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独自書評『カエルの楽園』 心揺さぶる寓話
カエルの楽園 (新潮文庫) 百田尚樹 著
■あらすじ
アマガエルのソクラテスは故郷をダルマガエルに支配されてしまい平和な居場所を求め仲間たちとともに旅に出る。しかし訪れる場所はどこもアマガエルを食料とする生物たちの縄張りとなっており途方に暮れていた。仲間たちは道中次々と生物たちの餌食となった。生き残ったソクラテスとロベルトの2匹のカエルが行き着いた先は「ナパージュ」ここにはカエルを狙う生物もおらず多くのツチガエルが平和な暮らしをしていた。追い求めた居場所を見つけた2匹のカエルはナパージュの暮らしには三戒と呼ばれる古くか伝わる規律があることを知る。故郷の平和を願うソクラテス、ロベルトの2匹のアマガエルは三戒の教えを持ち帰るべく歴史を紐解いていく。破滅の道へ進もうとしているとは知る由もなく・・・。
■書評
この本の概要情報も知らずにこれはピーターラビットやくまのプーさんのよなハートフルな物語を想像していたばっかりにどんでん返しを食らった。
この作品は擬人化したカエルで世界の政治を風刺的な表現を織り交ぜながら物語っている。世界の政治を2匹のアマガエルの冒険で緻密に鮮明に表現しているもんだから百田さんすごいなと感動するばかりである。
2匹のアマガエルの他にもツチガエルやヌマガエルそしてウシガエル多くのキャラクターが登場する。現状維持で安定した世の中を望む者もいれば変革を求めるもの、民衆を言葉巧みに束ねるカリスマ的存在や武力主義で強引に力で制圧しようとする者もいる。彼らの考えが錯綜し混乱の渦を巻き起こしながら物語は進んでいくのだが、そこには権威にへりくだった愚かさ、決して個人が尊重されることのない酷さ、その先に待つ現実を痛感させられた。日本という国は平和な国ではあるが、たかだかそれは一側面でしかないということを垣間見た作品であった。
■この本の面白いところ
・それぞれのキャラクターの立ち位置を予想しながら見てみよう
→この物語は擬人化したカエルたちを世界のいろんな立場で表現しているから予測しながら読み進めてみると世界を見渡せた気になる。ちなみに作者の百田 尚樹さんも擬人化したカエルとして登場している。
・自分の考えはどのカエルと近いか当てはめ読み進めていこう
→この物語には多様な考えを持ったカエルたちが登場します。物語の最後にはそれぞれのカエルたちは異なる人生を歩むことになります。自分の考えが近いカエルとあてはめ読み進めて、結末を見届けましょう。
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