あやたか

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流体力学ゼミの終了報告と反省

 春休みから始めた流体力学(Landau & Lifshitz)の自主ゼミが先日終了した。第1章を丁寧に読み進める予定で、実際その通り進行したわけだから、理想流体について大まかな知識を整理できたことになる(もっとも流体力学1は一度通読しているけれど、良い復習になった)。企画してくれた友人及び活発な意議論に参加してくれた学科同期達に感謝している。  セミナーにはG30の同期(E君と呼ぶ)も含まれていたので英語で行われたのだが、数年親しんできたはずの英語は専門内容を前にしてかな

    • 【18】The little prince

              "What I'm looking at is only a shell. What's most important is invisible..."     I think this is the main theme of this story, but it`s not so easy to understand this statement. We are accustomed to feel comfortable with praised, b

      • 【84】The Revolt of the masses

        1.    Through SNS, we can get various information, such as the state of Japanese government, or that of others. In 2020, we face serious problem, the spread of covid-19. Since I was told to stay home and started to collect the social state,

        • 【34】『遠野物語』

          1.小林秀雄氏の晩年の講演に『信ずることと知ること』という有名なものがある。 大昔の人たちは、誰も肉体には依存しない魂の実在を信じていた、これは仮説を立てて信ずるという点で、近代心理学者と同格であり、何も彼らの考えを軽んずる理由はない。精神より物質を優位に捉える仮説では、いろいろ不都合が生じることになるなら、精神は、無意識と呼んでいい近づきがたい、謎めいた精神的原理の上に立つと考え直してみるのもいい事だ。新しい道が拓けるかもしれないのです。  自然科学にしばらく携わってい

        流体力学ゼミの終了報告と反省

          【15】『かもめ』(チェーホフ)

          1. あまり有名ではないかもしれないが、『諸君の位置』と題された太宰治の随想があり、個人的に気に入っているばかりか、長い間学生生活のある種の指針ともしている文章がある。そう長くはないし、青空文庫で読める。  僕は太宰の生活自体に信用を置いていないし、ましてや彼の信奉者でもないが、この文章自体にはいろいろポジティブに捉えられるところがあった。 實生活に於ける、つまらぬ位置や、けちくさい資格など、一時、潔く抛棄してみるがよい。諸君の位置は、天上に於て發見される。雲が、諸君の友

          【15】『かもめ』(チェーホフ)

          【99】『共同幻想論』(吉本隆明)

          この記事は以下の記事の派生です。 1. 高校生時代の思い出であるが、孔子は『詩経』から人間の生き方や規範を模索しているのだし、日本人なら『万葉集』で同じことをすべきだ、と主張していたところ、友人から「病んでるの?」と一蹴されたことがある。今までの人生で精神的に安定していた時期というのはそう多くないけれど、そういう主張は決して病んでいたために発せられたわけではなかった。『論語』のあまりの力強さに感銘を受け、病的に逆上してしまったと言えばそういう意味になるのだろうか。いずれにせ

          【99】『共同幻想論』(吉本隆明)

          100分de名著(NHK)のバックナンバーを読んでいくプロジェクト

          序  記憶は過去へ延長した自我によって多少の脚色を受けるために、かつて自分がどんなことを考えていたかを想像するのは極めて難しいことだ。中高時代、僕は中国古典を読むのが好きだったけれど、今思うと何を思って漢文の世界にのめりこんだのか、はっきりとしたことは思い出せない。それでも時折『論語』などの本を紐解いてみると、素朴で力強い言葉の数々が数千年の時を超えて現代に残っていることの不思議さを感じるとともに、当時の自分も今の僕と同じ、こういう感覚を抱いていたのかもしれない、と妙な懐かし

          100分de名著(NHK)のバックナンバーを読んでいくプロジェクト

          大学生失格

           最近岩波文庫から出ている『風姿花伝』を読んだ。  この比の稽古は、ただ、指をさして人に笑はるるとも、それをば顧みず、内にては、聲の届かん調子にて、宵・暁の聲を使ひ、心中には、願力を起して、一期の堺ここなりと、生涯にかけて能を捨てぬより他は、稽古あるべからず。ここにて捨つれば、そのまま能は止まるべし。  これは風姿花伝第一、「年々稽古條々」の章にある文で、十七・十八歳からの稽古の心得をまとめていたものの一部だ。読んだとき、そこで何か躓いたように文章に目を止めて、どこか暗い

          大学生失格