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せまゲー生半可集(7)~SumoとEn Garde

前回の記事はこちら。

『Traffic Lights(トラフィック・ライツ)』を紹介しましたが、その際に新たなせまゲーを見つけたので紹介します。
紹介しますが、まず先にそのゲームを拝見して連想したボードゲームを取り上げます。

En Garde

『En Garde(アンギャルド)』は1993年に、(制作数で例えると、ボードゲーム界のピカソな)Leiner Knizia(ライナー・クニツィア)さんが発表した、一次元盤面を用いた2人専用カードゲームです。
要するに、これもせまゲーです。

ゲームのモチーフは、フェンシング形式の決闘です。
1〜5の各5枚(計25枚)のカードを用いて、移動・攻撃・防御・回避のアクションを上手に適合した、素晴らしいゲームシステムを構築しています。

ゲームの内容は、すでに多くのレビューなどがありますのでそちらを参照してください。
とりあえず2つのリンクをあげておきます。
1つは、たっくんのボードゲーム日記より。

もう1つは、Gioco Del Mond(ジョーコ・デル・モンド)より。

『Duell(デュエル)』は、Kniziaさん自身が『アンギャルド』にルール拡張カードを追加した、後発品です。

実はこのサイト内で「相撲」なるルールが登場します。

同人派生ルール Sumo

これが何かというと、おそらくBoardgamegeekでの『En Garde(アンギャルド)』『duell(デュエル)』それぞれのフォーラムで、Rob rob(ロブ・ロブ)さんが投稿した「Sumo! A variant of 'En Garde' and 'Duell'」と思われます。

『アンギャルド』と大きく異なるのは、
・0のカード5枚を追加した計30枚で遊ぶ。
・攻撃方法が、シンプルにスコアが加点される突きから、複雑な計算で結果を決める投げになる。
です。

特にこれ以上の詳しい説明はいたしません。
というのも、

今回紹介したいせまゲー
『Sumo(相撲)』は、
これではありません


本家? Sumo

前回の記事で『Traffic Lights(トラフィック・ライツ)』の紹介を、ケンブリッジ大学の数学プロジェクトNRICHのサイトから引用しました。

実は『トラフィック・ライツ』の他にも、ゲームがわんさかありまして。
そのなかの1つが『Sumo(相撲)』です。

このゲームのルールを読むと、まさに『En Garde(アンギャルド)』の簡易濃縮版にもみえました。

では、簡単おおまかにゲームの説明です。

【用意するコンポーネント】
・1〜6の数字のカード:各2枚(計12枚)
・17マスの一次元盤面
・コマ:1個

これらの代用品ですが、カードはトランプで間に合いますし、盤面は将棋盤の端を使えばOKです(コマは、将棋の駒を借りましょう)。

赤枠で囲った部分は、
ちょうど17マスあります。

【ゲームの準備】
コマ1個を、盤面の真ん中に置きます(上の将棋盤を使うと、ちょうど角のマスです)。
それぞれのプレイヤーは、1〜6の数字1枚ずつ計6枚を手札として持ちます。

【ゲームプレイ】
盤面は、相撲の土俵に見立てます。
コマは、双方の力士(一方のプレイヤーは東の力士(将棋盤だと一番端が1一のマス)、他方は西の力士(将棋盤だと一番端が9九のマス))ががっぷり四つ組み合った状態で、押し合いをします。

ゲームは最大6ラウンドで勝敗を決します。

各ラウンドのアクション:
それぞれのプレイヤーは、手持ちのカードから1枚を同時に表にして公開します(公開したカードは以降のラウンドでは使用できません(捨て札になります))。

アクションの結果:
双方のカードの数が同じ場合は、特になにもありません。
カードの数が大きいプレイヤーがそのラウンドの勝ちとなり、以下の計算で負けたプレイヤーを押し出す(東の力士が負けると1一のマスへ、西の力士が負けると9九のマスへ向かう)ようにコマを動かします。

((勝ったプレイヤーの出したカードの数)ー(負けたプレイヤーの出したカードの数))×((勝ったプレイヤーの出したカードの数)

例:

勝ちカード 負けカード 押し出されるマス数
  6     4   (6−4)×4 = 2×4 = 8
  5     2   (5−2)×2 = 3×2 = 6
  4     3   (4−3)×3 = 1×3 = 3

【ゲームの勝敗】
アクションの結果が終わったラウンドの終了後、コマが盤面を出てしまった場合、押し出されたプレイヤーの負けになります。
6ラウンド終了した場合は、駒の位置が盤面に近い(つまり、相手よりも押されている)ほうが負けになります。
コマの位置が盤面のちょうど真ん中の場合は、水入り(引き分け)とします。


Sumoの簡単な評価と派生ルール

『Sumo(相撲)』も『En Garde(アンギャルド)』に引けをとらない、よりコンパクトに構成されたシステムとバランスになっています。

『相撲』は、カードの出し方次第で、たった1ラウンドで紹介が決着するケースがあります(それがなにかは伏せておきます)。
それを踏まえて出すカードを考えると、これまたバッティングする可能性もあるので、あえて裏をかくのか、と悩ましい。
序盤からすでに鉄火場になっているのが、素晴らしいです。

押し出すマス数を求める計算方法も、絶妙です。
強いカードは本当に強いのですが、逆に相手が弱すぎるカードを出してくると、効果が薄れて凌がれてしまうと思います(例としては、6のカード対5のカードと6のカード対1のカードの場合を比較してみてください)。

NRICHのサイトでは、『相撲』の派生ルールを1つ紹介しています。
それは、もう1枚ずつ「0」のカードを加えてもう1ラウンド増やします。
トランプの代用であれば、適当な絵札を「0」として扱うといいです。

この派生ルールは、侮れません。
0のカードは、絶対に負けます。
その代わり、計算すると0なので、絶対に押し出されません。
最弱にして最高のカードなのです。

その他の派生ルールとしては、お互いに新たなカードを追加してみるのも面白いかも知れません。
たとえば、5のカードを1枚追加して、お互いに「1・2・3・4・5・5・6」の手持ちでプレイしてみるということです。
もちろん、7以上のカードを追加するのもいいでしょう(ただし、その際は盤面のマス数を調整したほうがいいです)。

締め

ということで、『Sumo(相撲)』の紹介でした。
全く意外なところで自分の知らないせまゲーに出会いました。
せまゲーは結構深い世界かもしれません。

次回は、ちょっと変なことを考えてみようかと思います。

では。


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