傷ついたらその時に #不妊治療を経た妊娠
以前からいくつか不妊治療に関する記事を書いてきた。最後に、胚移植をするまえに書いてからもう半年も経過してしまった。
結果、妊娠することができた。
現在、妊娠8ヶ月に差し掛かろうとしている。お腹のなかで別の生命体が動いているのを感じていると、まだまだ信じられないような、不思議な気持ちになる。ヒトの中にヒトがいるって、当事者になってみると、感動よりも、変じゃないか?という気持ちになったのが、自分らしいなあと思った。
妊娠を希望してから3年、不妊治療クリニック通院は約1年半。その間に、子宮外妊娠を経験し、不妊治療を開始したらチョコレート嚢胞が巨大化して手術をしなければいけなくなった。不妊治療が軌道に乗らなかったときは、周りの人の妊娠報告に敏感になって、なぜ自分は妊娠しないのかと何度も泣いた。
不妊治療の痛みを知っているからこそ、妊娠報告は冷静にと思っているし、家族や大切な人にはなるべく今までの苦労を知ってほしいと思っていた。
義母は私たち夫婦が不妊治療を進めていることは知っていたが、どううまくいっていないのかは詳しく伝えていなかったし、子宮外妊娠のことも伝えていなかった。
過去に経験した子宮外妊娠のことは、いつか妊娠報告するとき、もしくは不妊治療を諦めるときにセットで伝えるつもりでいた。
義母に電話で夫と一緒に妊娠報告をしたとき、義母は本当に喜んでくれてこちらも嬉しかった。そして、今まで不妊治療のなかなかうまくいかなくて大変だったんだよという話をして、子宮外妊娠のことも伝えた。義母は子宮外妊娠のことを初めて聞いて、「あら、聞いてなかったわよ」と少し驚いていたけど、すぐに「妊娠おめでとう、本当に嬉しいわ」と喜びモードに切り替わっていった。
電話を終えて、義母が喜んでくれたこと、その後の義家族LINEでお祝いのメッセージをみて幸せな気持ちになったと同時に、すこしモヤモヤした何かを感じた。
また義家族に会った時も、だんだん大きくなっていくお腹をみて、生まれてくる子どもについての幸せな話をした。
でもモヤモヤは消えていかなかった。
私は、お祝いの言葉と同時に、子宮外妊娠や不妊治療で苦しんだ自分を慰めてくれる言葉が欲しかったのだ。
妊娠して、子どもが欲しいという思いを達成させることで、苦しんだ過去の自分を昇華できる人がいる。私はそういうタイプの人ではなかった。そういえば、めちゃくちゃに、過去に根を持つタイプの人なのに、どうしてそんな思い違いをしたのか。
妊娠したら全て打ち明けて、理解してもらおうなんて希望は打ち砕かれた。不妊治療の経験がない人には、これから生まれる赤ちゃんについての幸せなことにしか目が向かないだろうし、いま不妊治療中の人には、もう妊娠した私のことを同じような目線で見れないだろう。
結局、今までのように、僅かに今までの経験を打ち明けた友人や、SNS上で同じような経験をしてきた人たちと励ましあうしかないんだなあと思い知らされた。
今が幸せではないということではない。夫と一緒に、産まれてくる我が子を楽しみに過ごす時間はかけがえなく幸せだ。でも、過去の痛みを負った自分が同時に自分の中で生きていて、まだぐずぐずしている。
心が痛いと思った時に我慢しないでそのときに助けを求めるべきだったんだ。
もっと自分を大切に、周りに甘えることを覚えるべきだったんだ。
もしくは、ある種の悲しみや辛さは、消えたり何かに置き換わるものではないのかもしれない。
今も癒せない傷を負いながら不妊治療を頑張っている方。どうかその痛みを無視しないで、吐き出したり、思う存分誰かに頼ってほしい。
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