モノトーン
冬が終わりを告げ、世界中に色が溢れています。
なのに、ドレミの服はモノトーン。
世界との間に見えない壁があるような気がして、
ドレミの心は暗く沈みました。
そこへ、ファソラ姉さんがやって来ました。
「何だか元気がないように見えるけど、どうしたの?」
「世界はこんなにも鮮やかな色に満ちているのに、
色のない世界にいる事が悲しいの。」
いつのまにか、シド兄さんも来て
「ドレミが悲しいと、ぼくまで悲しい気持ちになるよ。」と言いました。
「あのね、ドレミ。」
ファソラ姉さんが言いました。
「私たちは、音で世界を創っているの。
人の心の機微や、自然の雄大さ、赤や青、黄色、緑。
聴く人によって音の解釈は無限です。
そこは目に見える世界と変わらないくらい
豊かないろどりに満ちているよ。」
シド兄さんも言いました。
「ほら、小鳥のさえずりが聞こえるだろう?
ぼくには鮮やかなブルーが浮かんでくるよ。
幸せを運ぶ青い鳥。」
ドレミは、小鳥のさえずりに耳をすましました。
そこには確かに色がありました。
音色という色が。
(組み合わせによって無限に広がる美しい世界・・・・)
ドレミと世界の間にあった壁は、いつのまにか、なくなっていました。
ドレミファソラシド・・・・
目に見える豊かな色彩に、音が調和して、
この世界は一層美しく感じられるのでした。