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『Pairs(ペアーズ)』で遊ぶトリテを試しに考えてみる。

この記事はTrick-taking games Advent Calendar 2022の10日目の記事として書かれました。

はい、どうも。
珍ぬと申します。
3年半近く、noteでボードゲームやパズル関連の記事をかれこれ250本近く書いています。
今年もよろしくお願いします。


『Pairs』とは?

『Pairs(ペアーズ)』は、James Ernest(ジェームス・アーネスト)さんが考案し、2014年にCheapass Gamesから販売されました。

Cheapass GamesはErnestさんが1996年に設立しましたが、2019年に出版権はGreater Than Gamesにうつりました。
その後、Ernestさんは個人のサイトCrab Fragment Labを立ち上げています。

また、日本版の『ペアーズ』は2016年にテンデイズゲームズから販売されています。

『ペアーズ』の特徴は大きく2つあります。

1つ目は、コンポーネントであるカードの構成です。
1が1枚、2が2枚、………、9が9枚、10が10枚と、数字と枚数が同数の55枚の構成になっています。

2つ目は、ゲームルールです。

同じ数字のカードが2枚、つまり、プレイ中にペアになったり、あらわれた場合のルールがあります(『ペアーズ』だけに)。
そのほとんどのゲームには、ペアのルールが含まれています。

Boardgamegeekに「Pairs Game System」というFamilyページがあります。

カード構成が『ペアーズ』ですが、ペアの場合のルールを含んでいないものも結構あります。
(個人的には)入っていないゲームは、ちょっと残念だったりします。

『ペアーズ』以外のゲーム、しかもトリックテイキングゲーム(トリテ)ですと、たとえば、2019年に倦怠期ゲームズさんが考案した『ジンバブエトリック』があります。



『Pairs』を使ったトリテ

『Pairs(ペアーズ)』の基本デッキは、果物が描かれています。
1のカードには洋梨(Pear)が描かれています(1枚でもPair、なんちゃって)。
基本デッキとしましたが、他にもたくさんの『ペアーズ』のデッキが販売されています。
カード構成は、基本デッキと全く変わりません。
異なるのは、カードデザインと付属するゲームルールです。
ゲームルールは、基本ゲームのルールの他に、オリジナルの派生ゲームが1つ追加されていました。

2018年に、雑誌『GTM(Game Trade Magazine)』の連載記事「Pairs Game Series」で、8種類の新しいゲームルールが掲載されました。

(自分が確認したなかで)、ジャンルがトリテであるものが2つあります。
『To The Moon(トゥ・ザ・ムーン)』と『Fancy(ファンシー)』です。

実は、珍ぬが『ペアーズ』を使ったトリテのルールを思案した際に、類似したルールのゲームがないか確認したところ、『ファンシー』に結構似ていました。
なので、『ファンシー』のルールを紹介したあとで、自分が試作したルールを書きます。

『Fancy』の紹介

プレイ人数:3〜6人
用意するもの:『Pairs(ペアーズ)』1デッキ、スコアの記録用紙&筆記道具

ゲームの目的:
1通りのプレイ(ラウンド)を数度行い、合計スコアの1番高いプレイヤーの勝利です。

ラウンドのすすめ方:
『ペアーズ』デッキをシャッフルし、それぞれのプレイヤーにカードを8枚ずつ配り、手札とします。

1ラウンドでは、8トリックおこないます。
最初のトリックで、1番先にプレイするプレイヤーを適当な方法で決めます。

8トリック終了したら、1ラウンド終了となります。

トリックのすすめ方:
1番先にプレイするプレイヤーから順番に、手札からカードを1枚づつ場に出します。
場に出すカードは、ルールの制限があります。
同じ数字のカードは出せません(マストノットフォロー)
ただし、手札に出せるカードがない場合は、任意に1枚出します(このプレイヤーは、今回のトリックにおいて棄権(トリック勝利を放棄)となります)。

全てのプレイヤーが場にカードを出したら、全員のカードを見比べて得点を決定します。
1番小さい数字のカードを出したプレイヤーは、出したカードと同じ数字が得点となります。
その他のプレイヤーは、自分の場に出したカードの数字から、1番近い小さい数字のカードの数字を引いた数が得点となります。

