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城山文庫の書棚から022『リノベーションまちづくり』清水義次 2014年 学芸出版社

リノベーションまちづくり界のゴッドファーザー、別名ヨーダと呼ばれる清水義次さんは、アフタヌーンソサエティの代表として商業系のリサーチやマーケティングを手掛けていたが、青山の遊休地で自ら店舗を経営した経験を活かし、まちづくりの世界へダイブ。後輩たちから慕われ、常にこの業界を先導してきた先駆者だ。
 本書では、リノベーションまちづくりとは何か、フィールドワークに基づくエリアマーケティング、まち再生のマネジメントを担う「現代版家守」について解説。公判では自ら関わった北九州市小倉家守プロジェクト、都心の廃校を活用したアートスペース3331アーツ千代田、今も視察が後を絶たない岩手県紫波町オガールプロジェクト等の実績を紹介し、最終章では公民連携型の都市経営を提唱する。
 個々の建物で街の価値を高めるのには限界がある。それよりも街区単位、ストリート単位でエリアマネジメントを行い、既存建物をうまく手直しして使いこなしながら街のブランディングを進める方が、長期的には街の再生につながる可能性が高い。
 市街地再開発事業を始めとするスクラップ&ビルドのまちづくりは20世紀のものだ。21世紀のまちづくりはエリア単位のリノベーションが主流となることを予言した本書は、都市開発・不動産事業に関わる人々すべての必読書といえる。