トリテとレンク(5)〜トリテとスートとマシマシ
今回はトリテの回。
コンポーネントであるカードについて、マシマシ書きます。
トリテを遊ぶコンポーネント
トリテを遊ぶのに必要なものは、コンポーネントです。
とりわけ、カードです。
日本では、一般的にトランプと呼んでいます。
第3回でも書きましたが、イタリアだとブリスコラです。
一部の国や地域でのローカルな呼び方になります。
では、グローバルな呼び方は何かというと、カード(Playing Cards)です。
ただし、日本で言うところのトランプに相当する、あの52枚1組を伝統的カード(Traditional Card Games)と呼びます。
カードは、
◆4種類のスート(スペード・ダイヤ・ハート・クラブ)
◆13種類の数字とアルファベットであらわしたランク(2・3・4・5・6・7・8・9・10・J・Q・K・A)
上の2つを組み合わせからなり、52種類各1枚の構成になっています。
そして、ジョーカーが1枚ないし2枚追加されています。
このような、現在あるトランプ(伝統的カード)のスートと構成は、19世紀頃のフランスで使われているもの(フレンチデッキ様式(French Deck Format))になります。
フランス以外の国にも、それぞれ独自の構成がありますが、
・スートの数が4種類
・ランクの種類がフレンチデッキ様式より少ない
この2点は、フレンチデッキから何枚か外すことで、十分汎用できます。
ということもあり、現在の構成が世界的に流通しています。
スートマシマシの汎用カードを入手しよう
独自のルールで遊ぶため、独自のカードを製作して販売しているトリテはたくさんあります。
独自でカードを作る目的は、売れるカードデザインも1つの理由ですが、トランプ(伝統的カード)にない要素(例えば、点数など)を何か追加することもあります。
追加には、スートの種類を増やす(4種類以上にする)こともあります。
実は、既存の4種類に追加し、5種類以上のスートで構成した、超トランプ(汎用カードデッキ)が作られて、いくつか販売されています。
ということで、紹介してみます。
今回の記事に当たり、以下の記事(サイトは、The Game Journal)も参照しました。
この記事では、スート以外で構成したカードデッキも取り上げています。
Stardeck(5スートデッキ)
4種類のスートに、星(Star)を追加した構成です。
Boardgamegeekでは、1938年に販売されているとしています。
販売している会社のサイトはこちら(通販もしている)。
5スートデッキの歴史について書かれたページもあります。
タロットカードからのルーツとしています(大アルカナをスートの1つとみなせば納得)。
Zark City Deck(5スートデッキ)
こちらも、星を1スート追加した構成。
実は、Game System「Looney Pyramids」のゲームの1つ『Zark City』をプレイするために用意されたコンポーネントです。
「Looney Pyramids」のゲーム集『Pyramid Arcade』にも収録されており、コンポーネントにも含まれます。
「Zark City Deck」のもう1つ特記すべき特徴は、カードが正方形です。
単品でも購入できます(Looney Labの通販ページ)
TENNOS(6スートデッキ)
クロス(十字架)とリーフ(葉)の2種類が追加されたデッキ。
販売しているのは、日本のボードゲームショップ「バネスト」さん。
以前、コーエーパックさんが『SONNET』として販売していたものを、いろいろリスペストしつつ復活というか再生というか、タイトルを逆読みして『TENNOS』爆誕。
スートは6種類ですが、色は2色に分かれています。
黒:スペード・クラブ・クロス
赤:ダイヤ・ハート・リーフ
『TENNOS』を使った遊び方は、同梱の3種類のルールのほかに、公募したルール(16種類)もブログにアップしています。
The Blue Sea Deck(6スートデッキ)
星(Star)と頭足類(Squid)を追加した6種類。
『TENNOS』と異なるのは、追加したスートは第3色目の青になります。
『Blue Sea Deck』が制作されたのは2011年ですが、6スートトランプ自体は1895年くらいから存在していたそうです。
【余談】
このデッキを製作したデザイナーであるP. D. Magnus(P.D.マグナス)さんは、哲学の博士。
カードコンポーネントのGame System『Decktet』の作者でもあります。
『Decktet』は、日本での知名度はほぼありませんが、すでに150以上のゲームルールを持つお化けSystemです。
2つのサイトから入手できます。
1つ目は、Game Crafter。
2つ目は、DriveThru Cards
以下、紹介する汎用カードデッキもこれら2つのサイトのどちらかから、入手できます。
K6T(6スートデッキ)
月(Moon)と星(Star)の2種類が追加。
月は、スペード・クラブと同じような「足」がついているアイコンなので、
足付き:スペード・クラブ・ムーン
足なし:ダイヤ・ハート・スター
の2系統に分けることも出来ます。
このカードデッキは、スートよりもランクの拡張がとんでもないことになっています。
数字は、0〜12の13種類あります。
そう、数字の1のカードが存在します。
ちなみに、0はジョーカー的(もしくは愚者)扱いのデザインです(以下、写真はサイトから引用)。
1があるのならば、Aはないのかというと、あります。
引き続き、アルファベットのランクをみると、J(ジャック)・Q(クィーン)・K(キング)もありますが、チェスの駒としての表記になります。
