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絶対に再配信して欲しいドキュメンタリー『実録 マリウポリの20日間』

 アカデミー賞のドキュメンタリー映画賞と国際映画賞のショートリスト(ノミネーション候補)にWでリスト入りしている『実録 マリウポリの20日間』。

 日本では、BS NHKの「BS世界のドキュメンタリー」で放映され、NHKオンデマンドでもつい最近まで観れたのですが、また観ようと思っている間に配信が終わってしまいました。

 目を背けたくなる映像ばかりですが、この「20日間」は2022年の出来事で、既に2年近く経過している現在もこの争いは終結していません。

 長期化する中、占領された領土を明け渡してこれを終わらせることを提案する政治家が出てくる始末。

ミヒャエル・クレッチマー・ザクセン州首相は12月20日、独誌『シュピーゲル』に対し、停戦と引き換えに東部4州などを占領された現在の国境をそのまま凍結することを検討するようウクライナ政府に提案し、23カ月に及ぶ戦争を「最終的に解決する時が来た」と訴えた。

「「ロシアに領土割譲で戦争終結を」と、ウクライナに提言」(ニューズウィーク 2023年12月28日(木)16時27分

 イスラエル・ガザ戦争も勃発し、世界の関心が薄れているこの状況の中で観なくてはいけないドキュメンタリー。早々に再配信をお願いしたいです。

ウクライナ/ロシア/日本

 この作品を観て、自分はまずウクライナ/ロシア/日本の位置関係を再確認しました。そもそもそれが曖昧だったので。

ウクライナ/ロシア/日本の位置関係

 ウクライナはロシアに隣接する国というのは誰もが知っているかと思いますが、これを見ると海を隔てているとはいえ、日本も同じであることがよくわかります。

 もちろんウクライナは旧ソ連の構成国であり、この作品で描かれている都市「マリウポリ」で主に使われている言語はウクライナ語ではなく、ロシア語です。

 ですが、日本も北方領土問題を始め、ロシアとの関係性は非常に複雑であり、他のヨーロッパの国と比べても関わりが深いことは明らかです。

 そして今回の問題の発端となったNATO(北大西洋条約機構)について、日本はパートナー国ではありますが、加盟国ではありません。
 今後憲法の改正があり、NATOに正式に加盟しようとした場合、日本はウクライナとほぼ同じ立場になることになります。

 この日本の状況を知ると、ウクライナは遠い国ではなく、この作品に描かれていることは現実に日本にも起こる可能性がゼロではないということがわかります。

マリウポリ

 マウリポリはウクライナ南東に位置する港町です。面積は「244k㎡」で人口は「431,859人」(Wikipedia調べ)。

 ウクライナ有数の工業都市として知られているそうで、イメージとしては日本の川崎市が近いのかな?と思いました。
(川崎市は、面積が「143.01k㎡」で、人口「1,545,942人」。横浜市は、「437.56k㎡」で、「3,770,179人」。)

 進行前の様子は以下のとおりでとても美しい街です。

 ところがどうでしょう。現在「マリウポリ」で画像検索して出てくるのは以下の悲惨な状況です。

「マウリポリ」でのGoogle画像検索結果

 『実録 マリウポリの20日間』で写されるのは、退廃した街の様子しかなく、以前の美しさはどこにもありません。

作品を観て

 『実録 マリウポリの20日間』で主に伝えられるのは、以前の生活を奪われ、避難する民間人の姿で、軍人ではありません。

 描かれる民間人は避難民だけではなく、戦争に巻き込まれ負傷したひとたちを診る医療従事者もいて、悲惨な状況の中、懸命に治療する様子も描かれています。

 「これを映して世界に伝えてくれ」と手を動かしながら言う医師、助けられなかった子どもに涙する看護師。
 もうこのあたりから耐えられなくてずっと泣いていました。

 この映像を撮ったAP通信の記者もウクライナ人であり、家族がいます。
 医療従事者も同じでしょう。

 正直観ているのが辛くなる作品ですが、ウクライナ侵攻の実際がどのようなものであるのかを知る貴重な資料です。
 繰り返しになりますが、再放送・再配信、可能であれば常に観られる状態にする措置をNHKにはお願いしたいです。

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