【web小説感想】『少女の戦争』著:空社長+α
皆さまごきげんよう。夏の読書感想文企画でございます。企画概要は第1弾の冒頭をご覧くださいませ。
さて、noteでは第3弾となる夏の読書感想文企画。実は、サムネイルにもあるとおり、第2弾の後に5つほど感想を書いております。
企画概要に明記していますが、カクヨム、ノベルアップ+、Nolaノベル掲載の作品については、投稿サイトに直接レビューをさせていただいたためです。
これは単純に私がこの3つしかアカウントを持っていないせいですね。
今回は8つめの作品の感想を書く前に、3~7回の感想を紹介させてください。
第3~7回の感想一覧
第3回『ブラザーズアローン ~世界に選ばれざる《独りの》兄妹~』著:@flyas
第4回『探偵の友人の推理を小説にしているがバレてない件について』著:砂藪
第5回『桜華堂で待ってる』著:月代零
第6回『ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい~前世はSランク冒険者だったのでこっそり無双します~』著:都鳥
第7回『カリオテの男』著:PAULA0125
第8回の感想
いつの間にかたくさん読んでましたね~。まとめながらびっくりしました。
さて、それでは第8回『少女の戦争』の感想を述べていきます。
あらすじと作品傾向
<作品傾向>
オリジナル戦記/シリアス/魔法/女主人公/戦争/短編
感想
本作はとある架空の二国間で行われた戦争に、魔法使いの兵士として徴兵された少女の物語です。
1万字ちょっとの短編でしたので、すべて拝読いたしました。
作者さんからは『良いところも悪いところも教えて欲しいです。今後の上達に生かしたいです。』とのことでしたので、その2点について述べていきたいと思います。
第1弾と同様、感想というよりも批評っぽい感じになるかな。
「またなんか言ってるわ」程度の生ぬるい目でお付き合いくださいませ。
<良かったところ>
戦争の残酷さや、それに直面する少女の心情をセンセーショナルに描いた本作。
登場人物は魔法少女というめちゃくちゃカワイイ設定なのに、やってくる展開がとことんシビアなのが個人的にツボでした。
読了後はなんだかまどマギを見たくなりました笑
好きだなあと思ったのは、世界観の設定です。
勝利のために手段を選ばないガルタニア帝国と、可能な限り人道を外れない立ち回りをするフランデ共和国の戦争。
このフランデ共和国に所属する魔法使いの少女が、本作の主人公です。
敵国ガルタニアのやることが本当にえっぐいんですよね~。
この国の主戦力、簡単に言うと『戦闘に特化するよう改造された人間や魔物たち』なんです。
量産型の捨て駒がじゃんじゃか攻め込んでくるのはシンプルに怖いですね。
相手は文字通り死に物狂いなわけですから。
魔法使いを主軸としたフランデの正規軍はそれらに完敗。
最終手段かつ奥の手として投下されたのが、主人公たち魔法少女です。
本作では、魔法使いとして最も優れた力を持つのが『少女』という設定になっています。
フランデ軍はもう打つ手なしということで、泣く泣くまだあどけない少女たちを戦場に送り出したのです。
こういう設定、めちゃくちゃ好きです。
主人公が目の当たりにする『戦争』もなかなか恐ろしく描写されていました。
当然ですが、死人が出ます。このお話。
しかも、主人公の目の前で、主人公を庇って、主人公に「生きて」と言い残して死んでいきます。
あんまりだよ、こんなのってないよ!!
私の心の中の鹿目まどかが泣き叫ぶレベルで好きな展開です。
本当にありがとうございました。
<気になったところ>
第1弾と同様、読者が読み進めていくにあたって阻害要因になりそうなところを、2点ほど書きたいと思います。
あくまで私の主観的な意見ですので、深く受けとめずに読んでいただけるとありがたいです。
まず1点目は、動物の名前についてです。
作中にいくつかのキメラが出てくるのですが、以下のような書き方をされていました。
私が浅学なだけなのですが、『ウォルフ』=『オオカミ』や、『ボア』=『ヘビ』とはすぐに連想できませんでした。
調べてやっと、「なるほど~確かにボア・ハンコックは蛇だ~!」ってなったくらいの人間です笑
私があまりこの手のジャンルを読まないからわからないだけで、ファンタジー好きな方は普通にわかることなのかしら。
世界観的に日本語表記になるとそれはそれで違和感があるので、この表記をつかっているんだろうなあとは理解できます。
わからん奴もいるんだなあ程度に思っていただければ幸いでございます。
2点目は言葉の遣い方です。
読んでいて思ったのですが、地の文に違和感というか、あんまりこういう使い方はしないんじゃないかしら…という表現がいくつかありました。
世界観や物語のクオリティが高い分、逆にそういった違和感が悪目立ちしてしまっていた印象です。
例えば、主人公の魔法少女部隊が敵によって大きな痛手を負い、敵国との戦力差に直面するシーン。
この『返り血が何よりの証拠』が少し引っ掛かりました。
『返り血』というのが、基本的に『相手を切ったり刺したりしたときに、はねかかってくる血』のことを言います。
つまり『返り血』が表現するのは敵の血なわけで、それを根拠とできるのは『ある程度の戦果が上がっていて、味方の優勢を説明するとき』なのかなあ、と。
上記のシーンは自軍の劣勢を説明しており、みんなの服についているのは味方の血だと思われます。(普通に敵の血だったらごめんなさい。)
この場合は、『返り血』ではなく『味方の血』とするのが適切なのではないでしょうか。
『返り血』は比ゆ的な意味で好ましくない出来事をさすこともありますが、今回はリアル返り血なので微妙に違うかな、と思った次第です。
こういった感じの、ちょっと説明しにくい違和感がちょこちょこ出てきて、もったいないなあと思ってしまいました。
繰り返しますが、これはあくまで私の主観的な意見なので、「よくわからん奴がなんか言ってるわ」程度に流してください。
作者さんが好きなように、楽しく書いている表現が一番だと思います。
終わりに
つらつらと書いてはいるのですが、結論からいうと好きな作品でした。
やっぱりダークファンタジーはえぐければえぐいほど良いですね笑
個人的に、短編にしておくにはもったいない、中編くらいで読みたいお話でした。
『今後の上達に生かしたい』ということで、良かったところは当然ですが、気になったところもかなり率直な意見を書いています。
作者さんの望むような内容でなければ申し訳ありません。
第8回となった夏の読書感想文企画。
未読作品も残すところ2つとなりました。
普段は自分から読まないジャンルのお話も読めるので、私自身勉強になるところが多いです。
応募してくださった皆さまには本当に感謝しかありません。
残り2作、楽しんでいこうと思います。
最後になりますが、応募していただいた空社長さま、本当にありがとうございました。
本作は以下のリンクから読むことができます。『小説家になろう』のアカウントを持っている方も、持っていない方もぜひ読んでみてくださいませ~!
https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n6271hs/
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