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超動くマンカラ番外編:カラハ一人勝ち問題(3)~カラハ一人勝ち問題の元となったひとりマンカラ「Tchuka Ruma」とその仲間たち

前回の番外編はこちら。

『マンカラ・カラハ』の追加アクションをもとにして、たった1手で全ての石を取り尽くす配置を考えてみよう、というのが「カラハ一人勝ち問題」です。
しかし、すでにそのようなこと考えていた人がいたわけで、後発で確かめて記事にしているのが本当のところです。
実際に元となったマンカラは、すでに記事の中に書かれていました。

この記事で引用した数列
「A028931 Strings giving winning positions in Tchoukaillon (or Mancala) solitaire.(意訳:チョウカリオンもしくはマンカラの1人遊びにおける勝利配列の並び)」

にある「Tchoukaillon(チュカイロン)」です。

【お詫び】
前回の記事で「Tchoukaillon」を「チョウカリオン」と読んでしまいましたが、「チュカイロン」に訂正します。

これについて説明したいところですが、ちょっと後回しにします。
というのも「チョウカリオン」にも元となったマンカラがあるのです。
それが「Tchuka Ruma(チュカ・ルマ)」です。

Tchuka Ruma(チュカ・ルマ)

なんと、このマンカラはBoardgamegeekにも登録されていました。

さらに、詳しい内容はMancala Worldに書かれています。

「チュカ・ルマ」はインド洋の地域で遊ばれている1人専用マンカラです。
いつごろ誕生したかは不明です。
もしかすると、フランスの数学者Édouard Lucas(エドゥアール・リュカ)さんが考案したのではないか、という説もあります。

Édouard Lucas(エドゥアール・リュカ)さん

この人は、なかなにとんでもない。
フィボナッチ数列を拡張して一般化した数列を、彼の名を取ってリュカ数列と呼ばれています。
さらに、パズル方面では「チャイニーズリング(九連環)」の解法を導き出し、「ハノイの塔」を考案しています。

ボードゲームでも、紙ペンゲーム「la pipopipette(ピポピペッテ)」を考案して出版しています。
英訳すると、「Dots And Boxes(ドットアンドボックス)」です。


Tchuka Ruma(チュカ・ルマ)を遊ぶ

本題に戻って、「チュカ・ルマ」を遊んでみます。
「チュカ・ルマ」は1人で遊ぶマンカラです。
盤面もマンカラのそれですが、穴が4個+大穴1個と、サイズが小さくなります。

大穴を「ルマ(Ruma、もしくはrouma)」とか「ルンバ(roumba) 」と呼びます。
石は8個使用します。
ゲームの最初は、4個の穴にそれぞれ石を2個配置します。
プレイヤーは、通常のマンカラと同様のアクションを行います。
石のある穴を1つ選び、その穴にある石をすべて取って、右向きに穴(もしくはルマ)に1個づつ石を播きます(「ルマ」に播いたあとまだ石がある場合は、1番左の穴に播きます)。
「ルマ」にたくさん石を入れるのが目的です。

つまり、盤面は円状に配置してもよいので、「マンカラ・カラハ」の盤面の一部を使うことで代用できます。

上のような感じで、
片側の穴4個とルマ(大穴)1個を
使用します。
石を播く向きは反時計まわりです。

最後の石を播き終わった時のルマもしくは穴の状態によって、次の手番の制限やゲームの終了が決まります。
◆最後の石をルマに播く:
次の手番は通常通り。
4個の穴のうち石のある穴を1つ選んで、すべての石を取りマンカラします。
◆最後の石を石のある穴に播く:
播いた穴にある石(最後に播いた石も含む)をすべて取り、引き続きマンカラします(つまり、穴は選べない)。
◆最後の石を石のない穴に播く:
ゲーム終了です。

Tchuka Ruma(チュカ・ルマ)に勝つ

では、このゲームに勝敗があるかといいますと、あります。
すべての石を「ルマ」に入れることができます
できれば勝ちです。

最初の手順だけ、おみせします。


上:ゲームの最初。赤点線で囲った穴の石をマンカラします。
中:最後の石はルマに撒いたので、赤点線で囲った穴を選んでマンカラします。
下:最後の石は石のある穴に撒いたので、次は赤点線で囲った穴の石3個をマンカラしていきます。

ちなみに、勝利の解法は1通りしかありません。


Tchoukaillon(チュカイロン)と仲間たち

「チュカ・ルマ」をベースにして、派生したのが「Tchoukaillon(チュカイロン)」です。

このルールを考案したのが、これまたフランスの数学者Véronique Gautheron(ベロニク・ゴーシュロン)さん。

ルールは、「マンカラ一人勝ち問題」の配置をつくることです。
つまり、

「マンカラ一人勝ち問題」=「Tchoukaillon(チュカイロン)」

です。

さらに、「チュカイロン」からも派生したルールがあります。


「Monokalah(モノカラ)」は、「チュカイロン」に「チュカ・ルマ」の要素が一部加わります。
「チュカイロン」は「ルマ」より先の穴はありませんが、「モノカラ」は「チュカ・ルマ」のように、「ルマ」の先は一番反対側の穴になります。


「Multichouka(マルチチョカ)」は、「モノカラ」に「チュカ・ルマ」の要素がさらに加わります。
最後の石を石のある穴に播くと、その穴から再度マンカラを行います。
……というか「チュカ・ルマ」の盤面と石の数を拡張しつつ、「チュカイロン」のようにちゃんとすべての石が「ルマ」に入るようになるようにする、ということです。

締めと次回?

ということで、いろいろと一人で遊ぶマンカラを紹介しました。
ボードゲームというよりもパズルゲームの要素に傾いています。
実は、一人で遊ぶマンカラはまだまだあります。
その中でも、ボードゲームでもパズルゲームでもないマンカラがあるのです。
あえて名付けるとするならば、

お手玉ンカラ

です。
その紹介もしてみたいな、などと考えております。

では。

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