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旨い料理への道とは、何か

 究極的にウマいものとは何か。
それを探して、人は時にカネを使い、時間を使う。私にとってはそれは、最近食べた鶏の鍋だ。
 鶏肉は、時に化ける。その旨味を存分にとじこめた唐揚げ、ネギとともに焼けばたちまちビールが止まらない焼き鳥、炭で焼けば宮崎の名物地鶏となる。


 しかし、どれも家庭ではあまり作らない。独り身であるとなおさらである。
さて、冬には鍋をよく家庭で作る。そこで登場するのが醤油に一日漬けた鶏もも肉である。それを、昆布を1時間以上ひたしただし、白菜を火にかけて、入れる。ただそれだけなのだ。しかしこれをなめてはいけない。ことことと10分程煮込んだアツアツを、そのままいただく。何が起こるのか。口の中には、なんとも言えない鶏肉の繊維がうまく醤油に絡まり、旨いのだ。おまけにもも肉から溶け出した旨い油はこの鍋を極上のものにする。
 ここにうどんを加えてしまえば、たちまち冬の食卓の完成だ。細切りにしたレタスにオリーブ油と醤油をかけたサラダなんかをつまみながら、日本酒をあおり食う飯は最高だ。ぜひ、試してみてほしい。