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□□□とボードゲーム(0.8)〜現在お勉強中〜書籍紹介:『美学の数理』

ボードゲームからちょっと外れて、掛け合わせる他ジャンルの話題を取り上げようと目下インプット中です。
現在、美術関係の書籍をあたっております。
が、ズルズルと怠けております。

で、そんな本あるのか、と驚くものもありまして、今回紹介したいと思います。

半分が美術、半分が数学?

書籍のタイトルは『美学の数理』(晃洋書房)。

130ページの比較的薄い本です。
第1部(第1章〜第4章)と第2部(第5章〜第8章)の前後半二部構成となっております。
第1部は、ちゃんと美術を話題にしておりまして、ざっくり書くと、19世紀以降の印象主義から表現主義への移行を考察しています。

ちゃんと、ってなんだよって話ですが。

というのも、恐ろしいと言うか、何じゃそりゃとなるのが、第6章以降。
章タイトルを並べると、

第6章 群の作用
第7章 ユニタリ群
第8章 射影空間

と、内容が代数学です。

なんでこんな事になっているのか?


著者の専門は美術じゃなくて…

著者の落合仁司さんは、同志社大学の経済学の教授です。

おそらく『美学の数理』は3年次講義のテキストとして出版されたようです(2024年度も行われるようです)。
2年次は、ダントー『アートとは何か』を購読しているようです(『美学の数理』でも文献引用しています)。


しかし、なんで経済学で美術?ですが、上記のサイトでゼミの内容についての説明がありますので、引用します。

 現代の消費は美的な付加価値を選好する美の消費であり、それに対応する現代の生産は芸術的な価値付加が不可避の芸術の生産である。本演習は、この美の消費と芸術の生産、さらに双方が出会う美と芸術の市場を考える。そのために美とは何か、芸術とは何かという美学的な問いを問うのみならず、美の消費、芸術の生産、美と芸術の市場をどのように数理的に表現するかという問いも問わねばならない。

市場、というキーワードから、なるほど経済学の研究テーマになるかも、と思ってしまいます。


著者は美術以外にも……

で、さらに落合さんが過去に著述した書籍の数々をみると、あなた本当に経済学が専門ですか?となります。

1998年に講談社現代新書から『〈神〉の証明――なぜ宗教は成り立つか』を出版します。

この年を前後して、神学と数学2つの視点をガッチャンコして組み立てた「数理神学」を研究しております(さらに数冊出版)。

落合さんは東京大学卒業ですが、京大卒かと思わせるねじれっぷり。
それに、同志社大学の教育理念はキリスト教に基づくので、神学へのアプローチは、まあ、そうでしょうねと納得(うん、納得)。

2010年代では、フランスやアメリカの現代思想・社会学理論を数理モデル化して比較研究しております。

んでもって、構造主義も数理モデル化しちゃうぞ、と研究しております。


書籍のレビューをみると賛否両論さまざまなようですが、□□□×数学・経済学の開拓精神は見習いたいです(□□□×ボードゲーム、なんてぶち上げとりますし)。

締め

ということで、ボードゲームから離れて、美術に関する本『美学の数理』について、ほとんど内容に触れず紹介してみました(ちなみに、出版社で設定した本書のジャンルは哲学ですが)。

うん、これ、紹介とは言わないか。
まあ、そんなこともあります。

次回、どうするか。

では。

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