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#138.放射線治療

がん治療において最初に検討すべき標準治療。

そして標準治療は

①外科手術
②放射線療法
③化学療法 が3大治療とされている。

中には腫瘍の発生部位から①外科手術が難しいケースがあるかもしれないが、概ね②放射線療法、③化学療法での治療は可能だと思う。

その中でも妻が行った放射線療法について記録する。

そしてその中で少しでも誰かの役に立つ情報があればと思う。

一概に放射線療法といっても、今は様々な選択肢がある。

がん種によって適応できるもの、適応できないもの、そして研究段階のものまで幅広くある。

初めに放射線療法の特徴から

腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が可能。また、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法。
手術で患部を切除しないで、身体の機能や形態を温存させたいときなどに利用する治療法。

副作用としては

がん局部周囲の正常細胞も傷害されるので後遺症(照射場所、照射量により様々だが代表的なもので皮膚炎、脱毛、倦怠感など)が残る場合がある。

今では放射線照射精度の向上から、がん周辺正常細胞への傷害も少ないものの、全く当たらないことはないので影響はある。

がん治療に使われる放射線の種類

そもそも放射線とは、空間や物質中を波のかたちや粒子でエネルギーを伝播するものを総称する言葉。電磁波(X線、γ線など)と粒子線(原子を構成する粒子:電子、陽子、中性子など)の2種類に大きく分けられる。
がんの治療に使われている放射線は、X線、γ線、電子線が主で、その他
陽子線、重粒子線が研究段階で使われている。

放射線療法による効果

放射線は細胞のDNAに直接作用し、細胞が分裂して数を増加する能力をなくしたり、細胞が自ら死んでいく現象(アポトーシス)を増強したりして細胞を殺す。
放射線はがん細胞だけでなく正常細胞にも同じ作用をするが、がん細胞は正常細胞よりも障害の程度が重く、正常細胞はがん細胞よりは障害の程度が軽いため、放射線照射前の状態に回復するまでの時間が短い。

私の妻の場合、視床部の悪性脳腫瘍(diffuse midline glioma グレード4)であり、放射線治療としては主治医よりノバリスの提案があった。


ノバリス とは何か

ノバリスとは定位放射線治療装置のこと。また定位放射線治療とはターゲットとなる病巣に対して多方向から高精度に集中して放射線を照射することにより、通常の放射線治療よりも周囲の正常組織への放射線量を極力抑えて治療することが可能となる放射線治療法のこと。

定位放射線治療でも、一回で完了する治療を「定位放射線手術」(Stereotactic Radiosurgery(SRS))といい、狭義に分割照射での治療を定位放射線治療(Stereotactic Radiotherapy(SRT))という場合がある。

ノバリスはピンポイント治療(定位放射線治療)を行う目的に開発された専用のシステムで、ガンマナイフと異なり、治療部位は頭部領域だけでなく体幹部病変へ治療も沢山行われている。

CTやMRI、PETなどの画像データで病巣(腫瘍)を3次元的に把握し、病変部に対して多方向から低線量の放射線ビームを高精度に集中させて、正常組織の被曝を最小限に抑え、病巣にのみ高線量を照射します。「定位放射線治療」と呼べるのは、治療誤差が頭蓋内で2mm、体幹部で5mm以内で治療ができることと定義されている。

ノバリスの場合、照射可能な照射野の大きさが10×10cmと限られているため、これを超える大きな腫瘍は治療できない。しかし線量集中性の問題から直径が5cm程度までの腫瘍が(比較的安全に線量を集中させて)治療することのできる限界。

ピン固定なしで患者により優しい。

頭部の病変はガンマナイフの治療が最も歴史があり、現在も多くの病院で使用されている装置、治療を高精度に行うために頭部の固定は金属フレーム(頭蓋骨にスクリュー固定、ピン固定)に頼らざるをえない。それに対してノバリスでは治療中の動きをなくすための特殊な樹脂製のマスクは使用するので、苦痛のあるピン固定は必要ない。また放射線の強さを変えながら照射する強度変調治療 (IMRT)を実施することが可能。


ちなみによく聞くことがある

ガンマナイフとは何か

ガンマナイフとは定位放射線治療を行う放射線照射装置の一つ。脳腫瘍、脳血管の奇形(特に脳動静脈瘻)などの治療に使われる。
この装置の特徴は201個または192個のコバルト60の線源をヘルメットのような形状に並べ、これらの線源を精密にコントロールし、病変部にピンポイントでガンマ線を集中照射(精度は0.2 - 0.5ミリメートルくらい)することにある。個々の線源からのガンマ線は細く弱いが、それぞれを病変部分に向け照射するので、病変部に対しては大きな線量となり、効果を上げることができる。病変部分以外については、細く弱いガンマ線が貫通するだけであるので、副作用は最小限に抑えられる

サイバーナイフとは何か

サイバーナイフは、X線を使った放射線治療装置の一種で、腫瘍にピンポイントで照射することに特化した装置。コンピュータ制御により、あたかもナイフで手術をしているかのような装置。産業用ロボットを医療用に応用したもので、ロボットアームに取り付けられたX線発生装置が様々な方向から集中的に狙い撃ちします。治療精度は0.5 mm以下の精度で治療しています。 特に、脳腫瘍を含む頭頸部、肺、肝臓の治療で威力を発揮します。もし治療中に患者が動いてしまっても、標的の移動が1cm以内であれば自動的に照射点を補正、追尾、それ以上であれば照射を中断するなど何重もの安全対策が施されている。

ノバリス、ガンマナイフ、サイバーナイフを比べると、ノバリスは分割照射において高い性能を発揮する放射線治療装置であり、ガンマナイフは一回照射にもっとも適した放射線治療装置。そして、サイバーナイフはその中間に位置するものといえる。

その一方で照射精度はガンマナイフ、サイバーナイフ 、ノバリスの順だと私は理解しており、再発時などには他の放射線装置の検討をしても良いのでないかと思っている。

ただ通院している病院が、受けたい放射線装置を持っているとは限らないので、よく主治医と相談した上で検討した方が良いを思っている。

妻は病変の大きさも相応にあり、播種も認められていたことからノバリスを受けた。また小脳脚への再発時にも同様の放射線照射を行った。

効果については若干あったものの、腫瘍拡大を抑えるレベル。

脳腫瘍の中でも放射線における治療効果の高いもの、低いものがあるので全ての病巣に高い効果を示すわけではない。

放射線治療は絶対量が決まっているので、何度も繰り返し行えるわけではない。

妻の治療について探してはいるものの、放射線の絶対量を照射している中で放射線再照射の選択はないのだろうか。

新たな腫瘍拡大部位にピンポイントで照射することはできないのだろうか(ただ冒頭に書いた通り、少なからず周辺の正常細胞への影響はあるが)。

そういった疑問を解決すべく

今週、セカンドオピニオンに行ってくる。


記事を通じて、少しでも誰かのお役に立てればと思っています。