テレビやwebで収納の勉強をしてもズボラは片付けられるようにはなりません。めんどくさがりでも片付けられるポイントとは?

現代人の多くが片づけられないワケは、安くものが手に入りすぎるせいと、メディアのせいです。

と言ってもメディアが悪いわけでもない、それを見てる人が悪いわけでもない。

「ものを片づける」という行為について、既存メディアで語る事が非常に難しいからなのです。

私が片づけられない頃に必死に読んだ本にはだいたいこんな見出しがありました。「収納マル秘テク!!」「すのこで作るオリジナル家具!!!」「美しい収納はこうやって作る」「最強の収納グッズはコレ!!」
それらの本には美しく整えられた、見るだけでため息が出るような部屋がズラリと並びます。
テレビを見ても、雑誌を見ても、美しく整えられたキッチンが映り、色合わせも完璧な食器たちが並び、きっちり整理されたクローゼットに、テイストを揃えた家具たち。

うちの食器といえば、その昔結婚式の引き出物でもらった食器の集大成で色もデザインもバラバラ。大きな胃袋を持つ男子を3人抱えて、キレイな食器なんかにお金を使えない。それ買うなら激安の鶏肉を大量に買うわの世界。食器もそういう状態なので、美しい家具なんてとんでもない。

でもテレビも、雑誌も、ウェブメディアも目をひく美しさがないと、見てもらえないから美しいものを並べる。
そうして美しいリビングやキッチン、美しい収納、美人のお母さんをずっと見続けて、それが世の中の普通だと植え込まれる私。現実の私は、ぐちゃぐちゃのリビングとキッチンを持ち、不揃いな食器に大量の唐揚げを乗せて必死で運ぶ。ああ、なんてみすぼらしい不出来な自分と、どんどん自己肯定感が下がっていきます。
かたや仕事場にいると、不出来な自分をそこまで感じなくて良かったので、そこでなんとか「自分」を取り戻そうと、会社に着ていく服をバーゲンでどんどん買う。ただでさえぐちゃぐちゃの家が服で埋まって、家の中で溺れているような、そんな日々でした。

そんな自分と決別したくて、片づけられるための勉強をしました。勉強をして、資格を取ったら何とかなると思った甘い自分。
勉強した内容は素晴らしいものでした。家の中にものを溜め込んでいた私に整理の方法を教えてくれて、買いすぎる理由と捨てられない理由を教えてくれて、家の中で溺れていた私に泳ぎかたを教えてくれた。
そして片づけられないで悩んでいる人を助けたい!とお片づけを仕事として生きていこうと決心するのです。
そうしてはりきってその世界に足を突っ込むと、そこは美しい収納を軽々と使いこなし、軽やかなフォームで泳ぐトップスイマーの世界でした。やっと25メートル泳げるようになった自分はお呼びでないような感じがして愕然とします。

そこで諦めてしまう事もできたけど、もう少し足掻いてみよう、と思って3年。
お片づけの世界に飛び込んだ時点で絶望感にかられたけど、それは人の泳ぎ方をみて「あんなに泳げない」と思ってしまったから。わたしにはわたしに合った「泳ぎ方」があることに少しずつ気づいた。
片づけられない女で、お金もなくて、めんどくさがりの自分に向いている「整理収納」とはなにかやっとわかってきました。

まず、自分が最初に気づかないといけなかった重大な事。
「見た目を美しくしようとすると、逆に片づけにくくなる」
という事です。

私がむさぼり読んだけど、何の役にも立たなかった「収納マル秘テク!!」「すのこで作るオリジナル家具!!!」「美しい収納はこうやって作る」「最強の収納グッズはコレ!!」などの見出しが並ぶ本。

これらの本のターゲットは「片づける事が大好きな人」なのです。

片づけるのが好きで、いつもきちんと片づけている人が、さらに高みに登るための本なのです。
メディアは、目をひかないと手にとってもらえないので、美しい写真を載せる必要がある。だから書店にはこういった本がたくさんが並びます。

実は、それらの本は、私みたいに「片づける事がキライ」で、「片づけかたが分からない」人が読んでも意味がなかったのです。

世の中にあふれる美しい収納の画像に翻弄されて「こうならねばいけない」と思い込んで苦しんでいる人はたくさんいると思います。
きちんとたたんで片づけないとだめだからと思っていつまでもたたまれることなく洗濯物の山がどんどん大きくなったり、生活感がない「見えない収納」が正義と信じて、お揃いの真っ白のケースにすべてのものを詰め込んで、どこになにがあるか迷子になってしまったり。

