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キャリアに悩む海外駐在員③

転職先を考える軸は、当時の不安・不満の裏返しのようなものでした。

1)会社の 事業の将来性
2)それに伴う自分のキャリアの将来性
3)場所を変えたらもっと価値を出せるのでは、という思い

1)

自分の勤務している会社の将来性って、小さな会社であればあるほど考えやすいし分かりやすいですよね。自分の担当している事業が全社的に見てどの程度の大きさなのか、会社の財務状況、人事の話等、別に社内人脈なんて作らなくても耳に入ってくるわけです。

A事業部は新規事業上手くいっていないから撤退するとか、Bさんはそろそろろ異動させようと思ってる、というのが敢えて社内の正式発表なんていうもがなくても自然と情報として入ってくる環境。社長とか役員と飲みに行けば自然とそういう話が出てくるので、自社の状況というのが非常にリアルタイムで入ってくるわけです。

一方で、現在当方はいわゆる大企業に勤務しているわけですが、そういう話って人事部の正式発表以外ほぼ入ってこないというのが不思議な感覚というかまだ慣れないというか。人事異動も毎月1日に社内掲示板的な形で発表されるわけですが、敢えて一日にする必要性なくないか?と思ったり笑。別に月の途中でも異動の必要性があるなら異動すればいいしさせればいいじゃん、と思うのが正直な所。

部長と飲みに行けば、人事の件について何となくの雰囲気の部分は知ることは出来るけども、ただ結局部長も最終決定権を持っておらず、人事部がそういうのは決めてるんだなあというのも最近見えてきたり。

何だか、権限を持っている人間が随分と遠くにいるんだなあ、というのが実感です。

前職時代に話を戻すと、要は自社の将来性が良くも悪くも見えていたんですよね。このまま今の会社にいても、ビジネスモデル的にジリ貧だな、と。

商社という単純な仲介業者としての立ち位置は、ビジネスの立ち上げの段階では重宝されるけども、軌道に乗ってきたら特に付加価値を出さない限り単に口銭を持っていくだけの存在でしかないわけです。ひと昔前はメーカーが海外進出の際に商社を間に挟むというのは一般的でしたが、グローバル化が進んだ昨今はメーカーは自前で海外進出するノウハウも当然持っているわけです。

大手商社のように事業投資して鉱山や石油の利権ごと買ったりして「メーカー(サプライヤー)側」になるというのが一案なわけですが、資金力的にそれを出来る会社は限られてますよね。中小の商社は色んな手で知恵を捻りだして、その商売の中での存在価値を見出しているのだと思います。

果たしてこの会社の将来性はどうだろうか、自分が頑張って会社の核となるような新しいビジネスを作り出せるだろうか、、そう考えた時にあまりポジティブな答えが自分の中で出てこなかったというのが正直な所でした。

2)

将来性のあまりない(と少なくとも自分自身では思っている)会社に勤めていた自分自身のキャリアの将来性についてです。

一般的に、成長産業にいれば市場が伸びていくのと共に給料も上がっていくというのがありますよね。アフリカというのは広い意味では(長い目で見れば)伸びている市場なのですが、自分のいる(中小)商社業界という意味での伸びしろはあんまりないな、というのが実感値でした。

非常に単純化すれば、人口(市場)が増える→買い手(現地代理店)の売り上げ増→日本のメーカーからの仕入れ増、という流れになります。買い手とメーカーの間に入っているのが仲介商社なので、商社の売り上げも一定程度は伸びるわけですが、上述の通り右から左に流しているだけの存在であれば、商社いらなくね?という風に(現地側、メーカ側あるいは両方から)思われるのは極めて自然な流れですよね。

仲介商社に勤めることで得られる経験、スキルというのは、新規事業を作る時のものが一番貴重で、軌道に乗ってるビジネスを担当してもあまりビジネス戦闘力としては上がらないかもしれません。

というわけで、当時約5年アフリカ勤務をしていた身としては、商社で得られる経験は一通りできたと思っていました。既存ビジネスにも新規ビジネスにも関わり、アフリカで海外営業r歴5年というのが仮に7年になったとして、履歴書的な映えという意味ではあまり変わらないかもしれないな、と。そのまま勤め上げて上に行ってマネージャーになればまた変わるのかもしれませんが、そこに行くまでにこの会社自体がそもそも持つのかどうか。(もちろん上に行くのであれば、このようなぶら下がり思考ではなくて自分で会社を立て直してやるくらいのスタンスが必要ですが)

そんなことを考えていると、今が潮時だと思うようになりました。

3)

仕事内容は好きだし向いている、ただ勤務先としてここではない、というのが当時の心境でした。

であれば勤務先を変えれば良いわけですが、どこに転職するのか、というのに悩んでいました。以前の投稿でも書いたようにITとかデジタルとかそっちの流行りに乗ろうと迷走していた時期もありました。

ただ、海外営業経験を活かし、伸ばすという視点で改めてシンプルに考えてみると:

・メーカーに行けば今抱えている自分自身の悩み(自社の将来性)を解消可能

・自分が転職することで、新興国を上手く攻められていないメーカで貢献することが可能

という考えに辿り着きました。

海外展開はある程度(海外売上比率は40%以上)はしているけど、まだまだ攻められていない地域がありそうな日系メーカー、という切り口で転職先を探すようになりました。












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