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チームからメンバーが抜ける時に、残された人たちでやって欲しいワークショップ

こんにちは。女性向けキャリアスクールを運営するSHEでデザイナーをしているジオと申します。

SHEでは、学ぶと働くが循環する女性向けキャリアスクールSHElikesのUIUXデザインやマネジメントに取り組んでいます。

めでたいことに、一緒に働いている人たちが産休に入ることが増えてきました。自分自身も子供がおり、出産・育児(絶賛継続中)を経験しているからこそ、産休に入る方には安心してお休みに入っていただきたいと思っています。そのために、その人がお休みに入った後に残ったチームがそれまでと変わらずに、もしくはそれまで以上に成果を出せる状態にしてやるぞ!という気持ちでいます。

読むとわかること・読んで欲しい人

私たちのデザイン組織でも去年の暮れにメンバーが産休に入り、役割やタスクを他のメンバーが引き継ぐことになりました。それにあたりデザインユニットで独自のワークショップを設計し、チームメンバーで取り組んでみたのですが、それが想像以上に効果を発揮しました。単なるタスクや役割を他のメンバーに機械的にスライドするのではなく、残ったメンバーでチームが再構成されるような、なんとも有機的な現象で、メンバーたちが自らの意思の元に新たな動きをし始めたことが印象的でした。

組織において、人の出入りというものはごく当たり前なことと思っています。その中でも「人が(一時的にせよ)減る」ということは、チーム少なからず影響があるのが一般的ではないでしょうか。メンバーの異動や退職、産休など背景は様々です。今回のワークショップは、他の組織においても人が減るという状況で参考になるのではないかと思いこの記事を書きました。

背景

SHEのデザインユニットは、この記事を書いている2023年末時点では8名のメンバーが在籍しています。この規模になったのはつい最近のことで、1年前は4名の体制でした。
その中でも一番長くSHEのデザインユニットを支えてきたと周囲の誰もが認めるメンバーにおりちゃんという方がいました。彼女はめでたく子供を授かり2023年11月から産休に入ることになりました。(この記事を執筆してる時点で、無事に元気な赤ちゃんも生まれています🎉)この記事の内容は、彼女にまつわる事柄も多いため、あえて紹介をさせていただきます。本人にもOKいただいてます🙆

いつもチームを支えてくれてたおりちゃん

おりちゃんの妊娠をチームのみんなで祝福し、安心してお休みに入ってもらえるように、チームのみんなで引き継ぎなどを進めていきました。ところが一方で、おりちゃんが僕らのチームで果たしてくれていた役割は大きく、その役割を残ったメンバーで担っていかなくてはという気持ちは誰もが持っていたと思います。直近半年以内に入社した社歴の浅いメンバーも多くなり、社歴が長いおりちゃんがいつもよしなにやってくれていたことを、これからは自分たちでやっていくぞ!と意気込んでいました。

「おりちゃんが持っていたボールを拾い合う会」というワークショップを開催

おりちゃんが産休に入った翌日、残ったデザインユニットのメンバー7名を集め、オンラインでのワークショップを開催しました。

その名も「おりちゃんが持っていたボールを拾い合う会」です。

実施内容の詳細は後述しますが、産休に入った直後のタイミングでこのような機会を設けないと、それまでおりちゃんが担ってくれていた役割やタスク(=ボール)が宙に浮いてしまい、業務遂行や組織運営がゆらぐ可能性があると思いこのタイミングで開催しました。

ワークショップはチームメンバー全員が参加することを重視し、オンラインでの開催としました。
全員参加としたのは、チームのことをひとりひとりが自分ごととして捉えるために、その場にコミットすることが重要であると考えたためです。誰かに言われてやるより、自ら「これは必要だ」と気づき「自分がやろう」という気持ちになってもらいたかったためです。
また僕らのチームには関東・関西それぞれに住んでいるメンバーがいることや、普段からリモート勤務がメインの働き方をしておりオンラインワークショップにも慣れていたためオンライン開催としました。

ワークショップのマインドセット

おりちゃんが抜けた後に気をつけたいと思っていたことがありました。それは「おりちゃんのそのままの代わりを別の誰かがやるのではない」ということです。そうではなくて、残ったメンバーで新しいチームの在り方を再構成する意識を大切にしていました。
おりちゃんはマネージャーでした。彼女が抜けた後に、新しくマネージャーになる別メンバーは存在しました。ただその人のタイプを踏まえると、後任者がおりちゃんと同じ動きをすることが組織にとって最適解とは考えていませんでした。

空いた穴を後任マネージャーが埋めるのではなく、これまでおりちゃんが担っていた役割を棚卸しし、チームメンバー全員で自分の得意や意志の元で拾い合い、新しいチームの形を作り上げていこう。

その方がチーム全体として強くなることができるし、おりちゃんが育休明けに戻ってきた時には、新しく強くなったチームで今度はまた新しい領域で活躍してもらうための余白を作ることができる。それって更にチームのパワーは増すし最高じゃない?

