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ZOOMOが目指す、ZOOMOならではの動物病院「ZOOMO WILDLIFE HEALTH CENTER」


いつも盛岡市動物公園ZOOMOを応援していただきありがとうございます。
 今回は盛岡生まれの飼育係として、新たな動物病院「ZOOMO WILDLIFE HEALTH CENTER」について、お話をしたいと思います。


園内のWANPAKU FIELDの秋

  私は盛岡で生まれましたが、父親の転勤に伴い東京や仙台などで数年暮らしてから小学校低学年の時に盛岡に戻って来ました。盛岡に戻って来てからは家の周りや通学路の近くにある野原や林で遊ぶ毎日。習い事の時間になっても林から帰って来ず、捜索願を出されそうになったこともありました…。小さい頃から動物は好きでしたが、実際に自然豊かな環境の中で遊ぶことで、自ずと自然や動物、植物などに関することを体感しながら学んでいた時期だったのだと思います。その後、学生時代に再び数年間盛岡から離れて暮らしたことで、他の土地で暮らしたからこそ分かった岩手、盛岡の魅力が沢山あります。自然豊かな環境で身近な野生動物に出逢う機会が多いことも魅力のひとつですが、動物園があることも大きな魅力のひとつだと気付くことができました。日常生活のすぐ傍に動物園があるなんて、改めて考えると恵まれているのだなぁ…と今でもフト思うことがあります。
 
 そして幸運にも地元盛岡の動物園で飼育係として働き、さらに動物園のリニューアルという大きな変化も経験することが出来ました。今回のリニューアルでは動物舎、放飼場、観覧通路や景観だけではなく、イベントもリニューアルしました。イベントで解説をする時は、少しでも自然や動物、そして動物園や飼育係の事を知ってもらいたい、興味を持っていただきたいという思いでお話をしています。この思いは飼育係になったばかりの頃から変わりませんが、ここ数年で「身近な野生動物のことを正しく知ってもらいたい」という思いも強くなってきました。


道路沿いで遭うことの多いニホンカモシカとニホンジカ

    最近、野生動物による森林被害や農作物被害、人身事故、衝突事故などがテレビで取り上げられることが全国的に急激に増えています。テレビからは野生動物の基本的な生態や被害に遭わないための対策等、様々な情報が流れてきます。比較的センセーショナルな事柄として扱われ、野生動物に対して誤解を生むのではないかと疑問を持ってしまうような内容のものも多いです。野生動物にもそれぞれ個体差や個性があり、それぞれの暮らし方がありますから、明確な対策はありません。余計な恐怖心を持つ必要はなく、野生動物について正しく理解して、私たちが住んでいる環境やその特性も併せて対策すること、対処することが、野生動物とヒトとが折り合いをつけながら暮らしていくためのひとつの方法だと思っています。


山道で出遭ったニホンツキノワグマ

    少しでも多くの方に身近な野生動物と私たち人間の暮らしの関係について考え、理解してもらう機会を提供する場所として、日本産動物を多数飼育展示している当園が果たすことのできる役割は大きいと考えています。各種イベントやワークショップを通しての情報発信もしていますが、園内にある動物病院を来園者に公開することで、より深く理解することができるはずです。
 
 現在、盛岡市動物公園ZOOMOでは、リニューアルの理念として掲げた「one world – one health」、“人、動物、環境(生態系)の健康は相互に関連していて一つである”という考え方をより体現する施設として、新たな動物病院「ZOOMO WILDLIFE HEALTH CENTER」の建設を計画しています。
 
 動物病院では、飼育動物の治療やケアはもちろん、保護され持ち込まれる野生動物の治療や、野生復帰のためのリハビリなども行っています。これまでは非公開の施設でしたが、新たな動物病院では治療やリハビリの様子も公開する予定です。展示動物だけではなく動物病院も併せて実際に目にすることで、飼育動物や身近な野生動物についてだけではなく、動物園の役割、動物たちの生と死、これからの野生動物とヒトとの関係について、私たち飼育係と同じ目線で感じ、考えていただけるのではないかと期待しています。
 新しい動物病院建設には、建物だけではなく老朽化した診療機材の更新も含まれるため多額の資金が必要となります。その資金集めに苦慮しているのが現状ではありますが、当園が果たすことのできる役割の大切な一部分を担う施設として、諦めずに実現を目指したいと思います。


園内で出遭ったヤマドリのオス

これからもずっと、身近な野生動物が身近であり続けるように、また、私たちが日々の生活を送りながらも地球上の全ての生き物たちへと思いを馳せることができるように、自然豊かな岩手盛岡にある動物園だからこそ伝えることができる大切なメッセージ「one world – one health」の入口となる、ZOOMOならではの新たな動物病院「ZOOMO WILDLIFE HEALTH CENTER」の建設実現のため、皆様の温かいご支援をどうかよろしくお願いいたします。
 
盛岡市動物公園ZOOMO ピューマ担当 山本祐子

新動物病院の建設寄附と動物医療費寄附のご支援方法についてのお知らせ※

動物病院チームの生の声を聴く貴重な機会です!ぜひご参加ください。

2024年3月3日(日)および5月12日(日)開催 動物病院応援ツアー