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超動くマンカラ番外編:カラハ一人勝ち問題(4)~お手玉ンカラ「Ise Ozin Egbe」

前回のnoteはこちら。

一人で遊ぶマンカラ「Tchuka Ruma(チュカ・ルマ)」や「Tchoukaillon(チュカイロン)」について書きました。

今回は、1人で遊ぶマンカラのなかでも「お手玉ンカラ」の1つである「Ise Ozin Egbe(イセ・オジン・エグベ)」を紹介していきます。

お手玉ンカラとは?

お手玉ンカラは、珍ぬが勝手に命名した名称です。
なにせ、ルールに沿ってマンカラの動きをずっと繰り返し、目的のパターンに到達すると終了、なのです。
これに一番近い遊びは何かを考えると「お手玉」です。
「ジャグリング」などともう少しスマートに持ち上げてもよいのですが、さして持ち上げる理由もないので。

Ise Ozin Egbe(イセ・オジン・エグベ)とは?


「Ise Ozin Egbe(イセ・オジン・エグベ)」は、ナイジェリアの南部で遊ばれている、1人用マンカラです。

1949年に、J. U.Egharevba(エグハレバ)さんが「Benin Games and Sports.」の記事で紹介したようです。
ところで、「Benin」は現在のベナン共和国のことではなく、19世紀末に滅亡したベニン王国(国旗がエグい)ではないかと思われます。

「Ise Ozin Egbe」は、"perseverance game"(忍耐力ゲーム)とも評されています。
お手玉で忍耐。
どういう遊び方なんでしょうか?

Ise Ozin Egbeの遊び方

「Ise Ozin Egbe(イセ・オジン・エグベ)」は、通常販売されている『マンカラ・カラハ』を代用しても遊ぶことができます。
必要なのは、
・22個の石(コマ)
・6個の穴
です。
『マンカラ・カラハ』だと、盤面の半分を使用します。

ゲームの準備として、以下のように石を配置します。

使用する穴は、右側よりの穴6個です。
左上の穴から右に、0個・10個・0個
左下の穴から右に、1個・10個・1個
を配置します。

通常のマンカラと同様に、穴は円形に並んでつながります。
つまり、石を播くときはぐるぐる回ります。

では、ゲーム……いや、お手玉を開始しましょう。

開始する穴は、下段の真ん中。
10個の石を取って播きます。
一回りして、石を取った空の穴にも到達したら、飛ばさずに石を播きます。
ルールでは時計回りとなっていますが、線対称形なので、反時計回りでも構いません(実際、今回は反時計回りでテストプレイしてみました)。
播くとこのようになります。

左上の穴から右に、2個・12個・2個
左下の穴から右に、2個・1個・3個と
なります。

最後の石は、左上の穴に播いて終わります。
次の手番は、その播き終わった穴(左上)の石を全て取り、同じ方向にまた石を播いていきます。
この手番を繰り返して、

最初の配置に戻したら、終了で成功です。


Ise Ozin Egbeの恐ろしさ

なぜ「Ise Ozin Egbe(イセ・オジン・エグベ)」が耐久力ゲームと呼ばれるのか。
では、せっかくなので答えを書き出してみます。
まず、穴にそれぞれ呼び名として、aからfのアルファベットを割り当てます。

f|e|d  左下の穴から、反時計まわりにaからfとします。
ー+ー+ー  ちなみに、ゲーム開始時の配置だと、石の数は
a|b|c  a:1個 b:10個 c:1個 e:10個です。

最初の1手をbから開始して、fの穴で終了し、次はfから始めます。
それを延々しるした手順は、

bfbdaeadbacacefdecbebdcaecfebcabecfaebfcadbaefadecaebeadeacdacebceadbeacffcafbcfbdbdfcabeaebfadacacefadecbbdcabefebfcdadacbcebeafebfcdcfdadfcadf

です(書き間違いなどなければ)。
のべ、144手
1秒間に1手費やすとすると、2分24秒。
麺硬めのカップヌードルが食べられます。

まあ、実際は2分半では終わりません。
動かす石の数は総計714個
1秒間に1個撒くとすると、11分54秒。
伊勢うどん並のどん兵衛が食べられます。

さらに恐ろしいことがあります。
引用元「Mancala World」の記事には、このマンカラの種類を「Multiple laps(マルチプル・ラップ)」としています。
マルチプル・ラップは「最後に石を播いた穴が空ではなく石がある場合は
、その穴の石からさらにマンカラを続ける」というルールです。
言い換えると「「最後に石を播いた穴が空で石がなければ、手番は終了」です。
何が恐ろしいかというと、144手の手順のなかで、

最後に石を播いた穴には、必ず石がある

のです。
いちおう、144手としましたが、マルチプル・ラップのルールに則すると

ずーーーーーっと、1手のまま

なのです。
しかも、144回続けたら、元の配置に戻ってしまう。
マルチプル・ラップのルールに則すると、

「Ise Ozin Egbe」は永遠に終わらないお手玉ンカラ

なのです。
……なにこの怪談。
夏に記事を書けばよかった。

締めとおまけ

ということで、「Ise Ozin Egbe(イセ・オジン・エグベ)」でした。
お手玉ンカラは、まだまだあるので、そちらも紹介してみます。
耐性がついたので、そんなに恐ろしがることもなくなります。

で、ここで締めてもよいのですが、おまけ情報を。

お手玉ンカラだけでなく、通常のマンカラを遊ぶにしても、穴から石を取るときにちょっと手間取ることもあります。
たまたまいいものを100均(Seria系)で見つけてしまいました。

「シリコーンスキレットカップ 深型(2個入り)」。
料理道具のコーナーに置いています。

『マンカラ・カラハ』に同梱の石を入れてみる。
中:石4個 右:石20個
結構たっぷりいけます。

何がいいって「持ち柄」がついているところですよね。
「Ise Ozin Egbe」も、このカップと石があれば、問題なく遊べます。



さらに『マンカラ・カラハ』の盤面の穴のサイズにも非常に近く、

「Ise Ozin Egbe」を配置。
多口コンロにスキレットを並べて、シェフ気分。

さらに、もう1個余分にスキレットカップを用意すれば、余分のカップと差し替えができて、いくつかの手間取る過程も省けます。

もちろん通常の『マンカラ・カラハ』でも活用できます。
ということで、6(+1)パックのまとめ入手をオススメします。

では。

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