棄権したプレイヤーのスコアは0点です。
次のトリックで手札を出す1番最初のプレイヤーは、1番小さいカードを出したプレイヤーになります。

【得点の例】:

プレイヤーABCDEの順にプレイしました。プレイヤーDは、手札に異なる数字のカードがなかったので、5を出しました。

上は、数字の小さい順にカードを並べてみました。
それぞれのプレイヤーの得点は、

プレイヤーA:(5−4=)1点
プレイヤーB:(1番小さいカード)2点
プレイヤーC:(4−2=)2点
プレイヤーD:(異なる数字のカードを出せなかったので)0点
プレイヤーE:(9−5=)4点

となります。

以上で、このトリックは終了となります。

『ファンシー』のおおよそのルールでした。
個人的には「あーそっくりでなくてよかった」とホッとしたり。

お気づきの方もいると思います。
このルールには、ペアの場合のルールがありません。
そこがちょっと惜しいところですね。

【追記:2023/12/02】
とは書いたものの、マストノットフォローで出せなかったカードは、すでにでているカードのどれかのペアになっているので、ペアの場合のルールがないというのは言い過ぎでしたね。
こういう場合、誰に謝ろうか悩むのですが、とりあえず「あれ?」と思った方に謝ることにします。
ごめんなさい。


新しい『Pairs』トリテの試作

お待たせしました。
いよいよ試作ルールの紹介です。

プレイ人数:5人(それ以外の人数については後述)
用意するもの:『Pairs(ペアーズ)』1デッキ、スコアの記録用紙&筆記道具

ゲームの目的:
1通りのプレイ(5ラウンド)を行い、合計スコアの1番高いプレイヤーの勝利です。

ラウンドのすすめ方:
『ペアーズ』デッキをシャッフルし、それぞれのプレイヤーにカードを10枚ずつ配り、手札とします。

1ラウンドでは、10トリックおこないます。
最初のトリックで、1番先にプレイするプレイヤーを適当な方法で決めます。

10トリック終了したら、1ラウンド終了となります。
ただし、それぞれのプレイヤーは1ラウンド内で2トリックしか勝つことができません
ラウンドの途中で、2トリック勝ったプレイヤーはその時点でラウンドのプレイは終了となり、それ以降のトリックは参加しません。
最終盤のトリックではプレイヤーは1人だけになりますが、そのトリックの勝者は自動的に残った1人となります。

トリックのすすめ方:
1番先にプレイするプレイヤーから順番に、手札からカードを1枚づつ場に出します。
場に出すカードは、ルールの制限があります。
同じ数字のカードは出せません(マストノットフォロー)
ただし、手札に出せるカードがない場合は、任意に1枚出します。
このとき、同じ数字のカードが2枚場に出ていますが、それらのカードを裏返しにして、出した2人のプレイヤーは、今回のトリックは棄権(勝つことができない)になります(ペアルールです)。
裏返しになっているので、あとのプレイヤーは3枚目の同じ数字のカードを出しても問題ありません。

全てのプレイヤーが場にカードを出したら、全員のカードを見比べ、1番小さい数字を出したプレイヤーがこのトリックの勝者となります。
今回のトリックのカードをまとめて山にし、トリックで勝ったカードに表にし1番上にして、勝ったプレイヤーの前に置きます。

【ペアルールの例】

プレイヤーABCDEの順でカードを出しました。
プレイヤーBは「7」を出し、プレイヤーDは異なる数字のカードがなかったので「7」を出しました。

ペアルールにより、プレイヤーBとDは、このトリックでは棄権となり、数字の「7」は出ていない状態、とみなします。
なので、プレイヤーEは数字の「7」のカードを通常通り出すことができます。

ラウンドの終了:
10トリックが終了すると、ラウンド終了となります。
それぞれのプレイヤーのトリックで勝利したトリックの数字が得点になります(ただし、1は特別ルールで得点をきめますので後述します)。
さらに、特別ルールの得点があります。
A:勝利した2トリックとも同じ数字ならば、さらに10点プラスします(ペアルールです)。
B:数字の1で勝ったトリックは、6からそのトリックでプレイしたカードの枚数を引いた数が得点となります。

