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3分De論文【ネオナイシン―e 配合口腔ケアジェルを使用した口腔ケアで口腔カンジダ症を抑制できた筋萎縮性側索硬化症の1 例】

みなさん、こんにちは。
論文を読んで勉強したいけど、忙しくてなかなか出来なという方の味方、時短言語聴覚士STサクです。
今日も3分でこの論文を説明します。説明の後に理解を深める問題も用意しましたので、お時間がある方は最後まで読んでもらえると嬉しいです。問題を読んでから論文を読むと頭に入りやすくなりますのでお勧めです!
では、今日の論文はこちら↓↓

ネオナイシン―e 配合口腔ケアジェルを使用した口腔ケアで
口腔カンジダ症を抑制できた筋萎縮性側索硬化症の1 例

概要

介護が必要な方は、自身での口腔ケアが不十分になりがちで、口腔内環境が悪化し、口腔カンジダ症などのリスクが高まります。本論文は、口腔衛生状態の悪い筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんに対して、ネオナイシン-e配合口腔用ジェル(以下、Ne配合ジェル)を使用した口腔ケアを行うことで、口腔カンジダ症の発症を抑制できた可能性を示唆する症例報告です。

症例

64歳男性で、16年前にALSを発症し、電動車椅子を使用していました。 患者さんは、誤嚥性肺炎の既往があり、糖尿病も患っていました。 歯科初診時、患者さんは口腔衛生状態が悪く、口腔カンジダ症と診断されました。
初診時、6日間の抗真菌薬(アムホテリシンB)の経口投与と並行して、歯科的な治療と口腔ケア指導が行われました。 口腔ケア指導では、磨き残し部位の確認、電動歯ブラシの当て方、スポンジブラシでの清拭方法について指導しました。
その後、口腔カンジダ症の再発防止のために、Ne配合ジェルを使用した口腔ケアを指導しました。 患者さん自身がジェルの蓋を開閉し、ジェルを出すことが可能か確認した後、使用量と口腔内への塗布方法を指導しました。

結果

初診から7日目には、口腔カンジダ症による偽膜性の白斑は消失し、PCR(プラークコントロールレコード)は改善しました。 しかし、自己判断でNe配合ジェルの使用を中断したため、2回口腔カンジダ症が再発しました。 Ne配合ジェルを使用していた期間は、口腔カンジダ症の再発は認められませんでした。

考察

本症例では、糖尿病の既往、抗菌薬の長期投与に加えて、口腔清掃状態の不良が口腔カンジダ症を発症した原因と考えられます。 抗菌薬の長期投与は、口腔カンジダ症のリスクを高める要因となります。
Ne配合ジェルは、乳酸菌由来のバクテリオシンであるネオナイシン-eを含んでおり、抗真菌作用を持つとされています。 本症例では、Ne配合ジェルを使用した口腔ケアを行った期間中は口腔カンジダ症の再発を抑制できており、Ne配合ジェルの使用が口腔カンジダ症の再発予防に有効であった可能性が示唆されます。

終わりに

いかがでしたでしょうか?
ちなみにここで使われたジェルは「オーラルピース」という商品で、私も良く利用者様にお勧めしています。
食品で作られており飲み込んでも安全な為、子供が小さい時に歯磨きに使っていました。味も良いです。
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この後に理解を深めてもらえるような問題を作ってみました。
お時間がありましたら、挑戦してみてください。
お勧めは、問題にチャレンジしてから論文を読むと、内容に興味がわき頭に入りやすくなります。

理解を深めよう

問題

  1. なぜ要介護者は口腔カンジダ症を発症しやすいのですか?

  2. 患者の口腔カンジダ症の原因として考えられる要素を3つ挙げてください。 

  3. Ne配合ジェル使用中の患者の口腔内状態は、どのように変化しましたか? 

  4. 患者はなぜ自己判断でNe配合ジェルの使用を中断したのですか? 

  5. Ne配合ジェルの使用を中断した後の患者の口腔内状態は、どのように変化しましたか?

  6. Ne配合ジェルの使用は、抗真菌薬と比較してどのような利点がありますか?

  7. 本症例報告から、Ne配合ジェルの使用に関してどのような可能性が示唆されましたか? 

  8. PCRとは何の略称ですか? また、どのような数値を示していますか?

  9. 本研究の限界点として考えられる点を1つ挙げてください。 

解答

  1. 要介護者は、身体機能の低下により十分な口腔ケアを行うことが困難な場合が多く、口腔内環境が悪化しやすいためです。その結果、口腔内の常在菌であるカンジダ菌が増殖し、口腔カンジダ症を発症しやすくなります。

  2. (1) 糖尿病の既往、(2) 肺線維症に対する抗菌薬の長期投与、(3) 口腔清掃状態の不良、の3つが考えられます。

  3. Ne配合ジェル使用中は、口腔カンジダ症の再発は認められず、口腔内の衛生状態も良好に保たれていました。PCRも低い値を維持していました。

  4. 1度目は、口腔内装置の誤った挿入操作によりワイヤークラスプが口腔粘膜を損傷し、潰瘍による疼痛があったため、自己判断で14日間Ne配合ジェルの使用を中断しました。2度目は、特に理由はなかったものの、自己判断で10日間ジェルを使用していませんでした。

  5. Ne配合ジェルの使用を中断した後、42日目と106日目に口腔カンジダ症が再発しました。これは、抗菌薬の継続投与により、口腔カンジダ症のリスクが継続的に高かったためと考えられています。

  6. Ne配合ジェルは、乳酸菌由来のバクテリオシンを使用しており、誤って飲み込んでも人体への悪影響が少なく、安全性が高いと考えられています。また、耐性菌出現のリスクが低く、薬物相互作用の心配も少ないという利点があります。

  7. 口腔カンジダ症のリスクが高い患者に対して、Ne配合ジェルを使用した口腔ケアを実施することで、口腔カンジダ症の再発を抑制できる可能性が示唆されました。また、抗真菌薬の使用回数を減らせる可能性も示唆されました。

  8. PCRは Plaque Control Record の略称です。歯の表面に付着しているプラークの量を数値化し、口腔内の衛生状態を示す指標となります。

  9. 本研究は、1人の患者を対象とした症例報告であるため、その結果を一般化できるかどうかは不明です。Ne配合ジェルの有効性を検証するためには、より大規模な研究が必要となります。

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