□□□とボードゲーム(0.1)〜Abstract GameなのかAbstract Strategy Gameなのか
前回の記事はこちら。
本題に入る前に、ちょっと気になって寄り道をすると、それが意外に興味深かったりします。
今回はそんな話です。
どっちもどっち……かなあ
将棋、囲碁、オセロ、マンカラなどのゲームのジャンルを日本では「アブストラクトゲーム」と呼んでいますが、アメリカだと「Abstract Strategy Game(抽象戦略ゲーム)」です。
Strategy(戦略)の単語の有る無しです。
では世界の言語レベルでみると、どっちを使うのが多いのか。
そんな指標を1つ見つけました。
Wikipediaです。
ご存知でしょうが、Wikipediaはたくさんの言語ごとに、それぞれ語版Wikipediaがあります。
そして、同じ項目であれば、それぞれの言語版Wikipediaのリンクをたどることができます。
日本語版ウィキの「アブストラクトゲーム」と英語版Wikiの「Abstract Strategy Game」は、別の項目になっています。
それぞれの項目ごとのWikipediaは、以下の通りでした。
【アブストラクトゲーム】8言語
日本語:アブストラクトゲーム
スペイン語:Juego abstracto
フランス語:Jeu de réflexion
イタリア語:Gioco astratto
カタロニア語:Joc abstracte
スウェーデン語:Abstrakta spel
チェコ語:Abstraktní hra
エスペラント語:Abstrakta ludo
韓国語:추상게임
【Abstract Strategy Game】10言語
英語:Abstract Strategy Game
韓国語:추상전략게임
中国語:抽象策略遊戲
フランス語:Jeu de stratégie combinatoire abstrait
バスク語:Estrategia joko abstrakto
アイルランド語:Cluiche straitéise teibí
ウズベク語:Mavhum strategiyali oʻyinlar
ポルトガル語:Jogo de estratégia abstrato
スロバキア語:Abstraktná dosková hra
トルコ語:Soyut strateji oyunu
ヘブライ語:משחק אסטרטגיה מופשט
韓国語とフランス語は、両方の項目があります。
さて、各言語版に目を通してみると「ナニコレ?」という項目が見受けられられます。
フランス語アブストラクトゲームのJeu de réflexionですが、翻訳すると「パズルゲーム」です。
本文も読んでみると、あまりアブストラクトゲームのことは書かれておらず(というか「この記事は出典を一切引用しておらず、誤った情報が含まれている可能性があります (2022年8月報告)。」と注意書きがあるので)もう一方のJeu de stratégie combinatoire abstraitが本命でいいと思います(この表記も「戦略」「組合せ」「抽象」と全部入りなのがオシャレ)。
韓国語版ですが、どちらも分量が少なく1行差で추상전략게임が本命となります(といっても2行しかないんだけどね)。
トルコ語のSoyut strateji oyunuですが、なぜか内容がバックギャモンでした。
なんででしょうかね(気になるので、今後追って記事にするかも)。
「ナニコレ」な言語版項目を間引きしてみると結果は、
【アブストラクトゲーム】7言語:【Abstract Strategy Game】9言語
やや「Abstract Strategy Game」に分があるものの、どっこいどっこいと言っていいかと思います。
アブストラクトゲームの対義語
とりわけ着目したいのが、スペイン語版Wikipediaです。
なんと「アブストラクトゲーム」の対義語として「テーマゲーム」の項目があるのです。
わざわざ項目を用意するのが趣深いです。
ちなみにですが、この項目に「Juego de estilo alemán(ドイツ風ゲーム)」の項目のリンクがありましたので、辿ってみました。
これは別名「ユーロゲーム(Eurogame)」でして、取り上げているWikipediaは21言語あります。
締め
ということで、なかなか面白い状況をみることができました。
そうそう。
大半の言語で「テーマがない」という説明が出ておりましたので、「アブストラクトゲームはテーマがない」は全世界的な認識なんでしょうね。
これも面白い。
本筋もちゃんと書かないとね。
では。
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