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「アメリカから見た日米公教育」セミナーを拝聴して。

2022年10月4日の過去ログ

土曜日は、こちらを視聴していました。私が最も興味のある分野!

アメリカのインディアナポリスの教育委員会のような組織でDirectorとして働かれている市川さんの講演。現地の直接の教育の構造、特別支援のお話が本当に詳しく聴けたとても貴重なお話でした。

実に明晰に整理されたお話で、質疑応答もズレない明快さ、時間ぴったりなプレゼン力で、さすが、在米20年以上という感じでした。

私は講演中、どれも首が痛くなるほど縦に振っていたほど、日米の教育に対する真剣度というか、圧倒的な子供ファーストの根本の考え方の違い(文化背景も強く影響)、もう紹介しきれない大切な事の数々の核心をついたものが多々あったのですが、、


圧倒的な子供ファースト


やはりなんと言っても、先生や管理職、教育委員会、そして事務や学校の清掃の方にいたるまで、この仕事は”子供のため”、という圧倒的な子供ファーストの考えを隅々まで皆が持っている。校長も常に子供にとって何が最善か、を最優先している。そしてそれぞれの分野が明確にプロ意識と向上心をもって、誇りをもって仕事をしている。(もちろんSueされるという危険もあるからもあるけれど)

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この時、私は”Dignity”って言葉を思い出した。なんていうかプロ意識、仕事や自分の尊厳っていうか(和訳にするとニュアンスが違ってしまうんだけど)私は学生時代にアメリカにいた時に知った言葉ですが、これが象徴している言葉だと思う。

「みんな大変だからねー」とか「いやだけど稼がなきゃだからねー」とかただ文句言いながら働いている人が少ないっていうか、もちろん世間話はあるんだけど、でも常に何のためにやっているか自分や仕事を卑下してないっていうか。あーうまく言えないけど。

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もう大事な言葉だらけだけど、特に響いたところをピックアップしてみると、

IEP(個別指導計画書)

アメリカにはIEP(Individual Education Planning 個別指導計画書)を書く専門家がいて、市川さんのような教育委員会のDirectorでも読むことはできるが、書く事はできない。(←それほど予算配分や訴訟にもなるからだろう。それほど大事なものでありその専門の先生が書くもので、勝手に手を出せない。いい加減に、2,3年前と変わらない文言を書いて達成してもしなくてもいいような、お飾りの日本の個別支援計画書とと大違い)

*支援が必要な子のデータはプリスクールやKindergartenの時から過去情報で新しい場所の先生や支援者が取り出せる(適切な人が)ようになっていて、引っ越しの多い国なのもあり、いつ学校や地域が変わっても適切な支援が引き継がれるようになっている。

*アメリカには常に子供達には、大人の複数の目がある。教室を密室にしないのが大前提。隠す事がないならなぜ密室?にという考え。学年の横の連携があり、先生同士は助け合う。各教室にカームダウンの部屋はあるが、例えばそれでもその教室に居られない場合、隣の教室に行って、次の時間はそこで、などというのも普通に行われている。

Free Appropriate Public Education(FAPE)の大原則

”無料”で、”適切な”教育を受ける権利に全て沿っている。アメリカには日本でいう特別支援学校はほとんどない(盲・聾学校などは一部例外)

わざわざほかの子から離さないのが大前提。なので、重度自閉症の子でも、肢体不自由の子でも、通常学級でそこに必要な支援があれば、AppropriateにFreeで提供される。(人員も)

もし、特別な例だが、州外でAppropriateな教育の機会がそこしかない場合、そこへの旅費、そこの学校寄宿へで、年間何千万、1億も州が負担するケースもある。(Free)

Least Restrictive Environment (LRE)システムの大前提

なるべく制限をできる限りかけられないように。
(不用意に子供が別室に子供がどんどん行かざるを得ない事を防ぐようになっている)。出来る限り通常級で(Indianaでは、LRE率80%。通常級で過ごすのが一番多い)親の合意サインが無い限り、先生だけで決めて動かす事は絶対にない。(重度の子でも)

学校でのセラピーなどで別室に行く時はあるが、親の合意が必要。家庭の合意無しで何かが行われる事は無い。

インクルーシブに関しての本質はここにあり

こうやって育った定型発達の子は、教室でも普通に接し、話しかけ、スクールバスでも、支援のいる子のサポートもして、遅れても文句も出ず、きちんと待ってくれます。そういう子が大人になって日常に普通に障害のある人に理解のある社会。(もちろん日本では全く制度的に難しいのは百も承知。)

*公平性と平等:みんなが同じを目指すのではない、皆が同じところにたどり着けるように、その為の支援を目指す。

*学校、学級の中心にいるのは誰か?

*やっていいこと、やってはいけないこと: やってはいけない事はきちんと伝えるが、それ以外は割とフリーで自由度がある。↑これら上記の事を教育に関わる大人、全て知らない人、答えられないはいない。

*High Abilityの子の学校もあり、その話もありました。

貴重なお話が聴けた。このインクルーシブ教育の意味を知らない人に知ってほしい。


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