そんな話をワークショップの冒頭にチームメンバーのみんなにし、みんなも快く受け止めてくれました。

実際のワークの流れ

ここからは実際にやったワークの流れを紹介します。ワークショップ自体はFigJamを使用し、1時間ほどで行いました。

休みに入ったおりちゃんがやってくれていたことを棚卸し

おりちゃんがいつもやってくれていたことを皆で付箋に書き出しました。この時はデザイン制作業務のようなわかりやすく「タスク」として認識しやすいものはもちろんですが、「slackでスタンプをたくさん押してくれる」「オンラインミーティングのチャットを盛り上げてくれる」などの普段のふるまいが組織に与えていた影響・僕らが受け取っていたことも書き出していきました。

付箋の一例

書き出した付箋をグルーピング

次に書き出した付箋をざっくりグルーピングしていきました。ここではグループ分けすること自体が目的ではなく、他の人が書いたことを見て多面的に見えてくることを共有することを意図しました。なのでグルーピングは厳密には行わずにざっくりとでクイックに済ませました。

複数人でこのワークを行うことで、抜けた人がそれまで担ってくれていた役割を多角的に捉えることができたのが良かったのはもちろんですが、その人への感謝の気持ちが溢れてくるという効果も大きかったです。「あぁ、今までこんなにも助けてくれてたんだなぁ」とみんなが口にしていました。こんな風に、各メンバーが抜けたメンバーの役割を自分で一度噛み締めるプロセスはとても良かったと思います。

守神だった存在に対して溢れる感謝の気持ち

各自が意識して取り組みたいことを宣言していく

一例を抜粋

FigJamのボードに並んだ「これまでおりちゃんがやってくれてたこと」を見渡してみて「この部分は、これからは自分がやっていきたい」という部分に自分の名前のマークをつけていくワークをしました。

人はそれぞれ得意・不得意もあるし、やりたい・やりたくないもあります。各自が自分の力を発揮できる、もしくは意思を持って取り組める領域に対して自ら宣言することで実際に行動につながると考えていました。

各自マークを置いていった後に、チーム全体として抜け落ちている役割がないかを確認しました。この時、もし仮に誰もやろうとしない領域があった場合は自分がマネージャーとして回収しようと思っていたのですが、見事にみんなが拾ってくれたので杞憂でした。

こうして、これまでのおりちゃんの役割への感謝の気持ちの確認と共に、これからチームとして生まれ変わるためのキックオフとなりました。

その後、生まれた変化

このワークショップを実施した後、チームメンバーの行動に明らかな変化がありました。メンバーひとりひとりの能動的な行動が増えました。

デザイン制作に関連するタスクはタスクとして認識しやすいのですが、それ以外の組織運営の観点で必要な動きに対して、メンバー全員のアンテナ感度が上がり、細かな調整ごとやステークホルダーへの気配り面も含め、メンバーの自立的な行動が増えました。

お互いの得意なことを更に意識し合うようになり、週次のチーム定例内の会話でもお互いの行動を讃えることが増えました。また何かわからないこと(それまではおりちゃんがやってくれてた事務手続きなど)があったとしても「できるようになるために私が一度やってみます」「ありがとう!〇〇の部分なら私もわかるからサポートするね」といった動きが圧倒的に増えました。

まとめ

以上が、弊社のデザインユニット内で産休に入るメンバーがいた時に実施したワークとその影響についての共有です。

チームから人が一時的にせよ抜けるということは、それなりにインパクトがあることです。ですが一方で組織を強くするためのチャンスにもなり得ます。

目に見えるタスクだけでなく、その人がいたことによって組織に与えていた影響についてもメンバーで振り返り、現メンバーで再構成する意識も大切だとわかりました。

チームメンバーがこういった経験を一度でもしておくと、また次に誰かがお休みに入った時にも「皆できっとなんとかできる!」という気持ちになれると思いますし、将来的に産休に入るかもしれないメンバーの「自分が抜けたらチームに迷惑かけないかな…」なんて不安も減らすことができるはずです。

おまけ

後日、このワークショップを開催したことがおりちゃんに伝わったのですが、添付のように喜んでもらえたようでした😊

これからも組織マネジメントなどについてnote執筆や、X(旧Twitter)での発信も行なっていきますので、参考になったなと思う方がいれば是非フォローしてください🙏  → X(旧Twitter)はこちら


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