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ねこの ブーナ (年寄りの野良猫1)

最近デカいキジの野良猫が来る。
デカいので、ウチの利兵衛(オスネコ)がものすごく威嚇する。
が、その野良がデカいので、むちゃくちゃびびってるのがわかる。

デカいくせに、とてもおとなしい。ヒトに寄っては来ないが、おっとりしているのか、「しっし」とおっぱらってものっしのっしと歩く。
おそらく、トシを取ったネコなのだろう。
この間なんて、デッキの座布団に丸まってた利兵衛の横に、一緒に「ヨイショっ」と入ろうとしてた。
利兵衛の驚いた事。
「ブギャー」と飛び出て、逃げてしまった。

とりあえずここは野良禁止(二匹も飼えないよ…)につき、「しっし」と追い払った。
野良は大人しくスゴスゴと去って行った。名残惜しそうに見えた。
何度もウチに来るので、「ブーナ」と名付けてやった。

いつも利兵衛が「フーッ」と怒るから、ブーナを追い払う。
なんだかとても可愛そうな気がするが、利兵衛だって元・野良。
ナイショで納屋で飼ってたら(利兵衛は親に捨てられたのだ)大家さんに見つかった。
家が古いのと大家さんが優しいのとで、とりあえず今は利兵衛はうちのコだ。(この間、大家さんが利兵衛をなでなでしてたし・・・)
だが。2匹目はさすがにダメだ。
人道的にもダメだろう。それは好意に甘えすぎだ。

ある日、暑いので家中開け放しにしていた。
ウェブの仕事なので、パソコンの部屋だけクーラーかけていたのだが、寒いので時々出る。
テレビ見ながらちゃぶ台でお菓子食べて休憩。暑いのが暖かい。
のっしのっしとキジ猫が、ワタシの後ろを通る。

「はいっ?」
こら、ブーナ!オマエ、なんで家に入っとるんだ!
ブーナは慌てるワタシを尻目に、のっしのっしと勝手口から出ていった。
呆れはてて、怒る気もなかった。

もしかしたらブーナは、隣町の、信号前の家の子なのでは?と、ふと思った。
パートに出ていたころ、毎朝信号を待つ時に、その信号前の家の窓から、
キジ猫が寝ているのが見えた。
いつも、カーテンを少し開けてもらって、高い棚から、信号待ちの車を見ているわけだ。

あの時のアイツか…?ブーナは…。

でも、あの信号前の家は、この前解体されていた。
もしかしたら家主はいなくなったのかもしれない。
いやあ、だとしてもネコだけ放り出すなんてことはないだろう。
引っ越しなら連れて行くだろうし…

今から冬になる。ブーナは寝るとこ、あるのだろうか…。

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