私の物語は、いかにして性欲に負けたか


 性欲は大切だなあ、と思ったことがある。

 私は性欲に薄く、そのため女性にもあまり興味がない。一応自慢しておくと、精力はゴルゴ13並みにあって、自分が一晩中でも女性を抱き続けることができる男だと知ったのは、随分と歳を食ってからなのだが、まあ、それはまた別の話だ。

 性欲が薄いせいか、パンツにも興味がない。

 特に女子高生のパンツには興味がない。ちょっと不潔な感じがして苦手なのだ。金たまにヤンキー座りしてパンツ丸見えの女子高生がいたりするのだが、私はとっさに目を背ける。目を背けるだけではなく、首を180度回転させて、絶対に見ないようにして横を通るほどである。

 そんな私が、性欲は大切だなあ、とつくづく感じた。

 ある小説のストーリーを考えている時のことだ。

 超能力者たちを主人公とした物語だ。半端な超能力者集団のお話である。

 例えば、自分の悪口しか聞こえないテレパシスト。オシッコをしている間だけ超人ハルクになれる男。3センチだけ瞬間移動できる女などが登場し、悪の組織と戦うストーリーである。

 だが「いまいち、つまらんのお」と、どうにもノリが悪かった。

 そんな時、金たまたま、「みんな! エスパーだよ!」というテレビドラマを見たのだ。ストーリーは、性欲だらけのモテない高校生がテレパシー能力を身につけ、仲間たちと世界を救うというものである。

 彼らの超能力の多くは、性欲を原動力とする。スケベエな妄想にかられた時だけ念動力が使える男。風を操り女子高生のスカートをめくる男。念動力で睾丸をつぶす女。瞬間移動するたびに、全裸になる男。

 しかも、ドラマでは、女子高生のパンツが見放題である。さらに巨乳も見放題である。教授が難しい理論の説明をしながら、助手の女の子の巨乳をモミモミしているのである。なんじゃ、こりゃ。そういうものには興味がないのだが、意外と面白いドラマなので、12話ぜんぶ見てしまったのだ。

 性欲にテーマを絞ったという時点で、私の考えていたストーリーなど軽くふっとばされてしまった。やはり、物語にとって性欲は、大きな軸とすることのできるテーマなのである。

「人類股間計画」というプロジェクトも出てくるので、エヴァンゲリオンファンも注目だ。

 ちなみに、オープニングロールがカッコいい。テーマ曲は高橋優。この人の曲は、単独で聴くとちょっと疲れるのだが、こういう使い方をすると実に魅力的に聴こえる。エンドロールも同じくらいカッコよくて、石崎ひゅーいが歌っている。

 女子高生のパンツには興味のない私であるが、面白いものは素直に認めたいと思う。もう一度、「みんな! エスパーだよ!」を見返して、女子高生のパンツを、ではなく、面白さを再確認してみようと思う。




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