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読書完走#261『人新世の「資本論」』斎藤幸平 2020

話題の若き経済思想家、斎藤幸平さん新著。天才の予感と言ったら褒めすぎか。こんな世紀の名著を、新書で気軽に読めてしまっていいのだろうか。これでいいのだ。

人類の経済活動が地球環境を破壊する「人新世」において、これまで通りの資本主義・新自由主義は持続可能ではない。それに代わるのが脱成長コミュニズムであると斎藤氏は提唱する。冒頭のメッセージ「SDGsは大衆のアヘン」は強烈だ。本気で解決策を考え、取り組まない限り、17色のバッヂは免罪符の謗りを逃れない。

本書では『資本論』を超克的に読み解き、執筆後のマルクスの進化を補助線として内在する可能性に焦点を当てる。FFFに参加する若者たちが叫ぶ通り、地球(Planet)に代替物(Plan B)は存在しない。否が応でも共産主義に対するアレルギーを克服し『資本論』を自家籠中のツールとして使いこなすことが求められる。そのための羅針盤のひとつとして、本書は意義を持ち続けるだろう。