Bについて補足すると、5人プレイ時だと1点しか入りませんが、プレイ人数が減るごとに得点が増えていき、1人プレイ時だと5点入ります。

【得点の例】

プレイヤーA:16点(3が2枚あるので、10点プラス)
プレイヤーB:8点(1で勝ったトリックは3人プレイなので6−3=3点)
プレイヤーC:24点(7が2枚あるので、10点プラス)
プレイヤーD:10点(『ペアーズ』では、9と区別できるように、6は「six」と表記しています)
プレイヤーE:13点


以上がルールとなります。

試作で意図したこと

得点のルールでおわかりかと思いますが、トリックに勝てる強いカードは点数が低いので、できるだけ弱いカードでトリックを勝利しないと、高得点になりません。

数字の低いカードを手札にしたプレイヤーは、どうするのか考えつつ、ルールを考えてみました。

◆数字の低いカードを使わないように、ラウンドの途中で早々と2トリック勝利して抜けてしまう。
◆数字の低いカードでも、高得点が取れるようにボーナス得点のペアルールを加える。
◆数字の1は最強だが、1枚しかないのでペアルールが適用されない。とはいえ、1点しかとれないのはあんまりなので、何かボーナス得点ルールを加える。

さらに得点ルールですが、できるだけ計算の手間を省くようにしました。
数字の1の得点特別ルールもトリックでプレイしたカードの枚数の現物確認で、計算ミスを減らすようにしました。


新しい『Pairs』トリテのプレイ人数

上記では、プレイ人数5人限定ですが、それ以外の人数でも遊ぶことはできます。

プレイ人数5人の場合、『Pairs(ペアーズ)』1デッキ(1〜10のカード55枚)をまるまる使いました。

プレイ人数が4人の場合、全ての9と10のカード、19枚を抜きます。
デッキ構成は、1〜8のカード全て、合計36枚になります。
すると、1人のプレイヤーに手札として8枚のカードを配ると、4枚あまります。
1ラウンドは8トリックとなり、5人プレイのときと同じく、ちょうど2回づつトリックを取ります。
ラウンド終了後の点数は、
A:勝利した2トリックとも同じ数字ならば、さらに8点プラス(つまり、1ラウンドのトリック数だけ)します。
B:1のトリックで勝った場合、5からそのトリックでプレイしたカードの枚数を引いた数が得点とします(5人プレイ時は6から引いたので、つまり、プレイ人数+1です)。

同様に、プレイ人数3人の場合は、7〜10を抜いて、1〜6の全てのカード、21枚を使います。
これまた、1人のプレイヤーに手札6枚配ると、3枚余ります。

プレイ人数2人もいけます。
1〜4のカードの10枚を使います。
むしろ『ペアーズ』でなくて、トランプのカードでも遊べます。

ここまで来ると、手札の運要素が大きく関わるので、ギャンブルゲームに偏っています。

せっかくなので、プレイ人数1人でも遊びましょう
1が1枚、2が2枚の合計3枚です。
プレイヤー1人に手札2枚を配ります。
1ラウンドにつき2トリック、しかも、1人だけなので必ずトリックに勝ちます。
点数は、(手札が1と2のときに)3点か(手札が2枚とも2のときに)6点です。
……だから、どうということはありませんが。

カードを追加作成できれば、何人でも遊べます。
プレイ人数100人の場合、1〜200のカードを合計20100枚用意しましょう。
各プレイヤーに手札として200枚カードを配ります。
1ラウンド200トリックを行いましょう。
100ラウンドプレイした合計点数で、勝敗を決めます。

締め

ということで、『Pairs(ペアーズ)』デッキで遊ぶトリテの試作でした。
タイトルは全く決めておりません。
仮として、『ペアーズ』のトリテなので、「ペリテ(仮)」にしておきます。


今年もTrick-taking games Advent Calendar 2022に参加できました。

なお、宣伝になりますが、アブストラクトゲームAdvent Calendar 2022にもちょっと覗いていただけるとありがたいです(なにせ、初めて立ち上げてみましたので)。

次回11日目はCareleSmith9さんです。

では。


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