そう、「見た目を美しくしようとすると、逆に片づけにくくなる」のです。
見た目を美しくできるのは「片づける作業が得意な人」だけなのです。

片づけがキライな人が片づけるための条件は大きく3つです。

【その1】
その1は絶対条件なのですが、大事すぎるので、後で書きます。

【その2】
ものが見える事

家の中にものがいくつ位あるか知っていますか。標準で、人間1人あたり1500個以上のものを持っています。(買い物好きとか、捨てるのが苦手な人はもっともっと持っています)なので、持っているものの置き場所を全部把握するのは非常に難易度が高い。
ココにはコレが入ってますよという表示「ラベリング」をするのも有効ですが、それよりも「ものが見えている」のが一番簡単です。
人は、見えなくなると持っていることを忘れます。当たり前ですが忘れたら使わなくなります。

なので見えるように収納する事が大切です。
「見える」ためにはどうするか。

☆半透明の引き出し
中身が見えない引き出しに比べて、外からほんの少しものが見えているだけで「ココには何が入っているか」が分かる度合いが全く違います。

☆オープンラックを使う
扉が閉まる収納家具は、見た目を考えると素晴らしいですが、閉めてしまうとどこに何があるか全く見えなくなってしまいます。
扉が閉まる収納は片づけ好きの人にまかせておきましょう。

☆カゴに投げ入れる
オープンラックにカゴを置くときは、棚の高さの半分くらいのものを買いましょう。
そうすると、中身が上からのぞけるので、どこに何があるか一目瞭然です。

☆開けられる扉はあけておく
クローゼットや押入れの扉など、扉が閉まる収納をオープンラックに変える裏技です。
人が来るときだけ閉めればOK。ホコリが?片づけられなくて床置きしたり、洗濯物の山をずっと使ってるよりずっといいです。なんなら引き出しを少しずつ段々に開けて置いてもよい。
☆ラベリングをする
それでも見えなくなってしまうものは、必ずラベリングを。テプラでラベリングするのではなく、剥がせるシールや、白いマステにささっと書いて貼りましょう。置き場所は常に変わります。

「片づける」というのは、ものを見えなくする事ではないんです。
ものの置き場所をまずしっかり決めておいて、その「置き場所に戻す」事が「片づける」という事です。
見た目は関係ない。
片づけられたら、ものが無くてイライラすることもなく、見つからなくて同じものを買う必要もなく、探す時間も必要ないんです。

【その3】
めんどくさくない事

片づけが好きとキライの大きな違いは実行力です。
片づけの講座をすると「早速実践しました!」と即報告してくるのは片づける事が好きと言っていた人。苦手な人の報告はゆっくりです。私も自分の実行力が低い事を認め、めんどくさい作業をとりのぞけるだけとりのぞくと急に生活が楽になりました。

☆オープンラックにする
さっきと同じじゃねえか!!!と言われそうですが、これから同じことを何回も言います。
扉を開ける作業は思った以上にめんどくさいものです。クローゼットの中の引き出しなどは、開ける扉が多すぎて全く役に立ちません。使うときはなんとか取り出せても、元に戻す事が出来なくなってしまいます。

☆カゴに投げ入れる
オープンラックにカゴを置くときは、棚の高さの半分くらいのものを買いましょう。
これだとスキマから手を突っ込んでものを出し入れするだけです。

☆開けられる扉はあけておく
クローゼットや押入れの扉など、扉が閉まる収納をオープンラックに変える裏技です。
以下同文

☆たたまない
洗濯物は毎日やってきます。たたむ時間がない、たたむのがめんどくさい場合は、たたまないで済む工夫をします。
ハンガーにかけて干したらそのまま取り入れてクローゼットに入れる(洗濯物専用のハンガーを使わない)
かけられるものは全部かける
下着類はたたまずに投げ入れる
片づける場所のそばで干す
取り入れたら、座る事なくそのまま定位置にすべての洗濯物を片づけ終えるのが理想です。

では、3つの条件の一番大切な

【その1】は

ものを減らす事

ものを減らす事は、どんな人にも整理をする上で重要な条件です。
でも片づける事がキライな人は、普通の人よりさらに「ものを減らす」事が重要です。ものを「減らす」には「買いすぎない」ことと「使わなくなったら捨てる」ことが重要です。

ここからは、どうして「片づけがキライな人」はものを減らす事が重要なのかという話と、ものを買いすぎない、捨てられる為にはにはどうしたらいいかという話をしていきたいと思います。

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