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映画『市子』のために

 第36回東京国際映画祭で、一般公開に先立ち公開された『市子』。

 本作の監督、戸田彬弘氏が主宰する劇団、チーズtheaterの旗揚げ公演『川辺市子のために』を原作とした作品で、『湯を沸かすほどの熱い愛』で宮沢りえの娘役を演じ、国内の助演女優賞を総ナメにした杉崎花が主人公「市子」を演じました。

 原作の『川辺市子のために』はなんと全席予約完売となり、翌年の再演もすべてソールドアウトの上、続編となる『川辺月子のために』も制作されました。

 舞台も好きで、映画鑑賞の合間を縫って観劇もするのですが、本作はかなり話題になっていた記憶があります。(そして観れなかった…)

 主題も相まって、期待していた作品のひとつであり、一般公開に先立ち鑑賞できたのはラッキーでした。映画祭さいこう!

映画に感じた違和感

 そんなこんなで早々見れた『市子』。

 杉咲さんの演技は、この役に賭ける思いが充分に感じられるエモーショナルなもので、非常に心揺さぶれれました。
 よい意味で演技というより、役者がどうしても演じたい役に出会い、それを掴み、人生をかけてその仕事を全うしようという執念のようなものを感じました。

 一方で『市子』という作品については違和感を感じました。

 鑑賞直後はその違和感がなんだったのかわからなかったのですが、振り返ると、監督も杉咲さんもこの映画に賭ける思いという意味では共通しているはずなのに、それがうまく噛み合ってないと思ったのです。

 そして原作の舞台の内容を確認して、その噛み合わなさが自分なりに理解できました。

 その内容は完全にネタバレになるので、有料エリアに設定させていただきます。
 なお、これは自分の勝手な推測なので事実かどうかはわかりません。

 映画『市子』のために、作品は一級品で、役者全員が素晴らしいパフォーマンスを披露していることをお伝えしておきます。
 日アカなら全員受賞して欲しいくらいのものですが、そうはならないんだろうな…。

 2023年12月8日(金)公開です。

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