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(マネジメント⑨)新しい組織のカタチ ~組織の変化がマネジメントを変えていく②

「階層はなぜ生まれるのか。」

組織が小さい時は、仲間意識が強く階層は生まれない。階層が生まれると、関係性はギクシャクし始め、仲間意識が希薄になっていく。行きつく先は、仲間が離れて組織がなくなるか、別の組織になって再始動かのどちらかになる。

こうなることをわかっているから、意識して組織が小さい時には階層をつくらない。しかし、組織が大きくなると、階層が生まれていく。それは、階層を作らないと、大きくなった組織を管理統制できなくなるから
これについては、人類学的な視点を参考にする。『昨日までの世界』(ジャレド・ダイアモンド著)に、次のような文章が書かれている。

社会の人口が多いと、意思決定をする指導者と、その意志を実行する高官、決定事項や法律を管理する官僚が存在しなければ、社会は回らない。
( 上・P31より )

組織が大きくなると、組織を守ろうと無意識に階層をつくってしまう。組織が大きいほど、守ろうとする意識は強くなっていく。それは、組織が潰れれば多くの人・組織・社会に影響が及ぶから。
そこで、組織を守るための役割が生まれ、階層が生まれていく。実は、階層は作ろうとして作られるものではない。

ここで、「階層のない小さい組織がたくさん集まるとどうなるのか」という疑問が頭によぎった。考えられる答えは、二つ。
一つは、階層が生まれるのと同じプロセスが繰り返されて、階層が生まれる。もう一つは、階層のない組織そのものを自ら作ろうとする。

階層が生まれると同時に、ルールが作られる。それは、ルールがあることで階層が守られ、組織も守られるから。
階層のない組織には、ルールの代わりになるような、共通する目的が必要になってくる。目的に共感した人たちが集まって、気づくと組織になっている。後で説明するTeal組織には、この目的が大きな鍵になることが示されている。

「階層のある組織からどうすれば、階層をなくすることができるのか。」

階層のあった組織から階層をなくすには、非常に大きな課題がある。階層があることで、組織に守られているという無意識による、安心感をもってしまう。階層がなくなることでこの安心感が失われて、不安になってしまう。

守られているとは、責任を自分自身に負わず、階層という組織が責任をもってくれること。この課題の解決策を、二つ考える。

一つは、責任を誰かに負わすのではなく、全員で共有すること

階層を上にいけば行くほど、権限を与えられるととともに、組織を守る責任感を持たされる。組織における階層は、命令や管理統制などだけでなく、実は責任も階層になっている。階層をなくすと、今まで組織が負っていた責任を誰が負うのかという問題がつきまとってくる。
そこで、責任を組織にいる全員で共有し合うことで、責任の階層は必要がなくなる。次の分権型組織とハイブリッド型組織では、責任の全員で共有する考え方の一つ「権限を手放す」ことについてふれていく。自ら権限を手放すことで、権限にあった責任を全員で共有し合う。

もう一つは、安心安全な場をつくること

築き上げた階層を維持するために、時には不安を煽ったりする。煽られて不安になると心細くなり、誰かを頼りたくなる。その誰かが、権限をもつ階層の上位者になる。
例えば、生活で不安になると行政(政府)を、仕事で不安になると上司や会社を頼る。階層をなくすと、今まで頼りにしていた何かがなくなる。頼りになる何かに代わるものが必要になってくる。その何かが、不安の反対側にある安心である。

「階層がなくなると、マネジメントはどう変わるのか。」

階層があったから、管理統制は機能していた。これは、階層を守るために、人を従わせるために、管理統制していたともいえる。階層がなくなると、マネジメント1.0の管理統制は機能しなくなる。

階層があることで、「支配者と従属者」という縦関係による管理統制機能が組織全体の中で、上から下に向かって起きていった。事業部が部を、部が課を、課がグループという組織間の管理統制が起こった。また、部長が課長を、課長がリーダーを、リーダーがメンバーをという人同士の管理統制もある。

階層がなくなると平等で公平な関係になり、管理統制しなくていい組織になる

無理に管理統制をしようとすると、新たに階層が生まれて、元の組織構造に戻ってしまう。マネジメント2.0では管理統制の代わりになるものが求められる。管理統制の代わりを探しに、新しく生まれた組織を観ていく。

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