横溝正史『獄門島』――エロ小説書き、本を読む#7

 ひょんなことから、ガチガチのR18小説を書き始めてしまったアマチュア小説書き。でもだからこそ、本を読まなくちゃ!
 というわけで、中断していた読書感想記事を再開することにしました。相変わらず無節操な行き当たりばったり読書、よろしければどうかお付き合いのほどを。
 過去の読書感想 →https://zsphere.hatenablog.com/


 引き続き金田一耕助シリーズをのんびり読んでおります。これも前から書棚にずっと並んでいた積読本。

 私は大学時代に某ミステリ同好サークルに所属していたわけですが(それなのに横溝正史読んでないのかよ)、その頃に読んでたら「やられた!」と気持ちよく背負い投げ一本食らったような清々しい気分になれただろうな、という感じでした。
 ミステリ読みの思考ルートというのを作者が知悉していて、「登場人物を整理して容疑者になり得る人物をリストアップ→犯人を考える」みたいなルートに入った時に、その裏をかくための構造に最適化されてる感じですよね。そこに理路が立ってる面白さというか。よくまぁ考えるもんだなと感嘆しつつ。
 一方で近年の私は、そういうミステリを読むんだというピンポイントな読み方というより、もう少し広めに文芸作品を読むようなスタンスでミステリ作品も読むようになっています。単純に謎を解こうというのとはちょっと距離を取りながら読んでる感じ。先日『モルグ街の殺人』を読んだ時の見方もそういうスタンスで読解した結果ですけれども。
 なので、逆に本作の周到な「謎解きに挑戦しにきた読者の裏をかくことに特化した構成」で100%驚く感じにならなくて、しまったちょっと損したな、みたいな読後感にちょっとなってしまった感はありました。我ながら難儀だねw

 見立て殺人系の作品数あれど、やはり「何に見立てるか」に作品の趣向が大きく出るわけですが、その点で芭蕉や其角の俳句を持ってくるセンスはさすがというか見事でした。
 まぁでも、私自身俳句関連は全然疎くて、そこはちょっともったいなかったなとも。『奥の細道』とかもいずれ読みたい本リストには入ってるんですけどね、なかなか手が付かないままでした。そっち方面の素養があったらもっと楽しめたのかも、と、この歳になっても大体そういう後悔ばっかりしているわけですw それでもここ数年でかなり頑張っていろいろ読んだんだけどね。

 あとまぁ、アレですね。タイトル『獄門島』なのに、誰も獄門にされてないっていう肩透かし感はちょっとあったかもなw
 あんまり猟奇趣味への期待を全開にして読むのもどうかなぁって気分もあるわけですが、しかしフィクションの中の事だし、横溝や乱歩はむしろ猟奇趣味に対する怖いもの見たさを丸出しに読んだ方が絶対楽しめるだろうなって気分もあって。そこを否定する狭量さは持ちたくないですからね。
 そんなわけで、もう少し横溝は続けて読んでみようかなと思っています。

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