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宝塚観劇と「蕎麦」

私、普段はうどん派だけど、観劇の時には「蕎麦」を選ぶ事が多い。

大劇場(ムラ)で観劇する時は、ちょっと背伸びをして蕎麦屋さんで食べる事が多い。立ち食い蕎麦ではなく、立派な暖簾のお店でそこそこ良い値段の蕎麦を食べる。天ざる蕎麦がいい。大劇場周辺では宝塚ソリオの「そじ坊」さんかな。そじ坊も好きだけど、大人の階段昇りたいのでもうちょっとこじんまりとした渋いお店がいい。

宝塚南口の「中川」

ここなんてもう「大人の嗜み」として最高のお店。なかなかのお値段と宝塚南口駅ではあるけどやや隠れ家的な場所にある。大劇場から結構離れているので知る人ぞ知るお店だろう。ここを一人でふらっと入り食べた蕎麦の美味しさもだが(確か鴨つけ蕎麦だったかな)こう言うお店にふらっと入れる自分に酔いしれた事を思い出す。

「中川」さんより、もうちょっとだけカジュアルでもしっかりと「大人の嗜み」を感じられるのは、逆瀬川駅の「三佳」さん。

逆瀬川の「三佳」

通を気取って、打ち立て湯がきたての蕎麦をつゆに付けずに食べる。ほんのり甘く蕎麦の香りが広がる。キュッと冷たく締まった蕎麦の食感が好きだ。てんぷらの塩に付けて食べてみる、汁に少しだけ付けて食べる、など一通りの粋な食べ方を気取ってみる。

ツンと来るワサビの辛み、春の山菜のほのかな苦み。辛い、苦いなどの味覚を美味しいと感じられるのも蕎麦の良さだと思う。そして何より「蕎麦湯」が大好きなのだ。大盛りを頼むほどではないけど、ちょっとボリュームがな~と言うのが蕎麦なのだが、蕎麦湯を飲む事でお腹が満たされる。こっくりとまろやかな蕎麦湯まで美味しいのが蕎麦屋さんの良さだ。

ちゃんとした蕎麦屋さんで蕎麦を食べる。それは私が「私はちゃんと大人になれた」事を確認し肯定する儀式でもある。

コロナ禍が落ち着いてからやりたい事がある。観劇の帰りに蕎麦屋さんに立ち寄り、蕎麦前で日本酒などを嗜みたい。冷酒に板わさ、蕎麦屋さんの卵焼き。焼き味噌も良いね。天ぷらを摘まんで締めにざる蕎麦。宝塚を観劇し蕎麦で一杯。最高の休日ではないか。早く実現したい。


一方、東京ではファストフード感覚で立ち食い蕎麦屋さんに行く事が多い。

東京の方が立ち食い蕎麦屋も多く値段の割に美味しい。

こっち(関西)に住んでいる時の立ち食い蕎麦屋さんは、文字通り「とりあえずお腹を満たす」ものだ。西宮北口駅にある「若菜」など駅構内にある立ち食い蕎麦屋は時々利用する。蕎麦が食べたいと言うよりも「今すごくお腹が空いているから」とか「観劇・お茶会に向かう途中でお腹を満たしておきたい」などの時に使う。立地的にね。そう言うものだと思って生きて来た。

東京の立ち食い蕎麦屋さんは、立ち食い蕎麦なのにレベルが高い。安かろうまずかろう、立ち食い蕎麦だもんじゃない。

東銀座の「歌舞伎そば」

東京で一番好きな蕎麦屋さんだ。歌舞伎座の真裏。路地裏の地味な場所で、ランチタイムを外して訪れてもいつも数人が待っている。食べたらすぐに出るので待ち時間も短い。何より、この回転率の高さゆえにかき揚げがいつでも揚げたてサクサク。「もりかき揚げ470円」一択。このクオリティでワンコイン。蕎麦湯も美味しい。

東京宝塚劇場へのアクセスと相場を考えると、小伝馬町・人形町に宿を取る事が多かった。下町風情の残るあのエリアには、カジュアルかつクオリティの高い立ち食い蕎麦屋さんが多い。

人形町の「立ち食いそば きうち」

こちらでは「ゲソかき揚げ蕎麦480円」一択。蕎麦もさることながら、このゲソかき揚げの美味しさが忘れられない。惜しみないゲソとネギの甘さのハーモニー。こんな上質のかき揚げをカジュアルに食べられるなんて人形町の人たちが羨ましい。春菊のてんぷらなど、魅力的なメニューに目移りしてしまうのだが、自然とゲソかき揚げ蕎麦のボタンを押している。人形町と言えば「福そば」も美味しかったな。ワンコイン以下でどうしてこうも美味しい、天ぷらまできっちり美味しい蕎麦を提供できるのか。

「富士そば」「よもだそば」のようなチェーン店も好きだ。

コロッケそばが好きなのだ(笑)

蕎麦にコロッケ入れた人天才だと思う。東京のあの真っ黒く醤油が前面に出た汁、私は嫌いじゃない。関西でコロッケ蕎麦を見掛ける事は少ない。たまに見かけるけど、コロッケの脂っこさは関西のダシには合わない。関西で食べたいとは思わない。東京で食べるコロッケそばが好きなのだ。

半分はそのまま食べて、半分は汁に浸す。最初から汁に浸してぐじゃぐじゃに混ぜて食べる。様様な流派があるそうだ。最初から丼にinされている場合と別皿の場合がある。どちらにせよ2口程急いで食べてサクサクの食感を楽しんだ後に浸す。作り置きの冷たいコロッケがいい。「ひやあつ」のような温度差が好きだ。汁に溶け出したじゃがいもが甘みとなって汁に深みを与えるのも良き。

この記事を書きながら、蕎麦が食べたくて恋しくて仕方がない。

身もだえするぐらいにその思いを募らせている。

私のスマホの中には東京で食べたいお店のリストが存在する。その中には「立ち食い蕎麦」の独立したフォルダがある。東京の魅力的な立ち食い蕎麦屋さんの数々をチェックしては「いつか行こう」「次の遠征で行こう」とブックマークを重ねていた矢先、もう1年以上東京に行けてない。

どうか、ブックマーク先の蕎麦屋がまた東京に行けるようになるまで残っていますように。そう願いながら終わりとする。