週末図工室

おはなしの中から抜け出してきたような物作りが好きです。基本、週末に、役にたたない物ばか…

週末図工室

おはなしの中から抜け出してきたような物作りが好きです。基本、週末に、役にたたない物ばかり作っています。

最近の記事

お直し

3連休の真ん中は、お直しの1日だった。 お人形の気になっていた所を直す。 日々、何かに追われているから、   こういう時間が、とても充実したものに思えた。

    • 口笛

      朝、明るくなると聞こえてくる小鳥のさえずりが、 あんまりきれいなので、     私も口笛を吹いてみました。 何度も、何度も吹きました。 最初は、うまく音が出なかったけれど、だんだん調子が出てきました。 のびやかなピーという澄んだ音が出た時、     小鳥がやってきて、手の上に止まりました。 おはよう!小鳥くん。       今日もよい日になりそうです。

      • ぶどう 2024

        季節や、その時自分が置かれている状況に、記事は大きく左右される。 毎年、この時期になると、ぶどうを題材に記事を書いていることに気づく。 昨日、スーパーの果物売り場では、 シャインマスカットが「買って!買って!」と盛大に並べられていた。 さて、話を戻すが、今年は「紙絵」ではなく、       手書きの絵も、いつもよりたくさん登場した。 「紙でなくてはならないのか?・・・・否。」という時。  時間がない時。 そんな時に登場する、私の手書きの絵。 変なところはたくさんあっ

        • きまぐれな夜(11)

          ミゲルの母親が戻って来た。 ハアハア息をきらしている。 朝の4時半。 「ミゲルは、とてもいい子にしていましたよ。   あなたが頑張っているから、     自分も頑張らなきゃと思っているみたい。          昨日は、ちょっと甘えたくなったんでしょう。」 「本当にありがとうございました!」 「仕事あがりに、一杯いかが?」 「でも、この後、私、もう一つの仕事にいかなくてはならないのです。」 「じゃあ、ミゲルが飲んだのと同じ、  ノンアルコールの飲み物をご馳走しまし

        マガジン

        • 週末図工室のお人形
          58本
        • 紙で遊ぶ
          966本
        • 雑記
          123本
        • 制作ノート
          62本
        • 週末図工室の貼り絵
          48本

        記事

          きまぐれな夜(10)

           私は、夜勤に出かける母親の子どもを預かることにした。  「お名前は?」  「ミゲル」  「私は、結(ゆい)。よろしくね。うちには、テレビもタブレットもゲームもないけれど、いっしょにママを待とうね。そうそう・・・特別な飲み物を作ってあげる。ラムパンチっていうの。」 「この飲み物はね、メアリーポピンズのお話に出てくるの。メアリーポピンズは、あなたのように、お父さんもお母さんも忙しくて家にいない子どもの面倒をみるの。大事なことはきちんと教えるけれど、楽しむことも忘れない人。私

          きまぐれな夜(10)

          きまぐれな夜(9)

          今日も眠れないので、「BAR きまぐれな夜」を開けた。 しばらくすると、店のドアが開いてお客様が入ってきた。 若い女性と、子ども。 子どもは、女性にしがみついて離れない。 「 あのー、お願いがあって参りました。   今夜、一晩だけ、この子を預かっていただけないでしょうか?   いつもは、この子が寝ている間に仕事に出て、          起きるタイミングで帰っているのです。 でも、今日はどうしても寝てくれなくて、             ママ、行っちゃ嫌! と言って聞

          きまぐれな夜(9)

          きまぐれな夜(8)

          「楽器を演奏されるんですね。何の楽器ですか?」 「チェロです。本職は自動車の整備なのですが、音楽が大好きで。 時々、仲間と演奏しています。」 「実は、私、あなたのこと、昔から知っていました。だって、うちの前を通っていかれるから。ずーっと、そのケースには何が入っているのかしら、と思っていたの。そうしたら、今日、あなたがお店に来て下さった。とても嬉しいです。」 「そうでしたか。おいしいカクテルのお礼に、1曲弾いてさしあげたいのですが、何かリクエストはありますか?」 「トロ

          きまぐれな夜(8)

          きまぐれな夜(7)

          「こんばんは。ここにお店があることに、今日初めて気づきました。  ここは長いんですか?」 「ええ、ずっとここに住んできました。            でも、店は最近始めたんですの・・・。」     席は、1席のみ。 御婦人と対面し、座る。 驚いたことに、飲み物は、もう用意されていた。 「私、カルーアミルクが大好きなんです。あなたにご馳走しますね。                       お代はいりませんから。」 私は「とりあえず、ビール!」の人で、正直、カクテル

