タイは好き?と聞かれて、そこまで好きじゃないけど、と答えられる人間関係がほしい
海外に住んでいると避けられない質問、それは現地の人からの「(住んでいる国)は好きか?」という質問だ。
質問をしている人からすると、当たり障りのないスモールトークのつもりだろう。
この場合の模範解答は、「ええ、好きですよ!いいところですね。」だと思われる。
「嫌い」「そんなに好きじゃない」と答えようものなら、せっかく仲良くなろうとしたのになんて興醒めする答えをするんだと嫌われるに違いない。
「まあ、いいところも悪いところもありますね」なんて曖昧な答えも、いまいち盛り上がらない。
「好きです」以外の答えは9割方受け入れられないのだ。
と、わかっていながらも、「まあ、いいところも悪いところもありますよ。大好きって訳ではないですが、嫌いではないです。」と答えたくて堪らない人間がこの私だ。
タイに住み始めた当初は、こんなに葛藤はなく、タイ、好きです!と答えられていたと思う。
しかし、在住歴が5年目にもなると、好きです!と無邪気に言うには色々知り過ぎてしまった。政治的なこととか、経済格差とか、いろいろと……。
そもそも、タイに住み始めたのも、たまたまタイ人が好きになったからで、タイが好きだからタイにきたわけではない。
とはいえ、タイが私にとっての「ホーム」だとは感じている。
こんなことを言える相手が、今身近にあまり居ないことに、この頃少し寂しく感じてきた。
夫以外で、当たり障りのない会話だけじゃない、本音で話せる人。私の本音を、どうしてそう考えるの?と興味をもって聞いてくれる人。
私が日本にいて、外国人と知り合ったら、私も「日本はどう?好き?」と聞くと思う。
そこで、「いやー、日本大変だよ、好きって言えない」と答えられたとしたら、「どんなところが大変?」と聞いて、その人がどうしてそう考えるのか、日本の大変なところはどんなところなのか、という話をしてみたい。
そんな話をできる人間関係が、私は好きだ。
私と同じような、海外に移住している人や、異文化体験が豊富な人じゃないと、こんな話をするのは難しいのだろうか?
生粋の内向的性格で、そもそも友だちを作るのが得意ではない私からすると、とても難しい問題だ。
そもそも、自己開示しないと相手に自分をわかってもらえない、という問題もある。
タイは好きですか?と聞かれて、好きです!とだけ答えていたら私が悶々としていることもわからないだろうから。
興醒めされるリスクのほうが大きいけど、本音で話せそうな人をみつけてみたい好奇心のほうがもっと大きい。
そういうわけで今日も私は、タイは好き?と聞かれた時に、「好きなところも、嫌いなところもあります」と答える隙を狙っている。
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