Jはポーン扱いになって、ナイトにあたるC(Cavalier:キャバリエ)、ビショップのB、ルークにあたるT(Tower)、そしてQ、Kです。
ランクの総数は20種類となります。
…………じゃ、終わらなかったのです。
まずは、チェスのランク表記。
『K6T』の作者、Jean-Louis Cazaux(ジャン=ルイ・カゾー)さんはフランスの方なので、オプションとしてフランス語表記のカードを用意しました(というか、ナイトの表記が元々フランスだったので統一したかった)。
ポーンにあたるV(Valet:ヴァレ)、ナイトにあたるC、ビショップにあたるF(Fou:フォ)、ルークにあたるT(Tour:トゥール)、クィーンにあたるD(Dame:ダーメ)、キングにあたるR(Roi:ルワ)。
さらに数字のランクは、13〜15、16〜18と3種類ごとにじわじわと拡張。
……と、思ったら一気に24+無限(∞)まで拡張。
全部入りのセットが、Game Crafterにあります。
もう、これで終わりでしょ……ではなかった。
まさかの、数字の13〜24を12進数表記(10は「2を逆さまに書く」、11は「3を逆さまに書く」ことで表現)するカードを作成。
https://www.thegamecrafter.com/games/k6t-dozenal
実は、アメリカやイギリスに十二進法協会(Dozenal Society)なる団体があるのだ。
【余談】
ちなみに、この作者はスート数が12種類もあるカードで有名な『Ganjifa(ガンジファ)』を製作して(正確には、その種類のなかの「Ganjifa Dashavatara(ガンジファ・ダシャヴァタラ)」)、Game Crafterで販売している。
The Badger Deck(10スートデッキ)
ピラミッド(Pyramid)、月 (Moon)、星(Star)、花(Flower)、貨幣(Coins)、蝙蝠(Bat)の6種類が追加。
ランクは、数字の0〜10。
アルファベットは伝統的カードと同じくA、J、Q、Kに加えて、F(Fool:愚者)、W(Wizard:魔術師)、S(Sorceress:魔法使い)、H(Hero:英雄)、P(Princess:姫)、C(Castle:城)、M(Mythical creature/Monster:バケモノ)の7種類を追加。
入手はDriveThruCardで購入できます。
基本の4種類のスートのみのBasic Setがあり、追加のスートごとに購入できます。
こちらも、数字の11〜20の拡張(全10スート)も用意されています。
以上です。
……いやあ、『K6T』がトンデモなさすぎたので。
最後に、『K6T』どころか『ガンジファ』超えもある超々汎用カードデッキを紹介します。
Singularity Deck(12スートデッキ+α)
三角(Triangle)、楕円(Oval)、恒星(Star)、惑星(Planet)、小惑星(Asteroid)、反物質(Antimatter)、暗黒物質(Dark Matter)、暗黒エネルギー(Dark Energy)の8種類が追加。
これらが、地球(Earth)と宇宙(Cosmos)の2系統に別れます。
地球:スペード・ダイヤ・ハート・クラブ・三角・楕円
宇宙:恒星・惑星・小惑星・反物質・暗黒物質・暗黒エネルギー
さらに、第2スートとして「盾(Shield)」が6種類存在しています。
説明は割愛するので、詳細は以下のサイトを参照してみてください。
ランクの方も、相当ぶっ飛んできます。
数字は0、2〜12の12種類。
特に、0は「Singularity Card」と呼んでいます。
アルファベットだが、伝統的カードのA、J、Q、Kはもちろんあります。
さらに追加となるのが、C(Civilization:文明)とT(Tower:塔)(地球系統はC、宇宙系統はTで使い分けている)、Ω(Omega:オメガ)になります。
これで、ランクの総数は18種類となります(以下、写真はサイトから引用)。
左から弱→強の順番。
………ってなんでAが3枚あるのかな?と思ったら、本当に3枚梱包しています。
上の写真を見てお気付きかもしれませんが、第2ランクが存在します。
といっても、A、2〜12のカードに描かれている6面ダイスの数字です。
ここまでの状況ですと、やや『K6T』よりもトンデモ度は低めに見えます。
では、拡張いきましょう。
もちろん、数字のランクの拡張は、13〜24の12種類がついてきます。
そして、大アルカナ的なスート、時空間(Spacetime)が追加されます。
数字ランクは0〜100の101種類(各1枚だが、0と100は2枚)。
さらにスート的なローマ数字(I〜V)5種類、さらにΩとD(Death:死)の2種類。
さらにさらに、第2スート的なビット(◎とΦの2種類)。
13番目のスート、てんこ盛りですね………
と思ったら、
本当に13番目のスート、ワームホール(Wormhole)が出てきちゃいました。
『ガンジファ』超えちゃいました。
入手は、DriveThruCardで出来ます。
わんさかある(32項目ある)ので、デザイナーのMatthew T. Ross(マシュー・T・ロス)さんのリストのサイトを引用します。
終わり
えーと、軽い気持ちで書くつもりでしたが、どっぷり沼でした。
スートにこだわらなければ、まだまだこのような汎用カードデッキがあります。
もしかすると、それらの記事を書くかも知れませんが、疲れそうなので約束しません。
次回は、レンクに切り替わります。
では。
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