          きまぐれな夜(7)

          きまぐれな夜(6)

          線路脇の砂利道を、歩いて家路につく。 寄る年波には勝てず、楽器は年々重みを増していくような気がする。 けれど、音楽への情熱も年々深まっていくのだった。 情熱は枯れることがない。 そのことを幸せに思う。 「あれ?」 いつもの道のはずなのに・・・・。 BARの看板の明かりがついている。 こんなところに店、あったんだな。 通り過ぎようとすると、 店の中の御婦人と目が合った。 御婦人は手招きしている。 うーん・・・ 無視しようと思ったが、何だかそれも悪いような気

          きまぐれな夜(6)

          きまぐれな夜(5)

          「いらっしゃいませ。ようこそ。       あなたは、この店の記念すべき最初のお客様です。」 おばあさんは、嬉しそうだった。 そして、テーブルに、カクテルが運ばれてきた。 注文もしていないのに・・・・。 「窓から、あなたが歩いてくるのが見えた。    若くてかわいらしい・・・でも、元気がないように見えた。             そんな、あなたにピッタリなカクテルはこれ!」    ピーチフィズ : (ピーチリキュール ソーダ レモン) カクテルなんて、飲んだことが

          きまぐれな夜(5)

          きまぐれな夜(4)

          電車を降りて家路に向かう。 足取りは重い。 今日、仕事で大きなミスをした。 みんなに迷惑をかけた。 自分をふがいなく思う。 モヤモヤした気持ちが渦巻いて、        すぐ帰る気持ちにならない。 線路脇の砂利道を歩いていると(BAR)の看板が見えた。 ここは、通勤でよく通る道なのだが、    こんな所に店があるなんて、今まで気づかなかった。 窓から店の中が見えた。 おばあさんが、ひとり座っている。 私と目が合った。 おばあさんは、おいでおいで、と手招きした

          きまぐれな夜(4)

          きまぐれな夜(3)

          (どんなお客様が来るだろうか?) 店を開けた日は、どきどきしながら待った。 (今日で10日目・・・・。) お客様は、まだ、ひとりも来ていない。 (でも、いいの。所詮、眠れない夜の遊びだもの。) 深夜ラジオに耳を傾け、テーブルの上の果物の皮をむく。 しかし、あきらめて考えるのをやめた頃、      物事というのは、動き始めるものらしい。 (つづく)

          きまぐれな夜(3)

          きまぐれな夜(2)

          家(店)は、細い砂利道をまっすぐ進んだ奥にあった。 道に平行して、線路がある。 電車から、私の家はよく見える。 看板は、ネットで注文した。 ちゃんと電気で光るやつ。 (つづく)

          きまぐれな夜(2)

          きまぐれな夜(1)

          眠れない夜。 老人には、よくあることだ。 今日もまた、そんな夜だ。 ある日、私は思った。 (どうせ、眠れないのなら、店でもやろうか。) 眠れない=店 とは、我ながら突拍子もない思いつき。 だが、眠れない状態を逆手にとって、私はこの状況を面白がろうと思った。 「BAR きまぐれな夜」は、こうして誕生した。 「BAR 眠れない夜」でもよかったのだが、眠れる夜もある。 そういう時は閉店になるので      「きまぐれ」というネーミングがしっくりきた。 店づくりは、と

          きまぐれな夜(1)

          お行儀のわるい台所

          食器かごには、洗った食器が雑然と積んである。 食器棚がちゃんとある。でも、よく使う食器はここに置きっぱなし。 シンクを磨く回数は、数えるほど。 窓の下は、白いタイル張りなのだが、 青いトマトが日向ぼっこしていたり、お芋が乗っていたりする。 夫は料理を全くしない。 私も料理好きとは言えず、朝昼晩と、自分の時間を細切れにする料理の時間を疎ましく思うこともある。 料理人は一人なので、この台所は私だけの場所。 ふと「料理しながら、お酒を飲むのがサイコー。」と言っていた 知人を思

          お行儀のわるい台所

          陸(おか)に上がった船(7)

          船は、新しい役割を得て、生き生きしているように見えた。 振り返って、この自分はどうだろう。 船を下りてからというもの、何をするでもなく、                  すっかり老け込んでしまった。 船長は、男に言った。 「この店には、珈琲しかないのかい?」 「今の所は。」 「うまい漁師飯があるのだが、時々作りに来てもいいかな?」 「是非!」 船の窓からは、店内のペンダントライトが見えて、優しい光を放っていた。 (おしまい)

          陸(おか)に上がった船(7)