間たちに寄っかかりながら、なんとか立っていられているのだろう。

まだまだ頼りない軸だが、このコピーライターという軸を太らせるような工夫や動きは、今後も続けていきたいと思う。やればやるほど、やり足らなさに気づいてしまう。エンドレス未熟。でも相変わらず面白さを感じるので、なんとかしがみついていきたい。

しかし最近、「この”軸一本”でやってくのって、どうなん?」と思うようになってきたのだ。

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きっかけは、ご多分に漏れず新型コロナ。テレワークがベースになり、いろいろ省けて時間が増えた。通勤の必要もなくなり、東京にいる必然性もなくなった。そうなると、自分でも単純な頭をしていると思うが、「自然豊かなところに引っ越して、仕事ももうひとつくらいできるのでは!」と妄想するようになった。

「海より山だな」「本屋とかやってみようかな」「変なコンビニみたいなのもいいな」「楽しい場をつくりたいな」「キャンプ場経営しちゃうか」「ビール周りもいいな」「継業でなにか自分にできることはないか」。

基本的にミーハーなので、移住系の雑誌に影響を受けまくりながら、複業の可能性を探っていった。というか、いまも探っている。

その結果、今一番グッときているのが、「森に関わる仕事」。その模索については、別のnoteにまとめようとしている。

一本足と三脚

複業に可能性を感じるようになると、逆にひとつの仕事を軸とする現状に不安を感じるようになった。そこまで太くない一本軸に、自分の自己実現や経済的安定、さらに家族の生活までを乗せてしまっていいのだろうか。生まれたばかりの子の顔がちらつく。

もちろん、一本の軸を立派な木の幹のように太く育てることができれば、揺るがない安定感を得られるのかもしれない。そんな軸を持っていそうな人には心からあこがれる。自分より上の世代は、”ひとつの仕事で飯を食えるようになって一人前”という価値観、揺るがない幹を目指すのが普通だったのではないだろうか。

しかし、世は変化の嵐の真っ只中。VUCAでニューノーマルで、しかもパンデミックだ。強風うずまき足元グラグラな世界を、自分が一本の軸でしっかりと立っていられるかと自問すると、全然自信ねぇ。

多くの仕事と同様、コピーライターという仕事もこの先どうなるかわからない。消えることはないと思うが、有り様や役割は変わる。それに対して実はそこまで悲観的ではないのだが、ただ、嵐にも動じない太い幹に育てられるかというと、その前に吹き飛ばされそうだ。

そんな思いから、もうひとつ、できればもうふたつ、仕事を持ちたいと思うようになった。ひとつひとつの軸は太くなくても、三脚のようにバランスを取り合うことで、なんとか立つ。私が目指す複業はそんなイメージだ。

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あくまで別軸

新たな仕事を複業としてつくろうとするとき、今の軸を活かす方向もあると思う。コピーライターだったら”書く力”を活かして、WEBライター・作家・作詞家といった別の”書く仕事”もできるかもしれない。僕からすれば、ぜんぜん違うプロフェッショナルに感じてしまうのだが、実際にパラレルに活躍している方もいる。書くという幹から伸びる、様々な枝。そんなイメージ。

しかし、自分が目指している複業は、そういう感じではない。せっかく複業するなら、コピーライターという仕事とは違う方向を向いた、別の軸を探して育てたいと思っている。

たとえば、普段はMacBookと向き合う作業をしているから、新たな仕事では自然と向き合う作業がしたい。サラリーマンの立場ばかりでなく、経営者や事業主の視点を持ちたい。こっちでお金は稼げているのだから、こっちは他の何かを満たしたい。誰かの役に立ちやりがいを感じる時間と、自分と対峙する何の役にも立たない時間。そんな幅を持ちたいのだ。

ないものねだり感は否めない。欲張りかもしれない。しかし、せっかく複業をするのならば、今の軸にないものをねだっていきたい。それが自分の複業探しのスタンスなのだ。

複業に対する頭や心の整理は、なんとなくできた。さらに今度は”仕事”や”生業”について考えてみたいと思う。

(つづく)

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