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灰と朝

曇天の空の下、

赤いショベルカーが群れをなしていた。

灰色の瓦礫の上で。

全て同じ方向を向いている。

灰十字軍の行進のワンシーン。

僕はその横を流れるように通り過ぎる。

朝の電車の中。

ドアが開く。

吐き出される人たち。

灰色の足音がどこまでも続いていく。

熱くもなく寒くもないことは、

砂に埋まってしまった。

空を見たら、

小雨が降っていた。

もしも虹が現れるなら、

どうかこの灰色も加えてほしい。

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