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父親の育児はいいとこどり?

 このnoteは、昨年父親になった私が、父親の育児に関して考えたことを書いています。このnoteをぜひ読んでいただき、子育て世帯でいろいろと考えるきっかけになれば幸いです。

 ちなみに、本記事を書く上で柏木惠子博士の著書「父親になる、父親をする 家族心理学の視点から」を参考にしました。様々な研究結果を元に、父親の育児について深く考察した、非常に読みやすい本です。興味のある方はぜひ手に取ってみてください。

出生数の推移

 2019年の出生数は約86万人。1970年の約200万人と比べて、半分以下になっており、減少傾向は続いています。

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(グラフは、e-Statの人口動態調査の数値を元に作成)


 出生数が減少傾向である原因は数多くありますが、その中の一つとして、やはり「育児の大変さ」があると思います。ヒトの場合、他の動物とは異なり、子供を授かるという形式上の親になるだけでは、子供に対する役割を終えるわけではありません。ある程度自立できるまで、育児を行う必要があります。

父親をする

 柏木惠子博士の著書「父親になる、父親をする 家族心理学の視点から」によると、父親の育児には以下の3つの特徴があると書かれています。

【父親の育児の特徴】
①受動的な育児
母親や子供に頼まれてやる育児。「パパにお願いしてみて」のように、子供を介して母親がお願いするパターンも含む。

②趣味・楽しみとしての育児
気が向いたときだけ行う育児。「ちょっと遊んでみるか」「気分転換に」などの理由で。

③いいとこどりの育児
手間の掛からない間は世話をするが、面倒なことは母親に任せる育児。遊び相手やお散歩は連れていくが、オムツ替えや寝かしつけは母親に。


【参考文献】
「父親になる、父親をする 家族心理学の視点から」
柏木惠子著 岩波ブックレット No.811

 上記3つの特徴は母親視点での調査結果なんですが、父親の私としては耳が痛い。確かにその通りだなと。


 もちろん、父親としては反論したい部分もあると思います。父親がやると泣き叫ぶ、嫌がる、暴れる。母親の方が安心する、喜ぶ、ぐずらない。例を挙げればキリがないと思います。


 一方、母親から言わせれば、「母親でもぐずるときはあるわい!」ってことなんですね。面倒なところは母親に、という消極的な姿勢が「いいとこどり」と揶揄される原因なのでしょう。もっと父親が活躍できる場面を模索していく姿勢が大事ですね。もちろん、仕事が忙しいのは理解しています。私もサラリーマンでしたので。母親も父親が育児に積極的に介入できるように協力していくことが大切です。(父親が仕事で疲れてても、ケツ叩いてあげてということです)

父親は仕事、母親は家事育児?

 今日の日本社会では、父親が仕事を、母親が家事育児をするという旧来の家族観が残っているのも事実です。私も先日、友人とオンライン飲み会をしましたが、今は主夫をしているというと、ものすごく心配されましたし、小バカにもされました。
  

 ただ、最近の父親は育児に前向きで、子供と接する時間を増やそうと努力しているように感じます。そのために、転職する人もいますから。しかし、社会全体としてなかなか変わることができていないのが現状です。その原因として、やはり長時間労働が大きな要因となっているようです。

【長時間労働の要因】
①ワーカホリックな上司
上司が遅くまで残っており、先に帰りにくい雰囲気など。

②残業する人が評価される
遅くまで仕事をしている=頑張って働いているという、労働時間の長さが人事評価に組み込まれてしまう。

③仕事の裁量度がない
仕事の進行度がすべて上司の采配で決まってしまい、自分でスケジュールを組めないなど。

【参考文献】
「父親になる、父親をする 家族心理学の視点から」
柏木惠子著 岩波ブックレット No.811


 生産効率の悪い職場環境により、労働時間が増加する。その結果、家庭に使える時間がなくなってしまうということです。これは一つの会社レベルの問題ではなく、日本社会全体の問題と考えられます。すぐに変えるのは難しい。かといって、このままでは母親に負担を負わせるばかりで、父親が介入した円滑な育児を実現することはできません。そういったお悩みをもつ家庭は、家庭内のライフ・ワーク・バランスをもう一度見直してみてください。

まとめ

 ここまで、柏木惠子博士の著書「父親になる、父親をする 家族心理学の視点から」を参考に父親の育児について重点的に書いてきました。父親の育児の特徴として、①受動的な育児②趣味・楽しみとしての育児③いいとこどりの育児の3つが挙げられます。

 これらを払拭するためには、父親が積極的に育児に関与すること母親も父親の育児介入を支援すること家庭内全体のライフ・ワーク・バランスを整えることが重要です。




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