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『関心領域』は心身ともに万全のときに観よう!

 ジョナサン・グレイザーといえば、『ヴァーチャル・インサニティ』です。

 自分はラジオっ子だったので、『ヴァーチャル・インサニティ』をはじめて聴いたときはこのMVの存在を知らず、ラジオで「何だこの曲!?」と衝撃を受けたのを覚えてます。

 年がバレますが、当時中学生で志望校の合格がわかったタイミングだったので、「何か欲しいものない?」と聞かれて真っ先に答えたのが、「ジャミロクワイっていうアーティストのアルバム!」だったのです。
(アルバムタイトルすら知らず)

 その後無事『トラベリング・ウィズアウト・ムービング』を手に入れた自分は、貪るように聴いたのです。

 『ヴァーチャル・インサニティ』のMVを観たのはほどなくして。

 当時はラジオもまだ元気でしたが、MTVが洋楽かぶれにはたまらないチャンネルだったし。

(全然関係ないけと鉄平ちゃんがいつの間にかSKEと結婚して、離婚してた!)


ニコール・キッドマンが選んだジョナサン・グレイザー

 『ヴァーチャル・インサニティ』から4年後、『セクシー・ビースト』でジョナサン・グレイザーは長編映画の監督デビューをします。

 この作品でいきなり出演したベン・キングズレーにアカデミー賞の助演男優賞候補をもたらします。

 ですが、自分がジョナサン・グレイザーが本物だな!と思った(偉そう)のは、『記憶の棘』。

 それは、当時飛ぶ鳥を落とす勢いで、オファーが殺到していただろうなニコール・キッドマンが、選んだ作品だからです。

 ニコール・キッドマンは、突然トム・クルーズに離婚を言い渡されると、「これでハイヒールが履ける!」とばかりにしゃかりきに働き始めます。

 2001年に『ムーラン・ルージュ』で念願のアカデミー賞のノミネートを獲得すると、翌年の『めぐりあう時間たち』でその勢いのままオスカーを獲得。
 その翌年の『コールド・マウンテン』はアンソニー・ミンゲラとハリウッドを代表する女優となったニコール・キッドマンが選んだのが『記憶の棘』だったからです。

 正直めっちゃ地味な作品です。もっとスターパワーを発揮できる作品のオファーがあったと思うのです。真っ先に。

 彼女の目は正しく、この作品でまたもゴールデングローブ賞の主演女優賞候補になります。

ところが…

 『記憶の棘』でも一定の評価を受けたジョナサン・グレイザー監督は、しばらく監督業から遠ざかります。

ジョナサン・グレイザーの監督業(IMDbより)

 以降はMVの監督業くらい…。
 作品と作品の間隔が長い監督って少なくないけれど、どうやって食ってるんでしょうね…。

 しかもその後2013年に製作された『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』は、一定の層には人気があるものの、スカーレット・ヨハンソンが主演なものの、カルト映画という感じでした。マジでおまんまどうしてんの?

またも10年の歳月をかけた

 『関心領域』はイギリスの小説を元にしており、その作家であるマーティン・エイミスは、海外小説好きには結構知られた存在です。

(海外小説は絶版になることが多く、『時の矢 ― あるいは罪の性質』はプレミア価格になってます。また出ないかな…)

 映画あるあるなのですが、人気作家の小説は、出版前に映画界が唾を付けていることが少なくありません。
 ジョナサン・グレイザーが関心を持った『関心領域』も出版前のことでした。

(このあたりのお話は、今年アカデミー賞脚色賞を受賞した『アメリカン・フィクション』で様子がわかります。)

 それがなんと10年前のこと!

 またも新作までかなりの年月を要したというわけです。

万全な体調で観るべき意味

 イスラエルのガザ侵攻によるイスラエルとパレスチナの関係が問題になっていますが、その発端になっているのが『関心領域』の内容です。

 ヨーロッパ諸国に比べ、この問題について日本人は理解が難しいと思います。
 アウシュビッツ以前の歴史的問題もあり、現在の事象だけでは判断ができない問題だと思います。(しかも報道の内容が正しいか怪しい)

 けれどずっと解決しないこの問題について理解をするきっかけとして、いまこの作品を観ることにとても意味があると思います。
 そういう意味でメンタルを整えて望んだほうがいいということがひとつ。

 もうひとつはですね。この作品、衝撃的な映像や出来事で魅せたりする映画ではないので、かなり静かな映画です。(中身は全然静かじゃないんですけど)
 なのでちょっと疲れてたり、睡眠時間が足りてなかったりすると確実に寝ます

 なので飲み会の翌日とかじゃなくて、しっかり休んだ日の翌日の午後とか、有給休暇を取ったお昼ごろとかに観るのがオススメです。
 アカデミー賞を受賞した音響が重要な映画でもあるので、もしあればドルビーシネマが良いかもしれません。(IMAXはないとは思いますけど不要)

本日のドレス:ジェニファー・ローレンス

 若き演技派ジェニファー・ローレンスは、実は結構でかい。(175cm)

 いつぞやジョディ・フォスターとともにアカデミー賞のプレゼンターを務めたとき、松葉杖だったジョディとの対比がすごかった。(クリスチャン・ディオール。★★☆)

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