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スタートアップ連携・投資ガイド

シリコンバレーっぽいイベントを見つけて行ってみたので、考えたことのメモ。記載がない引用は講演の内容から

スタートアップ連携・投資に関する講演会で、会場はRakuNest。楽天がやっているコワーキングスペースで、SanMateoにある

講演者はTMI総合法律事務所の竹内先生。アメリカと日本の弁護士資格を持っていて、サンフランシスコでスタートアップやスタートアップへの投資の支援をされている

最近共著で本を出されたらしい。講演会後に買ってみたけど、講演の内容がより詳しく書かれている感じで良い(宣伝)

日本企業がスタートアップ投資をする際の課題

日本の特に大企業とスタートアップってギャップが凄そうだなという発想はあったのだけれど、特に課題になるのは以下のようなことだそう

・社内の理解を得ること
・スタートアップ側のスピードに対応すること
 スタートアップの経営者は2つの時間軸でプレッシャーに晒されている
 - 平均で15ヶ月おきに資金調達するサイクル
 - M&Aなら5年、IPOなら7年でExit
・投資の目的を明確にすること

スピードについては、社内でもセールス側の動きにコーポレートがついていけてないとか、コーポレートの判断(法務とか財務とかもっと上とか)が足を引っ張って大事な交渉が遅くなってしまう、なんていうのはあるあるだと思う

で、スタートアップ相手だとさらにそれが顕在化し且つ致命的になり得るというのは想像に難くなかったし、それを前提にした社内理解は必要不可欠ということらしい

大企業の通常の承認ルートでは無理筋なので、新しいことをやりたい(スタートアップへの投資とか、自社で新規事業とか)なら、組織ごと分けてしまって、権限を与えないと無理だよね、というのは昔とある大企業の偉い人と話したことがある。組織を分けても結局元の承認ルートを残しているために失敗している企業も多いイメージ

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3つ目の、投資の目的明確化は、特にCVCでStrategic Returnが求められるときに問題になりそう。「なんでうちがやるの?」って、めっちゃ難しい問い

よく会社の中で新規事業立案コンペみたいなのあるけれど、結局「なぜ弊社がこの事業をやるべきなのか」というところが説明できるプランってほとんど無いのと同じ。逆にここが説明できると偉い人の納得は得られやすい(が、スタートアップ側は別にそれをビジネスの第一目的にしないので依然難しい)


スタートアップ投資の手法

財務視点で投資の方法に種類があって、流行り廃りとか日本とシリコンバレーでの差異があるらしい

・投資家はPreferred Stockを持つのが主流。倒産ではなくM&A(特に失敗M&A)の時に優先権を発動させて利益を得る
・より簡単にConvertible Note、Convertible Equityで調達するのが流行り。ただし、株主としての権利はないので投資する側のリスクは大きい

Convertible Noteとは、「先払いで投資金を払って、後で時価総額を算出して、その時価総額に見合った株を後日受け取る」というもの。日本語では転換社債と言われる。社債として買うけど株に転換できる権利を持っているよ、ということ

ただし、どうせ回収できないので実際に社債として返金を要求する投資家はまずおらず、満期日にそのまま延長するのが一般的

この手続きが面倒なので、最初から株に転換する権利だけをやり取りしよう、ということで生み出されたのがConvertible Equityというわけ

Convertible Equityとは、Convertible Noteから返済期限と利息を取り除いたものであり、現在では、Y CombinatorによるSAFE(Simple Agreement for Future Equity)や500 StartupsによるKISS(Keep It Simple Security)等が広く浸透しています。
(引用元:米国におけるエンジェル・ファイナンス

最近この辺りの話を勉強していたので、なるほどー!となって面白かった。そして全然SAFEじゃないしKISSみたいにハッピーなものでもないのにネーミングが軽い笑

従来の投資方法の間に、新しい手法が生まれているのは面白いし、こう言うところから新しい金融ルールが生まれるんだなと思った。難しくしたくてしているわけではない、と

スタートアップ視点で有利な、逆に言うと投資家がリスクをとる調達手法が増えているのも興味深い。これが主流なのでこうしたいと言われてしまうと、リスクを取りづらい日本の大企業が判断に踏み切れないのもわかる

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そんな中、スタートアップに貸付けをする金融機関もあるらしい

スタートアップに無担保・定利率で貸付を行う金融機関もある。大手VCが入っている場合、複数回調達することが多いのでそれを信用に貸している

無担保で借り入れって驚愕。スタートアップすごいし、大手VCの影響力恐るべしである


こういう講演を英語で聞いて楽しめるぐらい英語力上げたいな、スタートアップのファイナンス面白いな、と思った日でした

おわり!

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